今週の週刊 Life is Beautiful:10月2日号
2012.09.30
今週のメルマガ「週刊 Life is Beautiful」の配信準備が整ったので、内容を簡単に紹介する。
ちなみに、メルマガの冒頭にも書いたが、スーパーコンピューター「京」のようなプロジェクトを国策としてやることが本当に日本企業の国際競争力を養うことになっているかどうかは、そろそろ本気で見直すべきだとつくづく思う。
特にIT産業のように進歩の激しい分野では、時代の流れに沿った柔軟な舵取りが必須だが、国策プロジェクトにつきものの「ここまで税金を投入して来たのだから今さら辞められない」「せっかく予算をもらえたのだから、今さら自分から『もう意味がなくなりました』と言い出すバカはいない」というメンタリティがそんな舵取りを阻害する。
その意味で蓮舫氏が試みたスパコン予算の事業仕分けは正しかったのだが、それが結局はこんな風にゾンビのようによみがえって来てしまうところがこの国の一番の問題だ。
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今週のざっくばらん
スーパーコンピュータ
事業仕分けで一時期は存続が危ぶまれたスーパーコンピュータ「京」が本格稼働を開始した、という発表がありました(参照)。「一度国策として始めてしまったものはやめられない」という典型的な例です。一昔前には、国策で垂直統合型のスーパーコンピュータを作ることに意味がありましたが、時代はすでに、汎用CPUと汎用GPUを活用したHPC (High Performance Computing)サーバーを必要に応じた数だけ使う、という汎用HPCサーバー型スーパーコンピュータの時代に移りつつあります。そんな状況の中で、「京」のような垂直統合型のスーパーコンピュータを作ることが日本の国際競争力に繋がるとは...
neu.chat とXMPP
もの作りをしているとついつい目の前の仕事に追われて、中長期的に価値を生み出すことに時間を使うことを忘れてしまいがちです。今週は、あえて neu.Tutor/neu.Notes/neu.Annotate から少し離れて、前々から気になっていた XMPP の勉強をしました。...
私の目に止まった記事
Data that lives forever is possible: Japan's Hitachi
日立が半永久的にデータを保管できるストレージデバイスを開発したという記事です。色々な応用が想像できてワクワクするような話です。これぐらい尖った技術であれば、日立という大会社の中に埋もれさせておくのではなく、ベンチャー企業としてスピンアウトさせて、米国の投資家からお金を集めて、商用化に向けて一気に突っ走るべきではないかと思ってしまいます...
Riot at Foxconn Factory Underscores Rift in China
Apple の iPhone5 を含む、数多くの海外製品の製造を担当している Foxconn の工場で起こった暴動に関する記事です。警備員と工場の労働者のちょっとしたいざこざがきっかけとなって2000人もの労働者を巻き込む大規模な暴動になったそうです。日本では「反日デモ」ばかりが注目されていますが、「反日」はきっかけでしかなく、問題の根っこは、このFaxconnの工場で起こった暴動と同じところにあると考えた方が良いと思います...
Texas Instruments eyes shift away from wireless
Texas Instruments が携帯電話向けのプロセッサビジネスから撤退する、というニュースです。今やスマートフォン用のプロセッサと言えば、Qualcomm がナンバーワンで、その市場になんとか進出しようとしているのが Intel、Qualcomm からも Intel からも買わずに自社製のプロセッサで勝負しているのが Apple、という構図ですが、スマートフォン以前の携帯電話機においては、Tesas Instruments がナンバーワンだった時期も...
UIEvolution 起業ものがたり(4):Brad Silverberg
Bill Gates との会話以来、Microsoft を辞めて何か新しいことを始めることばかり考えていた私でしたが、長年勤めていた会社を辞める決意を固めるのは簡単ではありませんでした。社内の知り合いに相談するわけにもいかないので、誰か社外にいる人で相談出来る人はいないだろうか、と考えた時に、最初に頭に浮かんだのは Brad Silverberg でした。Brad は、Windows 95 と Internet Explorer 3.0/4.0 の仕事をしていた時の部門の副社長で...
日本はどうして原発を止められないのか
終わりに 日本はどうやったら原発を止められるのか
ここまで、日本はどうして原発を止められないかについて、霞ヶ関の官僚の考え方、電力会社の立場、官僚と政治家の力関係などから書いて来ました。では、どうやったら実際に原発を止めることができるのでしょうか?結論から先に言えば、今の政府の仕組みのままでは絶対に無理だと思います。民主党政権に向かって、国民がいくら原発ゼロを訴えたところで、経団連と官僚たちが反対する限りは思い切った舵取りはできません。これは自民党政権に戻ったところで同じです。「霞ヶ関の官僚が国会議員の代わりに法案を書く」という三権分立の根底を揺るがすようなことが日常的に行われている限りは、政治家には官僚をコントロールすることはできないし...
読者からのご質問・ご意見コーナー
今週の質問です。
巷から「なんか違うんじゃないか」との声がしきりのスマホ対応家電ですが、方
向性からして間違っているのか、それとも方向は合っているが内容が伴っていな
いのでしょうか。
中島さんは、どのように見ておられますか?
参考:パナソニック、「スマート家電」を本格展開
http://www.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/1208/21/news113.html
パナソニックがこの発表をして以来、私が二年ほど前にブログに書いた「とある家電メーカーでの会話:クラウドテレビ編」へのアクセスが増えています。誰もが同じような違和感を抱いているのだと思います。家電をネットに繋ぐことも、家電のコントロールにスマートフォンを使うことも決して悪いアイデアではないと思いますが、問題は「どんな価値を提供してくれるのか」という部分が消費者に見えにくいことです。やはり、商品企画の段階から...