今週の週刊 Life is Beautiful:3月19日号
Andy Rubin が Android の開発責任者から降りた件について

エンジニアにも分かる「アベノミクス」

(理科系の友人が多い)Facebook の方で「アベノミクスの正体を誰か解説してくれ」という話題が盛り上がっていたので、私なりに「エンジニア向け」の解説をしてみる。まずは基礎知識から。

1. 経済学と数学・物理学との違い

経済学が相手にしているのは「人間の行動」であり、数学・物理学のように、基本的な「定理」を積み上げて現象を予測することが不可能だ。基本的には「経験則」に基づいて人々の行動を「予測」するしかない点が、学問として物理学とは大きく違う。

2. 景気にかかる「正のフィードバック」

経済学が対象とするものの一つに「景気」がある。景気の尺度には、GNP、物価、株価、失業率など色々とあるが、常に「正のフィードバック」がかかる性質を持っており、これが色々な問題を引き起こす。

「不動産価格」が一番分かりやすい例だが、不動産の価格は、より多くの人が「将来は不動産の価格が上がる」と思うとそれを先取りして値段が上昇する傾向がある。「今年3000万円で買ったマンションが、来年になれば4000万円で売れる」と分かっていれば、1年で1000万円の利益を上げることが出来るからだ。しかし、実際には、来年の不動産価格がどうなっているかを「知っている」人はいない。そこで多くの人が「最近の価格の動きから将来の価格を予想する」という行動を取る。「2月の不動産価格が平均2%も上昇した」という情報から、「不動産価格が上昇に転じた、今が買い時だ」と判断し、不動産の購入に走るのだ。多くの人が不動産を買えば、当然価格が上がり、それがさらに人々の購買意欲をそそって不動産価格が一気に上昇する。これが典型的な「不動産バブル」だ。

実際には、物価だけでなく、さまざまなものが相互作用しあって景気が作られるが、基本的には「景気が良くなったと人々が感じると、購買意欲・投資意欲が増大し、さらに景気が良くなる」「景気が悪くなったと人々が感じると、購買意欲・投資意欲が減退し、さらに景気が悪くなる」という正のフィードバックが働いている。

そのため、政府や中央銀行が何もしなければ、景気は何年〜何十年のサイクルで乱高下する。正のフィードバックが効いた電気回路が「発振」してしまうのと同じだ。「景気が良い」という感覚に踊らされた人々が借金をしてまで物や不動産や株を買い、物価も株価も上昇仕切ったところで、何らかのキッカケで人々が「この好景気は加熱し過ぎた」と気がついたところで、風船が一気に萎むように景気が後退する。これを繰り返すのだ。

3. 中央銀行の役割

各国の中央銀行(日本の場合は日銀)の役目は、この景気の乱高下を避けるために、人為的な負のフィードバックを与えることにある。景気が過熱してくると、市場から現金を引き上げる(保有している国債を売る)ことにより金融を引き締め、景気が後退してくると、市場に流れる現金を増やす(市場から国債を買う)ことにより金融を緩和する。かまどの火を調整するために、砂をかけたり空気を送り込んだりするのと同じだ。

4. デフレの罠(流動性の罠)

しかし、中央銀行の市場介入には限度がある。景気があまりにも冷え込んで、短期国債の金利がゼロになると、いくら市場に流れる現金を増やしても景気は良くならないのだ。「不動産価格がこれからも下がり続ける」と誰もが思っている時には、たとえ金利がゼロでも、借金してまで不動産を買う人がいないのは当然だ。

つまり、短期国債の金利がゼロになった状態とは、かまどの火が消えてしまった状態に等しく、いくら空気を送り込んでも景気は良くならないのだ。

一度はまってしまうと、中央銀行の金融政策だけでは決して脱却できないため、経済学者たちはこれを「流動性の罠」と呼んでいる。これがまさに日本がバブル崩壊後に陥った状況だ。

5. デフレの脱却に必要なもの

デフレを脱却するには、基本的に二つの方法がある。一つは、戦争や産業革命のように、実際の需要や生産性の向上をもたらす「何か」で、これはエンジニアにも分かりやすい。しかし、今の時代、景気回復のために戦争を始めることなど出来ないし、突然の生産性の向上にも期待できない。

もう一つは、「これから景気が良くなるに違いない、物価が上がるに違いない」という人々の期待である。ここがエンジニアには一番分かりにくい部分だが、上に書いた「経済学と数学・物理学の違い」を思い出して欲しい。経済学が相手にしているのは「人間の行動」であり「人々の気分」なのだ。

何らかのキッカケで、十分な数の人が「これから景気が良くなるに違いない」と思えば、最初に株価が上がり、次に不動産価格が上がる。するとその「景気指数」の上昇を見たより多くの人が「これは本当に景気が良くなるに違いない」と思い、さらに株価と不動産価格が上がる。すると、含み資産が増えた人々が安心してものを買う様になり、企業の業績も上がり、それが結果として賃金の上昇や失業率の低下につながる。上に書いた「正のフィードバック」が始まるのだ。

6. アベノミクスの正体

ここまで読んでいただければ、「安倍さんはまだ何もしていないのになぜ株価が上がり始めたのか」が理解していただけると思う。アベノミクスの正体は、「政府が毅然とした態度で景気回復を約束することにより人々に『これから景気は良くなる』と思ってもらい、それを起爆剤として正のフィードバックを作り出して実際に景気を良くする」ことにあるのだ。

その意味では、アベノミクスは既に始まっているのだ。安倍さんが「日銀法を改正してでもインフレ2%を達成する」と毅然とした態度で景気回復を約束したことが、「アベノミクス効果を先取りして儲けよう」という人達の「株の購入」「円売りドル買い」を呼び、それが株高・円安を招いているのだ。

そして、今回の株高・円安が、「アベノミクスに乗り遅れまい」とする人達のさらなる「株の購入」「円売りドル買い」そして「不動産購入」を呼べば、それが実質的な「含み資産の増大」に繋がり、輸出型企業の利益増大に繋がる。

つまりアベノミクスとは、「アベノミクスにより景気が良くなるかも知れないという気持ちを人々の心に与えることにより、実際に景気を良くしてしまう」という心理作戦なのである。

このエントリーを読んで「アベノミクスはまやかしだ、騙されてはいけない」と感じる人もいるとは思うが、「騙される人が十分にいれば実際に景気が良くなってしまう」点が重要だ。とりあえず、ここまでの結果を見れば、実際に株価は上がっているし、円安も進み、輸出型企業の利益は上昇している。まやかしであろうとなかろうと、より多くの人が「アベノミクスに乗り遅れてなるものか」とさらに株と不動産を買いあされば、日本はあっさりとデフレから脱却してしまうのだ(もちろん、その後にはバブルとバブルの崩壊が待ち受けているだろうが、その時には安倍さんは総理大臣はしていない)。

経済学は数学・物理学と大きく違うのである。

 

 

Comments

Hiyori13

これはこれで正しいのですが、ではなぜ安倍首相のやったこと(あるいは言ったこと)で一定数の人が景気回復を信じたのか、ということについての説明が不十分です。景気回復、なんてことは民主党だろうとだれだろうとみんな言ってたわけですから。

みんなが景気がよくなると思えば景気がよくなるのは事実です。でもどうすれば景気がよくなるとみんなが思うのか、安部政権の何が評価されているのか、というのがみなさんの求めているところではないでしょうか。

それとも、安倍首相の言っていることはすべて無内容なまやかしで、バカを踊らせるのに成功しただけだから、そのバカどもが何ゆえに踊ったかなど考える必要はない、とお考えなのでしょうか? 

Maeda

「人々の期待…ここがエンジニアには一番分かりにくい部分」
expectation(期待値)というのが,そんなにエンジニアにわかりにくいでしょうか…

手持ちの情報(実際に2006年に日銀がやった事実や,日頃の言動)から,『デフレから脱却しそうになったら,日銀がすぐに緩和をやめて引き締めてしまう』と予測できた場合(昨年までの日銀のスタンス)の,一年後のインフレ率の期待値(期待インフレ率)と,『目標の2%に達するまで,日銀は緩和を続けそうだ』と予測できた場合(新しい日銀のスタンス)の期待インフレ率が変わってくるのは,当然では.

(国債の名目金利-物価連動国債の実質利回り)から推定された期待インフレ率の指標(BEI)の推移: http://www.bloomberg.com/quote/JYGGBE05:IND

Satoshi

>それとも、安倍首相の言っていることはすべて無内容なまやかしで、バカを踊らせるのに成功しただけだから、そのバカどもが何ゆえに踊ったかなど考える必要はない、とお考えなのでしょうか?

そんなことはありません。財政規律を揺るがしてスーパーインフレを起こしかねない「日銀による国債の買い取り」も辞さないと宣言した点が今までの政権と大きく違います。常識外れの大冒険ですが、「そこまでのリスクを背負ってでもインフレを起こす」と宣言したことに市場が反応しているのだと思います。

私が最も懸念しているのは、これで本当に財政規律が緩んで、ますます国の財政が悪化することです。最終的には、想定以上のインフレと円安で国民がツケを払うことになるのではないかと心配しています。

Hiyori13

なるほど、つまり安部首相の政策は財政規律を揺るがし、スーパーインフレを起こしかねず、財政が悪化し、円安がおき、いずれ国民がツケを払わされるような政策である、とおっしゃるわけですね。

そんなダメな政策であるにもかかわらず、市場がそれを好感して株があがったり、あるいはこのブログに書かれているように世間の多くの人が景気が好転すると思い込んだりしてしまっているのはなぜなのでしょうか。そもそも、インフレにする、と宣言するだけで景気がよくなる(と人々が思う)のはなぜでしょう。

ここに書かれたことはつまり、あなたはアベノミクスに踊っている世間のバカどもや市場より自分のほうが頭がよく、経済政策の帰結をはるかに見通せている、と主張しているのに等しいことです。もしそれが本当に本当であるなら、あなたは大もうけできるチャンスを手にしているわけで、おめでとうございます。もしそうでないなら……あなたのブログ読者たちのためには、もう少し説明する必要があるのではないでしょうか。

Satoshi

>ここに書かれたことはつまり、あなたはアベノミクスに踊っている世間のバカどもや市場より自分のほうが頭がよく、経済政策の帰結をはるかに見通せている、と主張しているのに等しいことです。もしそれが本当に本当であるなら、あなたは大もうけできるチャンスを手にしているわけで、おめでとうございます。

そうだったら良いのですが、それほど単純ではありません。ハイパーインフレのリスクを伴う日銀による国債の購入は、火炎放射器でかまどに火をつけるようなものです。家全体が燃えてしまうリスクもあるけれど、うまくかまどだけに火がつく可能性もあるのです。

アベノミクスは、それを宣言しただけで、少なくとも投機マネーを持っている人達にとっての「期待インフレ率」を上昇させることに成功しました。「アベノミクス効果を先取りしよう」とした投機マネーが、株価を押上げ、円安を起こしているのです。投機マネーとは言え、まずは岩田氏の狙い通りのシナリオになりつつある、と言えるのではないでしょうか(もちろん、そんな投機マネーは、いざとなったら「誰よりも先に売り抜く」タイプなので注意が必要ですが)。

Hiyori13

株価とインフレと景気との区別がうまくついていないようですね。また、あまりできがよい比喩とは思いませんが、家が焼け落ちるリスクが大きい政策では株価はあがりませんよ。この記事でおやりになろうとしたことをきちんとやるには、かまどに火がつく確率がどれだけで、家全体が炎上する可能性がそれに比べてどのくらい大きいのか、というのをきちんと示すことが必要です。それなしに、扇情的な比喩だけで話を進めるのは無益か、むしろ有害です。想定読者のエンジニア諸賢も、実証的な話のほうが理解してくれるのではありませんか。

Satoshi

>株価とインフレと景気との区別がうまくついていないようですね。

私の中ではしっかりとついています。私の意見や理論はいくらでも批判して下さって結構ですが、「あなたは〇〇を理解していないようですね」という類いの人格攻撃はディベートにおけるルール違反なのでやめてください。

ちなみに、私はいわゆる「リフレ派」の人達のやり方に賛成も反対も表明していません。単にここでは、「なぜ安倍さんは何もしていないのに株価が上がっているのか?」という多くの人達が持っている疑問に答えているだけです。安倍さんが禁じ手(=日銀に国債を買うように指示すること)まで使ってインフレを起こそうと宣言したことが、投機筋の「アベノミクスに先んじて一儲けしよう」という行動を促しただけだと私は解釈していますが、それには定量的な評価は必要ないと思います。

Hiyori13さん自身はこの株高をどう説明するんですか?

Rna

横から失礼します。7年ほど「リフレ派」を自称しているエンジニアですが、正直この記事には困惑しています。

はてブコメントにも書きましたが、「アベノミクス」のうちの金融政策の部分=リフレ政策が形成しようとしている「期待(予期)」は、あくまでインフレ率の上昇であって、株価そのものや景気そのものではありません。

インフレ率が上昇すると予期するなら投資や消費にお金を回すのが合理的行動で、その結果として雇用や景気回復が見込まれます。リフレ政策はそのような行動を促すためにインフレ率の上昇と安定を中央銀行に約束させようというものです。

そして中央銀行にはその約束を守るだけの実力があります。だから市場がその約束を信じることが期待できるわけです。しかし今まで日銀はその実力を逆向きに使ってきました。つまり、インフレ率が上がりかけるとすぐゼロ金利解除などでブレーキをかけてしまうという。

目下の株価上昇は確かに投機的なものかもしれません。実際「アベノミクス」からリフレ政策が骨抜きにされることをリフレ派がまだ危惧していた段階でも、市場は反応して株価は上昇しました。理由はわかりませんが、少なくとも日銀と安倍政権が雌雄を決するその日までは日銀も露骨にブレーキは踏めまい、という読みだったのかもしれません。

そのような予期の予期(リフレ成立に対する予期)による株価上昇そのものはリフレ政策の目的ではありません。結果的にリフレ政策を後押し(というより先導?)することにはなりますし、実際色々助かる面はあると思うのですが、そこが本筋というわけではありません。

このあたりがこの記事では混同されている(少なくともそう読まれてしまいそうな)ので、記事の導入部のバブルの話もあいまって、「アベノミクス=バブル誘導」のように矮小化された話として読まれかねないのではないかと危惧しています。

なお、政治的な意味での「アベノミクス」は金融政策だけではなく財政政策も含んだものですし、安倍氏やそのブレーンの思惑だけではなく党内各派との妥協の産物でもあるでしょうから、バブル誘導的な意図がないとは言い切れないかもしれません。

しかし、それならそれで、政治的な意味での「アベノミクス」の内実を腑分けして説明していただかないと、この記事はリフレ政策についての誤解を招く説明として読まれてしまい、リフレ派エンジニアの一人としては枕を濡らさずにはいられない、そんな気持ちであることをここに告白させていただきます…

タミー

公定歩合っていつの話ですか、というのはおいておきまして・・・

中央銀行がコントロールできるのが政策金利だけであったとしても、それは現在の政策金利だけではありません。将来の政策金利についてもコントロールできます。中央銀行はやる気になればいつでも引き締めが出来るわけです。中央銀行がゼロインフレをベストだと思っており、インフレ率がプラスになれば即座に引き締めに回ると思われていれば、たとえ今がゼロ金利でもこわくて回収に時間のかかる投資をしない企業が出てきます。一方で2%のインフレを目標としていれば引き締めに回るまでの時間が長くなり、そのためより回収に時間のかかる"現在の"投資も増えます。このようにして中央銀行はインフレ目標を操作することで、低金利が続く期間に対する「期待」を変化させ、現在の投資、最終的には現在の景気や物価に影響を与えることができます。デフレ状態からインフレを起こすことも出来ます。そしてこの流れにおいて、非合理的なムードのようなものは一切重要な役割を担っておりません。

Enjoy_goodjob

思いつくまま書いたので長いですがご了承ください。
自分は「子々孫々、持続可能な社会であればいいじゃないか」というスタンスです。
リフレとか~派というのは、敵味方を作るだけなのであまり意味がないと考えています。

・期待インフレ

インフレ期待でなく、デフレ期待を考えると分かりやすいと思います。

不景気のときは「デフレ期待」をする人が多いのだと思います。
つまりモノの「値下がり」を期待する。「明日値段が下がるかもしれないのだから、なるべく節約して下がってから買おう」となる。
するとモノが売れなくなる、売り上げが下がる、給料が下がる、モノを買わなくなる、、、、

アベノミクスで起こっているのは、これと逆の「インフレ期待」ですよね。
モノの値上がりを期待する。「明日値段(価値)が上がるかもしれないから、価値が低い今のうちに買っておこう」となる。
それによりモノが売れる、売り上げが上がる、給料が上がる、モノを買いやすくなる、、、

しかし、まだ期待だけで実際が伴っていないです。これからが腕の見せ所ですね。

・日銀

日銀とは「水(=お金)も生成できる超巨大ダム」と考えると分かりやすいと思います。
今のアベノミクスの段階は「ダムの所属している自治体の長(安倍首相)から、水を一定量(通貨量)きちんと流さないとダム管理者に辞任してもらうよう法律を変えますよ」と言っている状態。
株価上昇は「下流の地主達の評価が上がっている」と言い換えられるでしょうか。(この辺はあいまいです)

今までこのダムの責任者は、過去の大放流で下流の田畑に大損害を与えた経験がある。(=バブル→崩壊)
そのため水量を増やさないように、放水量は少ない状態が続いている。(=デフレ)
下流の人々は少ない水でなんとかやりくりしている状態。このままでは大事な農作技術が失われてしまう。。。
ここをなんとかしようと安倍さんが立ち上がったと。

「アベノミクスで給料はいつ上がるんだ。すぐに効果がないじゃないか」と言っている人たちは、上の理屈からいうと
「一定量持続させる放流計画の話をしている時に、下流の田畑に実る農作物がまだ出来ていない!早く食べさせろ!」と言っているようなもんでしょう。

・スーパーインフレ
「スーパーインフレのリスクを伴う日銀による国債の購入」とありますが、FRBでも行っています。
「FRB 国債 買い入れ」でググるとニュースがでてきます。ですので「常識外れの大冒険」でもないと思います。
ただ日銀は無期限買い入れしますが、「目標としている物価上昇率2%を超えないように」という制限がついています。

スーパーインフレとハイパーインフレをどう定義づけされているか明確にはわかりませんが「スーパーインフレ=ハイパーインフレ」とします。
ハイパーインフレの定義は「物価が年間13000%(月間50%)を超えている状態」をさしますが、戦後焼け野原になった日本でも年400%ほどでした。
これだけ発展している日本で極度のインフレを起こすのは、日本全国の生産設備を壊して回らないと無理です。
wikipediaのインフレーションの項にありましたが「ノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマンは『日本では大きな戦争でもやらない限り、ハイパーインフレにはならないということは認識しておいたほうがいい』と述べている」とのことです。

wikipedia「インフレーション」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3
2013年02月14日(木) 週刊現代 - 経済の死角「本誌独占インタビューノーベル経済学者は指摘するポール・クルーグマン「1ドル100円超え、アベよ、これでいいのだ」」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/34852

Rna

Satoshiさん、お返事ありがとうございます。

僕の言う「実力」というのは、中央銀行には政策金利(公定歩合)の操作以外にも原理的にはインフレを起こす手段がある、ということです。比喩的に言われる「お札を刷ってバラまく」というものです。Satoshiさんご自身が挙げた「スーパーインフレのリスクを伴う日銀による国債の購入」もその一種です(リスクについての見解はここでは棚上げします)。

Satoshiさんが言わんとしているのは僕の言葉で言い換えると「実力がない」ではなく「実力を拘束する法的制限がある」ということです。インフレ目標の宣言というのは「目標が達成できないなら拘束具を外して実力行使するぞ!」という恫喝でもあるのです。

もちろんそういった拘束には理由があるわけで、外さないにこしたことはないのです。自称「リフレ穏健派」の飯田泰之さんなどは、たまたまインフレ率が上がっても日銀は政策金利を上げない(ブレーキは踏まない)と約束するだけでもインフレ目標はいずれ達成できるから、最初から「お札を刷る」必要はないし、たぶんずっと回さなくて済む、という立場です(ただし約束の裏付けとして量的緩和と為替介入は必要であろうとのこと)。

実際のところ、世間では「実力行使」を声高に主張するタイプのリフレ論の方が目立っており、より本質的な期待(予期)の役割があまり理解されていませんので、この記事のように期待の役割を中心にリフレを語ろうとする志には共感もするのですが、「実力」などないとまで言われてしまうと、リフレ政策不可能論と紙一重の論と誤解されかねません。

つまり、リフレ政策とは裏付けのない期待によるマヤカシである、といった誤解です。冒頭のバブルの説明がそれに拍車をかけてはいないかと危惧しています。

タミー

株高についても上と同様に説明できます。これまで中央銀行がゼロインフレをベストだと思っており、インフレ率がプラスになれば即座に引き締めに回ると思われていたのが、2%のインフレを目標とするようになったと思われるように変化すれば、(いつでも可能な)引き締めに回るまでの時間が長くなります。このように中央銀行はインフレ目標を操作することで、低金利が続く期間に対する「期待」を変化させることができます。低金利が続く期間が長くなると「期待」されるようになれば、将来の金利の平均に左右される長期金利は低下し、企業の将来収益の割引率が低下することで収益の割引現在価値の合計で株価は上昇します。さらに、低金利が続く期間が長くなると「期待」されるようになれば、キャリートレードのような低金利の日本円を売る戦略が成功する可能性が高まるので日本円を売られ、円安になります。この円安が企業の収益を増やすことで株高が起きるという経路もあります。輸出企業だけでなく輸入企業も株価が上がる理由の説明の一つは http://anond.hatelabo.jp/20130208195018 にあります。そしてこれらの流れにおいて、非合理的なムードのようなものは一切重要な役割を担っておりません。

Maeda

「財政規律」なんていう定義が曖昧な言葉や(たとえば,「政府債務の対GDP比」が定義になるかというと,かつての英国のように今の日本よりずっと大きい債務を問題なくこなした国もありました),「もちろん、そんな投機マネーは、いざとなったら「誰よりも先に売り抜く」」なんていう,陰謀論めいた単なる想像でモノを言うよりも,定義のある言葉や数式やグラフで語りましょうよ.たとえば期待とかね.
http://d.hatena.ne.jp/Hicksian/20121224#p1

Hiyori13

>私の中ではしっかりとついています。(中略)「あなたは〇〇を理解していないようですね」
>という類いの人格攻撃はディベートにおけるルール違反なのでやめてください。

理解できていないというのは記事から見える事実です。また知識は人格ではありませんよ。ディベートでは「相手はXXを理解していない」というのはひんぱんに登場しますので、別にルール違反でもありません。

さてこの記事では、なぜ株価は上がるか、というとインフレになると思う投機家が出るから、と述べますね。でも途中でそれが、景気が改善するという見込みにすりかわります。で、なぜインフレだと景気がよくなるとみんなが思うんですか、と尋ねると、それは政府が禁じ手を使うからとか毅然とした態度で景気回復を約束したから、と書かれています。

でも毅然とした態度だの禁じ手だのというだけでは、説明になりません。たとえば前政権は、不退転の決意で、消費増税(というより税率引き上げ)を実施しました。不景気時に増税というのは、経済学的にはまったくの愚行で、禁じ手です。でも政府は、景気回復にそれが必要だと主張して、毅然とそれを実施しました。メディアも日本の経済学者も経団連すらそれを支持しました。でも株価はあがりませんでしたし、景気回復すると思った人もいなかったようです。

つまり、毅然と景気回復を約束した、というだけではみんな、景気回復になるとは思いません。どんな手法でそれをやる(と宣言する)か、またどんな形でそれにコミットするか、というのが重要なわけです。

で、それについては国債買い取りを宣言してインフレ期待を盛り上げるという手法を挙げていますね。これ自体は、ぼくとしてはまったく異論がありません。この手法の有効性について前世紀末からずっと紹介してしてきたんですから。

でも、このコラムはそれを述べた直後に、それを自分で否定します。スーパーインフレ(こういう表現は上のコメントでも指摘されているように一般的ではありません)が起き、日本経済がダメになる可能性がある、と言って。もしそんな危険が本当にあるなら、投資家は逃げ、株価は下がる可能性もあります。ジンバブエの株式市場はそうなり、短期間でまったくトレードがなくなりました。なぜそうならないのでしょうか。それは、日本ではそんなことになる確率がゼロだからなんですが、本稿はそれをきちんと言わず、結局議論が腰砕けになってしまっています。

まとめましょう。本稿の立論は以下のようなQ&Aでまとめられます。

Q1. なぜアベノミクスで何もしてないのに株価が上昇?
--> 景気回復の期待が生まれ、企業業績回復があるとみんなが思ったから。

Q2. ではなぜアベノミクスで景気回復の期待がでたのか?
--> 景気を回復させると毅然と約束したから。

Q3. でも消費税引き上げだって毅然とした景気回復の約束でしたよね。なぜアベノミクスだけ
効くんですか?
--> (これについてはきちんとした説明なし)

Q4. じゃあアベノミクスの景気回復手法は?
--> 日銀国債買い取りでインフレを起こすと宣言したこと

Q5. なぜインフレを起こすと宣言したら景気回復するんですか?
--> (これについてはまったく説明なし。)

Q6. (だれも何もきいていない)
--> でもインフレにするとスーパーインフレ(ハイパーインフレのことですね)になりかねません。日本が破綻しかねません。経済崩壊するかもしれなくて心配です。

Q7. !!!! ええっ??!! 経済崩壊の懸念があるなら、なぜそんな政策で景気回復するとみんな思うんですか? なぜそれで企業業績上がり、株価上昇すると思うんですか? Q1に逆戻りですが、ヘタすると何もしないよりひどい政策じゃないですか、アベノミクスって??!!
--> (説明まったくなし)


要するに、Q3, Q5, Q7 に対するちゃんとした説明がないから、このコラムは説明がきちんと完結していないわけですね。そしてこのいずれも、インフレ期待が盛り上がるとなぜ景気が回復するのか(そしてハイパーインフレの経済破綻は起きないのか)というのを説明する必要があります。つまりは、リフレ政策というのにそれなりに妥当性があるのだ、ということを言わないと議論が閉じないわけです。

ところが「私はいわゆる「リフレ派」の人達のやり方に賛成も反対も表明していません。」とのこと。もしそうであるなら、このコラムでやろうとした解説は不十分に終わってしまうでしょう。せっかく期待の役割に注目して、かなりよいところまできているのに残念だな、と思うのです。

では、今後のご健勝をお祈りしております。

Satoshi

そんなに難しい話ではありませんよ。

インフレ率がゼロではない時に、日銀が政策金利の引き上げ/引き下げをした時に、民間の投資が減ったり増えたりするのは、市場の合理的な行動の結果なので、どの経済学者も納得します。

しかし、インフレ率がマイナスの時に日銀がインフレターゲットを決めて「そのインフレ率が達成するまでは国債を買い続ける」と宣言した時に、予想インフレ率がプラスに転じるかどうかは、市場の合理性の問題ではなく、市場の心理の問題なんです。あの岩田規久男さんですら、これは市場心理の問題だと説明しています。

残念ながら岩田さんの説明がちゃんと理解できていない「なんちゃってリフレ派」の人達は、市場合理性と市場心理の違いが理解できずに、日銀のメッセージを受けた市場が合理的に予想インフレ率をプラスに転じると勘違いしてしまっているんですね。

Hiyori13さんはどうお考えですか?

タミー

どの発言をもとに『あの岩田規久男さんですら、これは市場心理の問題だと説明しています』と仰ってるのかわかりませんが、岩田氏は予想インフレ率がプラスに転じるかどうかを市場心理の問題"だけ"だとは述べていません。

岩田氏のインフレに対する考え方は著書「デフレと超円高」にある『貨幣供給が貨幣需要を上回って増加し続ければ、やがて、貨幣の実質価値は低下し続けるようになり、逆に、消費者物価は上昇し続ける、すなわち、インフレになる』というものです。そこで貨幣供給が貨幣需要を上回って増加し続けることにコミットすることで、消費者物価は上昇するという予想を与えるという方針です。これは市場の心理ではなく市場の合理性の問題です。だからこそ、消費者物価は上昇するという予想をより合理的にするためにコミットメントの力を強める日銀法改正に言及しています。

岩田氏のインフレに対する考え方自体を合理的でないとみなす経済学者が少なくないのは事実ですが、岩田氏は当然のことそれを合理的なものとしています。


なお、リフレの理論的代表者は岩田氏だけではありません。大きな理論的支柱となってきたクルーグマンの「It's Baaack」論文や、それを精緻化したウッドフォードらによれば、岩田氏のインフレに対する考え方自体を合理的でないとした上でも、市場心理の問題ではなく合理性によって、現在の株高も、ゼロ金利制約下でも金融政策によって現在の景気やインフレ率に影響を与えられることが導けます。それに従った簡単な説明が上述の2つです。そこでは非合理的な心理・ムードのようなものは一切重要な役割を担っておりません。

タミー

なお、苦言を呈しますと、『エンジニアにも分かる「アベノミクス」』と他者に解説しようとするにしては、基礎的な知識があやふやなように見受けられます。『スーパーインフレ』という単語は経済分野では適切ではありません。『公定歩合』は政策金利として使われなくなって長い年月が経っている上に、もはや単語としても使われていません。『インフレ率がゼロではない時に、日銀が政策金利の引き上げ/引き下げをした時に』とありますが、"インフレ率"がゼロではない時ではなく"政策金利"がゼロではない時に、です。人間ですので1,2の間違いはあるものでしょうが、短いコメント数個にしては多い上、特に最後のものは金融政策について語る場合には根本にも関わります。その他、問題点が http://www.anlyznews.com/2013/03/blog-post_19.html にも指摘されています。

Feynman_L

私が書き込んだ投稿が全く表示されずに消えてしまっていますね。
他の方の投稿時間を見るかぎり、このBlogはSatoshiさんがコメント
書き込みを事前チェックして認証しないと表示されないのでしょう。
私の書き込みは見事ハネられたようです。

しかし他の人が概ね私と同じ指摘をしています。
Satoshiさんの記事内容にも、コメント欄への返信にも、論旨に大きな穴がありながら、Satoshiさん自身が全くそのことに気づいていません。
エンジニアなどのロジックを重視する理系の人がこれを見れば、Satoshiさんが経済のこともアベノミクスのことも理解不十分なまま語っていることはすぐに気づくでしょう。

Satoshiさんのハネられてしまった書き込みをもう一度張っておきます。
どうせ表示されないのでしょうが、Satoshiさん自身は読むのでしょうから
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コメント欄にレスされるSatoshiさんの書き込みを見て、複数の誤解や間違いを重ねてアベノミクスを解釈していることがわかりました。

まず第一に、安倍首相が「「日銀による国債の買い取り」も辞さないと宣言した」という下りですが、完全な事実無根です。
安倍首相が語ったのは、「日銀が買いオペをする="市場から"国債を買う」ということで、財政規律は1mmも揺るぎません。
この発言をしたとされる場面は動画として一般公開されており、誰でも誤報とわかります。
マスメディアが同時大々的に報じた大誤報ですが、新聞各社は全く訂正していません。
TVではテレ朝などがニュース番組やワイドショー中に訂正していますが。
そもそも日銀は買いオペ自体は毎年行っており、量を増やすという話にすぎません。

第二に、ハイパーインフレのリスクを伴うと述べていますが、ハイパーインフレの定義とは何かを明示していない。なぜならsatoshiさんは定義を知らないから。定義を知らないから安易にハイパーインフレという単語が出てくるのです

第三に、買いオペをするのが日銀なら、買いオペをやめることができるのも日銀です。インフレ目標2%と決めたのですから、2%を大きく超えそうな時は買いオペをやめるのですよ。なのでハイパーなインフレ(定義不明)なるものが発生する前に止めるのです。

第四に、アベノミクスは金融政策、財政政策、成長戦略の3セットです。
金融政策はまだ行われていませんし、財政政策も補正予算が通っただけで執行効果はまだ先、成長戦略は6月発表。つまりアベノミクスの正体は様々な政策であって、期待はあくまでアベノミクス実施前の話です。今の株高はアベノミクスへの期待が原因という表記なら正しいですが、この記事中にアベノミクスは殆ど解説されていません。

Satoshiさんの話は全体的に、マスメディアが伝える嘘解説を盲信してるだけに見えます。
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Fxitizi

タミーさんの間違い指摘に付け加えると、デフレの罠(流動性の罠)という表記もおかしい。デフレの罠と流動性の罠は別の概念。Blogosの記事には流動性の罠という表記が無いので、誰かに間違いを指摘されて書き直したのだろうが、それをこのような形にしてしまうということはよく理解していないで言葉を書いていることがより明らかになっている。知人のエンジニアに教えるというのは身の丈をこえたことだと言われても仕方がない。現時点における私なりのアベノミクスに対する理解、というようなタイトルにすべきだったでしょう。それなら読み手ももっと間違いがあるのが当然で、その程度のものとして読むでしょうから。

Hiyori13

>予想インフレ率がプラスに転じるかどうかは、市場の合理性の問題で
>はなく、市場の心理の問題なんです。あの岩田規久男さんですら、こ
>れは市場心理の問題だと説明しています。

なるほど。

この記述がおそらく、もとの文の大きな難点を示していると思います。
この文章は、「心理」なるものが、合理性とはまったく関係なく
決まってくるかのように書かれています。どっちにどう転ぶか
わからない、外生的な「市場心理」なるものがあるというわけ
ですね。

ですから当初の文でも「みんなが上がると思えば上がる」という
話だけで事足れりとして、「ではなぜみんな上がると思うんで
すか」という質問には、特に答えなくていいと思うんですね。
やっとお考えがわかりました。

が、市場心理は外生的に決まるものではありません。みんなある程度
合理的に考えようとして、その結果として市場心理は決まるのです。
別に合理的期待形成を持ちだそうというのではありませんが、人は
最善の予測をして、それをもとに行動を決めるんです。

もちろん、合成の誤謬その他個人個人の合理性が全体の合理性につ
ながらない場合はあります。また市場なんてそこまで合理的じゃねーよ
というのも事実。ケインズや「アニマルスピリット」訳してる身です
から、不合理な市場心理があるのは十分承知です。が、それは
完全にランダムでもないのです。

ですから、岩田の発言を、何か合理性とまったく離れたところに
「市場心理」なるものがランダムにうごめいているように受け取る
なら、それはまちがっています。

もしそうでないなら、市場心理が「景気 and/or 物価が上向く」と
思う合理的な理由を考えなくてはいけないんです。それはたとえば、過去の資金供給と物価上昇の相関だったり、理論的な裏付けだったりするでしょう。

ですから

>「なんちゃってリフレ派」の人達は、市場合理性と市場心理の
>違いが理解できずに、日銀のメッセージを受けた市場が合理的に
>予想インフレ率をプラスに転じると勘違いしてしまっているん
>ですね。

という物言いは、ぼくはナンセンスだと思いますよ。消費増税に
市場が景気改善の予想をしなかったのは、ぼくは合理的な予想に
基づく市場心理のせいだと思います。デフレ下で投資家が株式市場
からの投資を手控えたのも、合理的な予想に基づく市場心理の結果
です。そして、インフレ実現による景気回復も、各種手法による
インフレ実現も、「市場心理」くんはサイコロを投げてどう判断する
か決めているのではありません。「なんちゃってリフレ派」の諸氏は
その意味で何もかんちがいしていないと思います。

繰り返しますが、これは別に「なんちゃってリフレ派」諸氏が、
市場心理というものを厳密にスーパー合理的で無謬の存在だと
見なしている、ということではありません。市場はまちがえるし
バブルもあるし勢いに流されるしあーだこーだ。でも、まったく
合理性のないランダムな動きしかしないわけではないのです。

Satoshi

>岩田の発言を、何か合理性とまったく離れたところに「市場心理」なるものがランダムにうごめいているように受け取るなら、それはまちがっています。

そんな解釈は誰もしていないと思います。それぞれの人が「自分の利益を最大にしよう、合理的に行動しよう」と考えている前提でなければ経済学は語れません。

問題は「デフレ状態で中央銀行がインフレターゲットを決めて大胆な金融緩和政策をした時に、予想インフレ率が上がるのかどうか」にあり、そこに関しては、グリーンスパンもバーナンキも「未知の領域」だと素直に認めているし、岩田氏も「日銀の発言」の市場心理への影響力をとても重視しています。インフレ状態における中央銀行による利上げ/利下げに対する合理的な市場の反応とは大きく異なる、「市場心理の変化」を期待しているのです。

グリーンスパンは「その関係は非連続的である危険すら秘めている」とある時点で突然爆発的な予想インフレ率の上昇(ハイパーインフレ)を招く可能性を示唆しています。白川さんが過度の金融緩和に慎重だったのも同じ理由です。

とは言え、日銀の主要なメンバーがすべてリフレ派になったのですから、これから日銀は「インフレターゲットを決めて大胆な金融緩和政策」を取ることになります。もちろん、グリーンスパンの警告した「デフレ時におけるお金の量と予想インフレ率の関係は非連続的である危険」はそこにあるのですが、そんな「万が一のメルトダウン」のようなことは考えても仕方がないと考える人が大半です。

Maeda

> 日銀の主要なメンバーがすべてリフレ派になった

んー???
やっぱり事実認識がかなりおかしいと思います.

keita

Satoshiさん、いつもブログ拝見しています。
リフレ派vsリフレ慎重派の対立点は、適度なインフレを日銀が供給するマネーの増加のみで達成することができ、しかもそれによって長期的な経済成長率が上がるかどうかという点に尽きると私は思います。
その意味で、株式市場や為替市場は先駆けて上がっていますが、これが景気回復につながっているかは今のところデータでは確認できませんし、さらにはバブルに依存する景気回復でないかはまだ判断できないと思います。(金融市場は上昇していますが、金融資産の上昇自体は中央銀行の目的ではありませんし、彼らが実態を反映していると限らないのはサブプライムバブルなどで何度も確認されています。)
マネーサプライを増えれば、インフレ率を上げること自体は可能だという事は白川日銀も認めていましたが、問題はそれが制御できるかどうかという点がリフレ派との対立点だと思います。
期待に働きかけて貸出が増加して行き、日銀が銀行に大量に供給した当座預金が実体経済へ流れ込んだ時、日銀が引き締めようとしても、国債の発行の7割を日銀が吸収している状態で、金利やインフレの上昇に歯止めが効かなくなることが確率が非常に低いかどうかは、経済学者の間でもやはり意見が別れているのが現状かと思います。
原発のリスクを無視すべきでないと仰られているSatoshiさんが、財政破綻という経済的なメルトダウンは考えても仕方が無いと考える人が大半とされているのにはやや違和感がありました。

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