今週の週刊 Life is Beautiful:10月9日号
2012.10.07
今週のメルマガ「週刊 Life is Beautiful」の配信準備が整ったので、内容を簡単に紹介する。
今週のざっくばらん
neu.ChatとXMPP
前回は XMPP 経由でバイナリーデータを送信したところまで報告しましたが、先週はそれを利用して neu.Chat を XMPP 経由で動かすことに成功しました。今のところ Google Talk でしかテストはしていませんが、結果は良好で、片方のデバイスでキャンバスに描いたものが、もう片方のデバイスで再現されるところまで成功しました。このペースで開発を進められれば、今月末にはアップルの審査に提出することができると思います...
私の目に止まった記事
What We Can Learn About Facebook From its Bizzare Chair Ad
Facebookが10億人ユーザー達成を記念して作ったプロモーションビデオに関しては、賛否両論がありますが、私の見方はこの Forbes の記事に近いものです。人々の心を動かすには、TED で Simon Sinek が指摘したように(参照)、その製品に「どんな機能がある(what)」を訴えるだけでは不十分で、その製品が「何のために作られたのか(why)」を伝える必要があります...
Home 3D Printing Is Killing The Manufacturing Industry
この記事は、主に「3Dプリンター」を使って誰でも銃が自作できる時代になりつつあることに対する警告ですが、もっと興味深いのは、「3Dプリンター」の普及が一部のビジネスにとっては、音楽のデジタル化がもたらしたような破壊的な力を持っているかどうか、という点です...
Microsoft Needs Windows Phone 7 - Not WP8 - To Win Significant Mobile Market Share
この記事のタイトルだけを見た時、最初は「今さら Windows Phone 7 に何の意味があるのか?」と思いました。しかし、Windows Phone 8 がコアOSとして Windows NT を採用して結果、かなりのハードウェア・リソースを必要とするようになってしまったことは事実です。そう考えれば、この記事の予想する通りに、Nokia がこれまで Series 40 で大きなシェアを占めて来た発展途上国向けの低価格ケータイのOSとして Windows Phone 7 を使うという戦略の可能性は、...
NASDAQ Welcomes Kraft Foods Group: Remote Opening Bell
Kraft Foods がまだ上場していなかったとは少し驚きだったので、調べたところ親会社からのスピンアウトでした。CEO のスピーチが素晴らしいのでぜひとも聞いていただきたいと思います。米国の会社においては、リーダーシップ・チームの力が非常に重要ですが、彼らの仕事は企業戦略をたてるだけでなく、社員のモチベーションを上げることも彼らの重要な役割の一つです。社員にストックオプションを与えることは...
Foxconn Workers on Strike After iPhone 5 Starts Brawls
iPhone5 の最終組み立て工程を担当している Foxconn の労働者たちが、あまりにも厳しい品質管理に耐えられなくなってストライキをした、という話です。...
携帯電話をワイアレス充電する話はずいぶん前からありましたが、Nokia が Lumia 920 と Lumia 820 に採用したことで、これが「must have (なくてはならない)」な機能になることはほぼ確実だと思います。当然、Apple も研究・試作はすでにしているでしょうから、次の iPhone (iPhone 6)で導入される可能性は...
Everpurse: seamlessly charge your phone all day
上のワイアレス充電とは少し違うアプローチですが、この Everpurse は素晴らしいアイデアだと思います。詳しくは、上の KickStarter ページを見ていただくのが一番ですが、革製のミニバッグそのものが充電器を役割を果たすというアイデアです...
Facebook 場のソシアル・ゲーム Farmville の成功で去年の12月に NASDAQ に上場した Zynga ですが、その後の売り上げの低迷と買収の失敗で、株価は下がる一方で、これでは優秀なエンジニアから先に辞めてしまいます。この記事は Zynga がなぜ低迷しているかについて解説している記事ですが、このことはどのソシアル・ゲーム会社に関しても言えることなので、この業界に関わっている人は...
Lanai to become eco-lab that runs on solar, billionaire Ellison promises
ハワイの島の一つラナイ島(マウイ島の5分の1ぐらいの大きさを持つ火山島。主な産業は観光とパイナップル)の98%を購入した Larry Ellison がこの島を太陽光発電、海水の淡水化、電気自動車などを使って、島全体を "sustainable" (維持可能)にすることを発表しました。島の電力会社、水道局までも手に入れてしまったからこそ出来る、壮大なプロジェクトです...
UIEvolution 起業ものがたり(4):Ignition Partners
私がBradから手渡された「私が Brad Silverberg に転職に関して相談しているのは、100%私の自発的な意志によるもので、決して Brad や Brad の知り合いから誘われたからではないことをここに証言します」と書いた書類にサインをすると、Brad は身を乗り出してBradが計画している Ignition Partners というベンチャー・キャピタル設立の計画を話してくれました...
読者からのご質問・ご意見コーナー
今週の質問です。
いつも中島さんのメルマガを楽しみにしています。考え方や文章の書き方で参考になる箇所があり、多くを学ばせて頂いております。
最近、中島さんのメルマガでは「日本式システム」についての記述が多く、色々考えさせられています。
私は、日本の大企業に勤めており、「日本はどうして原発をとめられないのか」でも記載しているようなことを実感することがあります(そこまで極端ではなくても、空気・雰囲気といったものを感じます)。
俯瞰的視野で社内システムを見ることで、多くの矛盾を含んだシステムが現場を圧迫していることを、よりリアルに感じるようになりました。しかしその問題に対して、ほとんどの社員は一切問題を提起することなく、それが当たり前であるかのように受け入れています。仮に問題提起したとしても、上の立場の人間に煙たがられるだけです。そこにも大きな「壁」が存在します。
そうした会社で、働くことが自分にとって良いことなのか?少しでも何かを変えるために行動するべきではないか?と色々考え、悩んでいます。
ものすごく抽象的な聞き方になりますが、このことに関して中島さんの考えを聞かせて頂きたく、よろしくお願いします。
とても難しい問題です。少なくともこれまでは、そんな環境を受け入れて「慣例に従った仕事の仕方を続けること」がそれぞれの個人にとって最適な生き方であったことは間違いないと思います。新卒で大企業に就職することが出来たのであれば、「出る杭」にならないように気をつけ、流れに乗ってその仕事になんとしてでも定年までしがみつき続けることが、ミクロなレベルでの最適解だったのです。しかし、マクロなレベルで見れば、こんな人々の行動が日本企業の国際競争力を、そして日本の国力を奪って...