Kindle ダイレクト・パブリシングを試してみた
2013.05.04
発表された時から一度は試してみなければと考えていた Amazon の Kindle ダイレクト・パブリッシング。出版社を通さずに、誰でも自費出版を自己資金ゼロで出来、かつ、印税も30%〜70%という高いのも魅力だ(紙の書物だと、印税は10%前後)。
そこでまずはメルマガ「週刊 Life is Beautiful」のバックナンバーを電子書籍化して出版してみた。
- 週刊 Life is Beautiful 創刊号(2011年8月分)
- 週刊 Life is Beautiful Vol.2(2011年9月分)
値段はどちらも最低の99円に設定してあるのでぜひお試しいただきたい。私が原発事故まもない時期に管総理と会って「東電の破綻処理」のお願いをした時の話を連載したのはこの時期だ。また「ブログには書けない/書かない話」のコーナーでは、スクエニによるUIEvolution の買収と、その後のMBOに関する裏話を書いてある。
ちなみに、出版の手順は以下の通り。
1. Amazon の Kindle ダイレクト・パブリシングでアカウントを作る。
2. フォーマット変換用のツール(Kindle Previewer)をダウンロードする。
3. 書籍を用意する
私の場合は、元の原稿が HTML メールなので、最初はそれをそのまま変換してみたが、これをするとリンクしている画像がうまく変換できない。そこで一度ブラウザーで開いてから、File->Save As...で "Webpage Complete" の形にして画像をローカルに引っ張って来る必要があった。
4. Kindle Previewer を使ってフォーマット変換する
5. 表紙画像を作る
表紙画像はビットマップ・エディターではなくて、ベクター・エディターで編集した上で、長い方の辺が2000ピクセルになるようにラスタライズすると良い。私の場合は、iPad上の neu.Draw を使った。
デザインはシンプルにしたかったが、宣伝文句も入れたかったので、実際の書籍を参考に、シンプルな表紙の上に「帯」をかぶせることで解決した。下がその具体例。
6. 管理ページの本棚に本を追加する
タイトルなどの必要な項目を入力した後、表紙画像と書籍(MOBIファイル)をアップロードする。この時、出版のページに移行しようとすると、著者名が日本語であるため、読みがなとローマ字表記の入力をリクエストされたので、これも追加。
7. 販売する国、値段を設定して、出版プロセスをスタート
販売する国はデフォールトの全世界。値段は、まずは米国での値段を 99セントに設定し、他の国は(日本も含めて)「米国の値段を標準に決める」ように指示した。
8. 審査に通るのを待つ
ここまでの操作で書籍は Amazon による審査待ちに入るので、ここはひたすら待つ。私の場合、次の日になぜか一旦「ドラフト」モードに変更されていることを発見したので、もう一度出版ボタンを押して再審査をリクエスト。すると翌々日は出版された(トータルで3日)。
まとめ
結果的には編集も含めてちょうど一週間で出版にまでこぎつけたので悪くはないが、ツールのユーザー・インターフェイスがとても分かりにくいので少々苦労した。変換途中の問題点をコンソール出力している点などは完全に開発者向けで、これが一般の作家にとっての自費出版の敷居を高くしている。
また、エミュレータがとても使いにくいので全ページをめくって確認するのにとても手間がかかっていたが、途中で iPad 版の Kindle に mobi ファイルを(iTunes の File Sharing 機能を使って)転送すれば簡単にテスト出来ることを発見して、効率が圧倒的に良くなった。
つまり、ひと言で言えば「開発者向けのツールとしては及第点だが、一般の人向けの出版ツールとしては、100点満点で30点ぐらいの出来。まだまだ改良の余地がある」という感じだ。
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