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今週の週刊 Life is Beautiful:4月30日号

今週のメルマガ「週刊 Life is Beautiful」の配信準備が整ったので、内容を簡単に紹介する。

◇ ◇ ◇

今週のざっくばらん

自動車の未来

先日、自動車関連のベンチャー企業への投資を専門にしている投資家の人と食事をする機会があり、色々と面白い話が聴けました。まず第一に、zipcar に代表される自動車の共有サービスが急激な勢いで伸びているのそうです。一昔世代の人達にとっては、「自家用車」を持つことがステータスシンボルの一つでしたが、今の若い人達(20代から30代)にとっては、自動車は単なる「移動するための道具」にしか過ぎなく...

プルトニウムと安全保障

原発の話になると政治家がすぐに持ち出すのが「安全保障」という言葉です。政治家が「安全保障のためにも原発をやめることは出来ない」という時には、

  • 万が一、戦争などの理由で石油が輸入出来なくなったとしても必要なエネルギーを国内で作ることが出来るというエネルギーの自給力
  • 「日本はいつでも核兵器を作ろうと思えば作れる技術を持っている」という意味での抑止力
  • 核兵器を持たない国の中で唯一ウランの濃縮技術と核の再処理(使用済み核燃料からプルトニウムの抽出)技術を持つことを(米国から)許された「優等生国」として核の技術がこれ以上他の国に拡散することを防ぐ抑止力

の三つの意味を含めて...

私の目に止まった記事

 Your Car Is the Killer App for Google Glass

Google Glass が力を発揮するのは、自動車の運転中のカーナビゲーションなどの表示だ、という記事です。私もこの意見には大賛成で、昔から欲しかった車載カラオケがこれでようやく実現できると考えています。安全性を重視すれば、カーナビの情報やカラオケの歌詞はダッシュボードのディスプレイよりもフロントガラスに投射する方が安全ですが、...

Netflix Long Term View

米国の加入者を200万人増やし(トータルで2920万人)、四半期の売り上げが初めて$1Bを超えるという決算を発表したNetflix が、投資家向けに書いた長期ビジョンです。Facebook が上場した時にも Zackerberg が同じくこの手のメモを書きましたが、株主、社員、ユーザーなどのステーキホルダーとビジョンを共有して行く重要性を良く表す文章なので紹介します...

 Court Denies Motorola the Billions It Wanted From Microsoft for Standards-Essential Patents

Google に買収された Motorola が Microsoft に対して要求していた年間 $4 billion を超えるパテント料が認められず、ほぼ Microsoft の主張通りに年間 $1.8 million が適切だとシアトルの連邦裁判所が判断を下した、という報道です。以前にも書きましたが、Google が Motorola を買収したのは、ハードウェアビジネスに興味があったからではなく、Motorola が持つ携帯電話関連のパテントが...

エンジニアのための経済学: Apple の決算

4月の23日に Apple の3月期の決算が発表されました。Apple に関して、どんな商品をリリースしているかなどの表面的なことだけでなく、実際にどんなビジネスをしているかを理解したい場合、決算発表を読む・聴くことが一番の近道です。特に将来自分で会社を興したいと考えている人にとっては、自分が目指す企業、もしくは自分がやろうとしているビジネスに大きな影響を与えるだろう企業がどんなビジネスをしているかを理解しておくこと...

今週のビデオ:2013 National Teacher of the Year

Washington's 2013 Teacher of the Year

私の暮らすシアトルはワシントン州にありますが、そのワシントン州の片田舎の Zillah という町の高校の先生(Jeff Charbonneau)が、全米の教師の中から2013年の Teacher of the Year に選ばれ、オバマ大統領から表彰状をもらうことになったそうです。このビデオは Jeff のインタビューですが...

今週のKickStarter:Smart Garden

Smart Herb Garden by Click & Grow

LEDを使った卓上ガーデンという対して目新しい商品ではないにも関わらず、すでに6000人近くが申し込み、50万ドルを集めています。エンジニアが好むようなデザインにしたこと、CNET で紹介されたこと(参照)、39ドルという手軽な価格が衝動買いを促している、などさまざまな理由があると思います。マリファナを育てるために購入した人も...


H7N9 の感染者にはなぜ高齢者が多いのか

中国で発症している H7N9 ウィルスの感染者は、以前の H5N1 ウィルスと比べると高齢者が多い(なぜ若者は鳥インフルエンザにかからないのか)。また、鳥インフルエンザの毒性に関しても、専門家が「(強毒性だった H5N1と比べて)毒性は弱い」と指摘するにも関わらず108人中22人という死亡率の高さは納得がいかない。

これに関しては、香港大学の研究者の「実際の感染者は報告されている103人(注:このレポートが書かれた時点の数値)の倍以上いる可能性がある」との指摘(参照)が興味深い。毒性がそれほど強くないため、体力のある人達は感染しても大した症状に陥らないため、中国政府が把握できていないのだろうと予測している。

しかし、たとえ弱毒性ではあっても、これまで人類に広がったことのないウィルスであるため、毎年流行している「普通のインフルエンザ」と比べて重症に陥る人が多く、その分、死亡率が高くなる点は注意が必要である。

ちなみに、インフルエンザを予防する一番の方法は、出来るだけ頻繁に手を洗うことと、外から帰った時に「うがい」をすることだが、以外に知られていないのが「公共の場所でつり革やドアノブなどを触った後に手で目をこする」ことによる感染。

公共の場でつり革やドアノブを触った後にその手を口に入れたり、素手で食べ物を掴むことが良くないことは直感的に分かるが、目をこすることによる「手から目」という感染経路もあることは意外と知られていない。

ちなみに、米国の公衆トイレにはドアの手前にゴミ箱が置いてあるのが一般的だが、これは手を洗った後に水気を拭った紙ナプキンを使ってドアノブを開ける人が近年増えているため。公衆トイレのドアノブが主要なウィルスの感染経路の一つであるとの認識が広まっているからだ。

 

 


Facebook の ChatHead は通信事業者を「ただの土管」にしてしまうのか?

エンジニアtypeに「Facebook HOMEが引き起こすのは、待ち受け争奪戦ではなく次世代の『メッセージングツール戦争』だ」という記事を掲載した。私なりに Facebook Home の意味を解説してみた。

Facebook Home を最初に見たときは、「単に待ち受け画面を取りにきただけか」と思ったが、iPhone 向けの Facebook アプリにも ChatHead を搭載し、そこから4G経由で VoiP 電話が無料でかけられることを知った時、2年以上前に Zackerberg が宣言してたことを思い出した。

"Facebook はメールや電話に代わるコミュニケーション・プラットフォームになる"

Facebook Home の本当の狙いはここにある。ChatHead で通信事業者が提供する音声通話やメッセージングなどのサービスを置き換え、人と人がコミュニケーションする際になくてはならないサービスになること、これが Facebook の狙いだ。

この動きに一番の危機感を持つべきは、ひょっとしたら Google ではなくて、NTT ドコモなどの通信事業者なのかも知れない。ChatHead ですべてのコミュニケーションが成り立つのであれば、データ通信以外のサービスは一切不要になり、文字通り「ただの土管」になってしまうからだ。


今週の週刊 Life is Beautiful:4月23日号

今週のメルマガ「週刊 Life is Beautiful」の配信準備が整ったので、内容を簡単に紹介する。

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今週のざっくばらん

Kaino プロジェクト

以前、このメルマガでも e3 という名称で紹介したことがありますが、現在は Kaino (日本語の「開脳」)という名前を付けてアクティブラーニングの羽根さんとプロトタイプを使った実証実験をしています。先週の18日には、Evernote の Phil Libin 氏を招いた日経のセミナー「フィル直伝・楽しいシゴトの作り方」でも羽根さんが司会として「知的交配アイデアソン」と呼ぶセッションで実際のツールとして試し...

日本企業が抱えるバランスシートに載っていない負債

日本では最近「雇用規制」の緩和に関しての議論がさかんですが、日本の場合、「法律」と「慣習」の境界が不透明なためにとても分かりにくくなっています。そもそも日本の場合、「会社が誰のためにあるのか」という根本の部分の曖昧さからしてとても社会主義的な面があり、それがグローバル化が進む世界で戦う上での足かせになっているという事実からは目がそらせない...

私の目に止まった記事

"Evil Dead": How a First-Time Uruguayan Filmmaker Reinvented an American Horror Classic

米国では、Evil Dead (日本での公開名は「死霊のはらわた」)のリメーク版が公開され、1週目の売り上げが $26.8 million でチャートのトップに躍り出て、$17 million の制作費をあっというまに回収してしまいました。この映画を作ったのはウルグアイの新人監督 Fede Alvarez ですが、彼がこのハリウッド映画の監督に選ばれたのは...

Researchers use Moore's Law to calculate that life began before Earth existed

ムーアの法則とは、インテルの共同創業者のゴードン・ムーアが、1965年の論文で発表した「コンピュータの性能は18ヶ月ごとに倍になる」という予想ですが、この法則を生物に当てはめて逆算すると、生物の歴史は地球よりも古く、これは生物が地球上で発生したのではなく、別の星から来たことを示している、という...

Facebook Voice Calling Now Available To All US Users Thanks To Today’s Android Rollout

Facebook が米国のユーザー向けに無料の音声通話サービスを提供した、という報道です。つい先日も、Facebook Home の脅威に関して、Microsoft の Windows Phone グループの知り合いと話したのですが、Facebook の狙いは単に「待ち受け画面を取る」ことにあるのではなく、「メールや電話などのコミュニケーションのプラットフォームになる」ことにあると私は...

Premier League Chooses Hawk-Eye System

イギリスのサッカーリーグであるプレミアリーグが、Hawk-Eye Innovations の技術をゴール判定などに使うことを決めたという報道です。Hawk-Eye の技術はすでにテニスのトーナメントなどで使われている技術で、画像処理を使って、ボールの動きをミリ単位で把握して、ボールが線の外に出たかどうかなどをリアルタイムに判定する技術です...

How Microsoft got Windows revenue to go up despite PC sales going down

パソコン市場全体が落ち込んでいるにも関わらず、Microsoft の Windows グループの売り上げが 24 % も上昇したことに関して、自社製のタブレットである Windows Surface を発売したこと、Windows XP から Windows 7 への(Windows 8 ではない点に注意)アップグレードが加速していることなどを理由に、必ずしも健全な状態にあるとは言えないと評価して...

Sunil Tripathi family grateful Boston explosion allegations resolved

ボストンでの爆弾テロ事件に関しては、セキュリティカメラやスマートフォンで撮影された画像や映像が犯人を特定する上で重要な役割を果たしました。FBI が犯人らしき二人組の写真を公開してから、その二人との銃撃戦(1人死亡、1人逃亡→後に逮捕)まで2日とかかりませんでしたが、そのわずかな間に、全く別の大学生が写真の男として特定されたという誤った情報がソシアル・メディアに瞬く間に広まり...

今週のビデオ:iSteve

iSteve

Steve Jobs のパロディ・ビデオですが、78 分という大作です。Steve Jobs と Bill Gates が恋敵だったりと、かなりデタラメな部分もありますが、そこもパロディだと割り切ってみれば楽しめると思います。コメントを見ると、「全く面白くない!」という意見から「今まで見た中で最高に面白い!」まで...

UIEvolution 起業ものがたり(17): Incubation

投資家から資金を集める際に、原則としては投資家が提供するものは現金のみですが、交渉次第では「現金以外の何か」を提供してもらうことも可能です。私が Ignition Parners から資金を集めた際は、現金に加えて、6ヶ月間のオフィス・スペースとその期間の経理・人事・受付などのすべての事務仕事を...


ガラポンTVで作る「おもてなしテレビ」はソニーのコクーンを超えるか?

去年の7月のケーブルコンベンション2012で「セットトップボックスにAndroidを載せれば何とかなる、なんてとんだ勘違い。そんな甘い考え方でいたらケーブル業界は必ず負ける」と発言して、意図せずに発表されたばかりの KDDI の Android セットトップボックスを批判してしまった私だが(参照)、私の目指すところは「おもてなしテレビ」である。

「おもてなしテレビ」とは、録画予約などしなくとも家に帰ってテレビのスイッチを入れるだけで、自分が見るべき番組(もしくは番組の一部)を30分とか1時間などの指定した時間で見せてくれる究極の「おもてなし」を提供してくれるテレビだ。気に入った場面を手軽に Facebook や Youtube で(著作権を気にすることもなく)共有することも出来る、というソシアル・ネットワーク機能、家の外からパソコンやスマートフォンで映像を見る機能も必須だ。

私なりにそれに近い環境を作ろうと、6ch/15日分を録画し続ける「タイムシフトマシン」である東芝のDBR-M190 と Slingbox の組み合わせで色々と実験はしているのだが、API が公開されているわけではないので、思いっきり使い勝手が悪い。

誰かもう少しオープンな環境の「タイムシフトマシン」を作ってくれないかと待っていたところ、既存の家電メーカーではなく、家電ベンチャーのガラポン株式会社から「ガラポンTV参号機」が発売されたので、早速注文した。

Gara

目的はもちろん「おもてなしテレビ」アプリの開発だ。

まだAPIを見始めたばかりなので、どこまで可能なのかは分からないが、理想的には「プレイ」ボタンを押すと私が見たいだろう番組(もしくは番組の一部)を選んで流してくれるだけのごくシンプルなインターフェイスを持つアプリだ。見たくなければ「スキップ」ボタンを押し(すると次の候補が流れる)、後で時間のある時に見たければ「後で」ボタン、気に入れば「いいね」ボタンを押して見続けるだけだ。

 基本的な操作はこの4つのボタン(プレイ、スキップ、後で、いいね)で行い、その操作情報から私の趣向を少しづつ学び、使えば使うほど私にマッチした番組を見つけ出すのが上手になる、という学習型のアプリだ。それなりのものが出来たら、オープンソースなプロジェクトとして公開したいと考えている。

これを書いていて思い出すのが、ソニーのコクーン。あれは素晴らしいプロジェクトだった。コクーンとか AIBO のような夢のある製品を作るのをやめ、誰が必要としているのかさっぱり分からない Google テレビを売り始めたあたりで、ソニーの歯車が大きく狂い始めたように思う。

しかし、良く考えてみると、色々なしがらみを抱えた従来型の家電メーカーではなくて、小回りの効く家電ベンチャーからこんな素晴らしい商品が出て来る方が自然の流れだし、健全でもある。

日本の政府は、何かというと「既存の企業の延命」に税金を投入したがるが、政府がやるべきことは、特定の企業の支援ではなくて、こんな小さなベンチャー企業が大会社とちゃんと戦えるような(もしくは、大企業から優秀な技術者が飛び出してベンチャー企業を始めやすいような)環境や法律を整備することにある、と私は思うのだがいかがだろうか。


今週の週刊 Life is Beautiful:4月16日号

今週のメルマガ「週刊 Life is Beautiful」の配信準備が整ったので、内容を簡単に紹介する。

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今週のざっくばらん

GoogleとAppleによるWebKit の共同開発の終焉

Google がこれからは WebKit ではなく、WebKit をフォーク(枝分かれさせて別の道を歩むこと)して作った Blink というレンダリング・エンジン(インターネット上のウェブページを表示するソフトウェア)を Chrome ブラウザー向けに開発して行く、と発表し、多くの関係者にショックを与えました。これは実質的に、オープンソースという形をとった Google と Apple の共同開発の終焉であり、せっかく WebKit のデファクト・スタンダード化により足並みが揃って来たブラウザーの標準化に...

私の目に止まった記事

IRS to Silicon Valley: 'No Free Lunch'

Google などのハイテク企業が提供している「無料の昼食」は課税対象であるべきと米国のIRS(Internal Revenue Service、日本の税務署に相当する組織)が主張しているという報道です。この主張が通れば、Googleなどの企業は過去に遡って、無料で提供した昼食代を従業員への報酬として扱い、国税および社会保障税を従業員に代わって支払う必要がでてきます...

Exclusive: Microsoft's next Xbox will take over your TV, interact with your cable box

Microsoft が、リビングルームの支配を狙って Xbox を「テレビを見るデバイス」として大幅に進化させるらしい、という報道です。ケーブルテレビの信号を受信してセットトップボックスの役割を果たす、という話なので、Netflix のようにケーブルテレビ業界と対抗して放送革命を起こしてしまおうというほど大きな話ではありませんが、一応、注目しておく価値があります...

What Microsoft's Blue is and isn't

去年から噂されていた Microsoft の Blue がようやく正式に発表されましたが、それが何であるかに関して少し市場に混乱があるので、それを明確にしようと試みている記事です。まず重要なのは、Windows Blue で、これは Windows 8 のマイナー・アップデートです。Apple が OS-X を1年に一回のペースで...

Got plutonium? Bury it

原発国である、米国や英国が溜め込んだプルトニウムは、リサイクルしようなどと考えずに、地中に埋めてしまうのが最も安全で経済的だ、という記事です。この記事によると世界で備蓄されているプルトニウムは500トンで、10万発の原子爆弾を作ることが可能です。これに(行きどころがなくて)中間貯蔵されている使用済み核燃料の中に含まれているプルトニウムを含めると...

Opinion: Antitrust complaint against Android is an attack on open source

Google が Android OS の配布の仕方に関して、Microsoft、Oracle、Nokia から訴えられていますが、無料でソフトウェアで配布することにより何らかのメリットを得ようとすることは当然の権利であり、それを独占禁止法で取りしまうことは、オープン・ソースそのものへの攻撃だ、というのがこの記事の主張です...

Samsung’s Going to Ship a Ton of Smartphones This Year

Samsung が2013年にはさらにシェアを伸ばし、Glaxy S4 は7000万台、スマートフォン全体では2億8千500万台を売るだろう、との予測です。実際の勢力図としては、日本や米国などの先進国では iPhone を追いかける形で Glaxy S4 が2位のポジションをがっちりと固め...

iPad 5 release date, specs, features and price rumours

巷には新型 iPhone、新型 iPad に関するさまざまな情報が飛び交っていますが、この記事もその一つです。新型 iPad に関しての情報の中で私が注目しているのは、シャープの IGZO (Indium Gallium Zinc Oxide)をディスプレイとして採用する可能性に関しての情報です...

今週のビデオ:北朝鮮ドキュメンタリー

DPRK: The Land Of Whispers (North Korea Travel Documentary) (2013)

1人の青年が自らカメラを持って北朝鮮に入って作ったドキュメンタリー・フィルムです。公式に取材を認められたジャーナリストでも、単なる旅行者でもなく、表向きは...

読者からのご質問・ご意見コーナー

今週の質問です。

先日、Googleから自社で開発していたRSS リーダーを廃止するという
アナウンスがありました。すでにGoogleのホームページからはRSS
リーダーのページへのリンクが外されています。

情報収集の手段がTwitterやFacebookなどに移行しているとはいえ、
廃止しなくてもよかったのではないかと思っています。

伺いたいのは、
1.Googleはなぜ、RSSリーダーの開発を止めたのか?
2.TwitterやFacebookは情報を伝えるには、優れたツールだと思いますが、
 最初に情報をつかむのは不得手だと思います。
 今後、情報を最初に見つける手段は、どう変化して行くのでしょうか?

この件に関しては、色々な見方がありますが、これからも「20%ルール」を活用してエンジニアたちに色々と面白そうなもの作ってもらうためにも、時々こんな風に「雑草狩り」をして戦略的な価値の少ないものを排除していかなければ事業が発散...


前NRC会長ヤツコ氏「全ての原発には安全性に欠陥がある」と発言

米国の原子力規制をつかさどる NRC の前会長、グレッグ・ヤツコ氏が Carnegie International Nuclear Policy Conference において、これまでの原子力規制を「バンソウコの上にバンソウコを重ねるようなやり方では問題は解決できない」と非難した上で、「米国にある104基すべての原発には修正のきかない安全性の欠陥があり、すべて廃炉にし、より安全な(小型で、全電源を失っても決して炉心溶融を起こさないタイプの)原子炉に置き換えるべきだ」と発言して注目を集めている(参照)。

ヤツコ氏は、NHK の ETV特集「“原発のリスク”を問い直す ~米・原子力規制元トップ 福島への旅~(13日に再放送)」においても、これまでの「被曝が原因で死ぬ人の数」だけに注目するやり方が根本的に間違っており、万が一の事故の際に15万人をも超える人が非難しなければならなくなるような原子炉の設計が根本的に間違っていると指摘している。

ちなみに、この「万が一の事故の際にも炉心溶融を起こさないタイプの原子炉に置き換えるべき」という意見は、武田邦彦教授も「原発の固有安全性」の問題として何度も取り上げているテーマで、原発の安全性を考える上ではとても重要な話である。米国だけでなく、日本やフランスの原発も全く同じ問題を抱えているのだ。

福島第一が、丸二年たったにも関わらず相変わらず大量の放射性物質を垂れ流し、東電が高濃度汚染水の置き場にすら苦労しているもすべて原発の固有安全性の欠如に起因している問題である。

今回、原子力規制委員会が発表した新しい安全基準も、そこまでは全く踏み込んでおらず、ヤツコ氏の言うところの「バンソウコの上にバンソウコを貼る」行為でしかない。つまり、既存の原発にどんなにコストをかけて安全性を高めたところで、万が一の事故の時には福島第一と同じ不幸が繰り返されるのだ。


北朝鮮がマイクロソフトに宣戦布告!?

ニューヨーカーによれば、北朝鮮のミサイルの発射が遅れたのは、Windows 8 に問題があるからだそうだ(参照)。この記事によれば、北朝鮮はこれまで(1995年にリリースされた) Windows 95 を使って来たが、最近になってようやく最新の Windows 8 に移行し、それがトラブルの原因だそうだ。

Windows95 であれば、スタートボタンからメニューを使って簡単に「ミサイル発射アプリ」を立ち上げることが出来たが、スタートボタンのない Windows 8 だと、オペレーターがミサイル発射アプリを見つけられなかったとでも言うのだろうか。

さらにこの記事では、この Windows 8 を開発した Microsoft に対して、北朝鮮が宣戦布告を考慮していると書いている。シアトルは一応、北朝鮮の長距離弾道ミサイルが届く範囲ではあるが、この話を本気にしている人は私の回りには1人もいない。

エイプリルフールでもないのに、こんな記事が出ること事態が異常事態だ。

ちなみに、こちらのメディアでは連日、北朝鮮がトップニュースで、日本よりも遥かに緊張感をあおる報道がされている。イラクやアフガンへの侵攻の直前にも同じような報道が繰り替えされていたことを考えれば、「いざとなった時に攻め込む」ことを正当化するための世論操作だと見ることも出来る。

さすがに(米国からの)先制攻撃は出来ないが、「北朝鮮のミサイル発射を攻撃と見なして撃ち落として一気に攻め入る」「北朝鮮内部にクーデターを起こさせて親米政権を打ち立てる」などのシミュレーションは当然して準備を進めているわけで、一触即発な状態であることには変わりない。

米国政府によると、一番の懸念は、北朝鮮国内が混乱に陥った時に、軍部の一部がテロ組織となって核兵器を手に入れてしまうことだそうだが、そのためには一気に攻め入って核施設を空から破壊する作戦が重要になる。その場合、プルトニウム製造のために稼働中の原発はメルトダウンを起こして大量の放射性物質を大気中にまき散らす心配はないのかが私にはとても気になって仕方がない。

NK Nuclear Sites Map

(North Korea: Nuclear menace or Paper Tiger? より引用)


読売新聞の本音:原発新規制基準に関する社説

読売新聞の社説「原発新規制基準 ゼロリスクにとらわれるな(4月11日付・読売社説)」にいくつか曖昧な表現があったので、読売新聞の本音が明白になる様に修正しておいた。

原発新規性基準は電力会社の財務状態を考慮して決めるべき

 原子力規制委員会が、原子力発電所に適用する新たな規制(安全)基準の最終案を決めた。

 東京電力福島第一原発事故を踏まえ、従来の想定より大きな地震や津波への対策を求めた。原子炉が壊れる重大事故を防ぐため、電源や冷却機能の拡充も盛り込んだ。

 事故前の基準の欠陥を改めることは必要だろう。だが、新基準の検討過程で内外から電力会社から相次いだ次いだ「ゼロリスクを求め過ぎだ」との批判はほとんど反映されなかった。

 問題をはらむ電力会社にとってはとても迷惑な基準案である。

 その一つは、原発敷地内の活断層の扱いだ。これまでは12万~13万年前以降に動いたものを対象としていたが、最大40万年前まで遡って調査することを課した。

 規制委はすでに、これを先取りして原発敷地内の活断層を調査している。この際、島崎邦彦委員長代理は繰り返し、「活断層が100%ない」という証明を求めており「活断層の存在の疑いがある場所での原発の稼働は危険」と主張しており、新基準にも同様の項目が設けられることになった。

 あまりに非科学的な電力会社の財務事情を無視した要求だ。むしろ、活断層が動いても大丈夫なよう安全設備の強度を増す工学的な対応を優先すべきであるこれまでと同じ様に、多少の活断層には目をつむって再稼働を許可すべきだ。

 専門家電力会社が「過剰」と指摘する項目もある。典型例が、重大事故時に原子炉内の圧力を逃す手段であるフィルター付きベントだ。

 新基準は全原発に設置を義務づけたが、米国は先月、専門家の議論を経て義務付けの必要性を訴えるNRCの技術陣の主張にも関わらず、電力会社からのロビー活動に押し切られて、米国の原発には当面、不要とした。米エネルギー省幹部が「日本の厳しい基準が海外にも影響しかねない」と懸念を示したのは、もっともである。

 規制委は意見公募を経て、7月までに新基準を施行する。これに基づいて、停止中の原発の安全性について審査する。

 重要なのは、審査の効率を上げること基準をあまり厳密に適用しないことだ。技術に詳しい職員が限られ、同時に審査できるのは3か所の原発だけという。人材確保など体制強化が必要である今までのように安全性の確保は電力会社に任せれば良い。

 原発ごとの柔軟な対応も不可欠だ。一律に消火設備などの数を決めるのは現実的ではない。

 審査では、各炉に最新技術の導入を義務づける「バックフィット制度」を適用する。安全向上は大切だが、費用がかさみ、廃炉を迫られる例も出るのではないか。

 原発の停止で電力供給は綱渡りだ電力会社の財務状態は綱渡り状態だ。火力の燃料費高騰で電気料金も上がっているを理由に電気料金を上げるのにも限度がある。安全を確認した上であろうがなかろうが原発の再稼働は急務である。

 規制委は、100%の安全を求める風潮にとらわれることなく安全性ばかりにこだわらず、電力会社の財務状態のことも考慮し、各原発の再稼働の可否を判断してもらいたい。


小論文:日本のエネルギー戦略のあるべき姿

メルマガ「週刊 Life is beautiful」の読者からの質問に答え、「日本のエネルギー戦略のあるべき姿」という小論文を書いたので概略を紹介する。

結論から先に言えば、当面(これから20〜30年間)の需要は化石燃料で満たしつつ(必要に応じて火力発電所の新設、小規模ガス発電への投資も行う)、再生可能エネルギーへの投資を大幅に増やす(逆に原子力への投資は減らす)ことが正しい選択だ、というのが私の結論だが、実際の小論文(今週号のメルマガで公開)には、そこに至るロジックを以下の順番で展開している。

日本のエネルギー戦略のあるべき姿

化石燃料はあと何年分あるのか?

1970年代のオイルショックの時に、「石油はあと30年で枯渇する」という言葉が良く使われました。しかし、あれから40年たった今でも、なくなる気配はないし、現在発見されている埋蔵量だけでもさらに40年分あります。このペースで行けば、40年後の2053年になっても、やはり「(2053年時点で)発見されている埋蔵量だけでも40年分ある」という状況になっているでしょう。何だか魔法のような話ですが...

化石燃料の問題点

「今世紀末まで化石燃料が枯渇する心配がない」のであれば、何もあわてて危険な原子力や、コストの高い再生可能エネルギーに切り替える必要はないようにも思えますが、化石燃料にはいくつかの致命的な問題があります。一つ目は、化石燃料が「有限の資源」である、という点です...

代替エネルギーとしての原子力

20世紀の後半になって、この「いつかは括弧する化石燃料」の代替エネルギーとして先進国により積極的に導入されたのが原子力でした。原子力は、同じ値段の燃料から取り出すことの出来るエネルギーが化石燃料よりも遥かに高く、かつ、運転時に二酸化炭素を出さない(=環境に優しい)、という二つの利点を持つ「夢のエネルギー」のはずでした。しかし、チェルノブイリや福島第一での事故を経験した結果...

なぜ原子力がなければ日本の経済は成り立たないのか?

にもかかわらず、日本では、自民党・経団連・経産省が「原子力がなければ日本の経済が成り立たない」と原発の再稼働をしようとしています。それどころか、原発の新設まで許可しようという動きがあります。なぜでしょうか?それは電力会社を頂点とした「原発エコノミー」が日本の経済の中心に...

日本のエネルギー政策はどうあるべきか

こんな事情があるため、答えは簡単ではありません。将来を重視すれば「必要な分は火力で補いながら、これまで原発に投資していた政府・民間のお金を再生可能エネルギーへの投資に回し、出来るだけ早く再生可能エネルギーの比率を増やす」ことが一番良いことは明らかですが...