前NRC会長ヤツコ氏「全ての原発には安全性に欠陥がある」と発言
2013.04.11
米国の原子力規制をつかさどる NRC の前会長、グレッグ・ヤツコ氏が Carnegie International Nuclear Policy Conference において、これまでの原子力規制を「バンソウコの上にバンソウコを重ねるようなやり方では問題は解決できない」と非難した上で、「米国にある104基すべての原発には修正のきかない安全性の欠陥があり、すべて廃炉にし、より安全な(小型で、全電源を失っても決して炉心溶融を起こさないタイプの)原子炉に置き換えるべきだ」と発言して注目を集めている(参照)。
ヤツコ氏は、NHK の ETV特集「“原発のリスク”を問い直す ~米・原子力規制元トップ 福島への旅~(13日に再放送)」においても、これまでの「被曝が原因で死ぬ人の数」だけに注目するやり方が根本的に間違っており、万が一の事故の際に15万人をも超える人が非難しなければならなくなるような原子炉の設計が根本的に間違っていると指摘している。
ちなみに、この「万が一の事故の際にも炉心溶融を起こさないタイプの原子炉に置き換えるべき」という意見は、武田邦彦教授も「原発の固有安全性」の問題として何度も取り上げているテーマで、原発の安全性を考える上ではとても重要な話である。米国だけでなく、日本やフランスの原発も全く同じ問題を抱えているのだ。
福島第一が、丸二年たったにも関わらず相変わらず大量の放射性物質を垂れ流し、東電が高濃度汚染水の置き場にすら苦労しているもすべて原発の固有安全性の欠如に起因している問題である。
今回、原子力規制委員会が発表した新しい安全基準も、そこまでは全く踏み込んでおらず、ヤツコ氏の言うところの「バンソウコの上にバンソウコを貼る」行為でしかない。つまり、既存の原発にどんなにコストをかけて安全性を高めたところで、万が一の事故の時には福島第一と同じ不幸が繰り返されるのだ。
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