手書きチャットアプリ、neu.Chat ついにリリース
2012.11.21
4回の承認落ち、3回のエスカレーション、3回の長時間電話の末、11ヶ月の歳月をかけ、ついに neu.Chat(無料) が Apple の承認を通り、ようやくiTunes ストアにリリースすることができた。
手書きチャット(およびボイスチャット)のために P2P コネクションが必要だったので、Apple が提供している GameCenter + GameKit を活用して実現し、去年の12月に申請に出したところ、「ゲームでもないのに GameCenter のサービスを使うのは規約違反」と承認落ち。
何かの勘違いだろうとエスカレーションをして電話で担当者と話したところ、勘違いではなく、それが Apple のポリシーだと言われる。かなり長く粘ったのだが突っぱねられ、かなり気落ちしたことを覚えている。
しかたがないので、手書きで「マルバツ」と「五目並べ」を遊べる機能を加え、「これならゲームだから問題なかろう」と申請をすると、再び却下。ゲームとしては認めることは出来ないという。
あたった担当者が悪かったのだろうと、3ヶ月ほど間を置いてほぼ同じものを申請に出すと、やはり却下。この時もエスカレーションして、「Apple にとってゲームの定義はなにか」という議論を延々と繰り返すがまったく通じない。この時は Apple が嫌いになった。
Apple の API が使えないならば、Skype はどうかと Microsoft にコンタクトするが、SDK はあるものの iOS にだけは使わせないという狭い了見。
あまりにも頭に来たので、neu.Chat はしばらく放置することにし、数ヶ月の間 neu.Tutor の開発をしていたのだが、9月になって neu.Tutor の開発も一段落ついたので、再度 neu.Chat について考えることにした。
GameCenter もだめ、Skype もだめとなれば、次は GoogleTalk だ。Google はリアルタイム・メッセージの標準プロトコルである XMPP をサポートしているので、neu.Chat を XMPP に移植すれば動くはずだ。
実際にやってみると簡単ではなかったが、10月の中旬には動きはじめる。XMPP を使ったおかげで、GoogleTalk 以外の XMPP サーバーでも使える。特に標準プロトコルをしっかりとサポートしているオープンソースベースの XMPP サーバーとは相性が良い(Facebook は XMPP のエクステンションである Jingle をサポートしていないので使えない)。
ようやく準備を整えて審査に出すと、再び却下。今度は「VOIP アプリでもないのに、VOIP モードで走るのはけしからん」という言う。neu.Chat は WiFi の環境さえ良ければ VOIP も出来るように作られているので、これは担当者の間違いだが、またまたエスカレーションするのも疲れたので、とりあえす VOIP モード を外して申請。VOIP モードを外すと、アプリがバックグラウンドになった時にセッションが途切れてしまうが、途切れたセッションを簡単に再開する仕組みもあるので良しとすることにした。
とういことで、11ヶ月の申請期間を経て、ついに neu.Chat をリリースすることが出来た。ぜひともお楽しみいただきたい。
ちなみに、XMPP に触れたおかげで、Node.js の勉強もできたし(一時期は、自分でサーバーを立てる必要があると考えたため)、Node.js 関連で二つも面白いプロジェクトを思いついた。最初に申請した neu.Chat があっさりと審査に通っていたら Node.js にも触れずじまいだったかも知れないし、怪我の功名とはまさにこのことだ。
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