計画的避難区域の設定に関する首相官邸への公開質問
2013.09.12
首相官邸に向けて以下の質問を送付したので、ここで公開する。
避難区域の設定プロセスに関していくつか質問があります。「ICRPとIAEAの勧告は参考にしています」のような漠然とした回答ではなく、出来るだけ具体的に私の質問に答えていただきたくお願いします。
質問1:平成23年4月22日に発表された以下の文書、
「計画的避難区域」及び「緊急時避難準備区域」の設定について
http://www.meti.go.jp/press/2011/04/20110422004/20110422004-2.pdf
には、「国際放射線防護委員会(ICRP)と国際原子力機関(I AEA)の緊急時被ばく状況における放射線防護の基準値 (20~100ミリシーベルト)を考慮」との記述がありますが、どのドキュメントを指しているのか、具体的に(文書のタイトルおよびURLで)教えてください。
質問2:ICRP が2011年4月4日に発表した文書、
http://www.icrp.org/docs/p111(special%20free%20release).pdf
には、住民の被曝限度の基準値("reference level")を、1~20ミリシーベルトの範囲の前半に定めるようにと書かれていましたが、この勧告は上の各区域を設定する際に参考にされたのでしょうか?
質問3:もし、参考にされたとすれば、reference level はいくつに設定したのでしょうか?
質問4:避難区域の設定の仕方を見ると、reference level は20ミリシーベルトに設定されているように見えますが、もしそうであれば、なぜ ICRP の勧告通りに「1~20ミリシーベルトの範囲の前半」の数値を選ばずに、最大の20ミリシーベルトを選んだのでしょうか?
よろしくお願いします。
中島聡
というのも、経産省が公開している「「計画的避難区域」及び「緊急時避難準備区域」の設定について」には、年間20ミリシーベルトを「計画的避難区域」と「緊急時避難準備区域」の設定の際の基準値(reference level)として用いた理由として「国際放射線防護委員会(ICRP)と国際原子力機関(IAEA)の緊急時被ばく状況における放射線防護の基準値 (20~100ミリシーベルト)を考慮」とあたかも最も安全な数値を基準値として選んだように書かれているが、ICRP が事故直後に公開した勧告には、基準値(reference level)は、年間1〜20ミリシーベルトの間の前半(つまり10ミリシーベルト以下)に定めるべきと書いてあるからだ。
そこでまずは上の質問を資源エネルギー庁に送付したところ、以下のような回答をもらったのだ。
この度は資源エネルギー庁ホームページをご利用いただき、ありがとうございます。 ご質問の資料を作成した原子力被災者生活支援チームについては、所属が内閣府となりますので、 大変恐縮ですが、内閣府までお問い合わせいただければ幸いです。 また、質問2~4については、おそらく担当は環境省及び復興庁かと考えられますので、 併せてそちらにもお尋ねいただければ幸いです。 よろしくお願いいたします。
何とも無責任な話だが、仕方がないので首相官邸に直接質問を送付することにしたのだ。首相官邸からの回答はまだないが、質問の受理の確認のメールは本日いただいたので、とりあえずは質問文をここで公開した次第である。
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