今週のメルマガ「週刊 Life is Beautiful」の配信準備が整ったので、内容を簡単に紹介する。
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今週のざっくばらん
Video Shader
メルマガの読者の皆さんには、Facebook経由でベータ版を配布してご協力をいただいていますが、とても有意義なフィードバックをいただけて感謝しています。このアプリのユーザーには、1. すぐに使えるフィルターだけを使うユーザー、2. フィルターをカスタマイズしたり、追加のフィルターを入手したりするユーザー、3. フィルターを自作するユーザー、の三つの層のユーザーがいると想定しており、2割のユーザーがフィルターをカスタマイズし、さらにその2割のユーザーがフィルターを自作すると仮定しています...
大企業におけるイノベーション
先週の末から日本に来ていますが、その目的の一つがイノベーションに関するセミナーです。 タイトルとしては一応「イノベーションの方程式」にするつもりですが、実際のところは「方程式などない」というのが私の重要な主張の一つで、そこを伝えるのが簡単ではありません...
私の目に止まった記事
The Last Days of the DSLR
イノベーションに関して考えさせられる記事だったので紹介します。DSLR(デジタル一眼レフカメラ)は、ひと言で言えば昔ながらの一眼レフのフィルムの部分をCMOSセンサーに置き換えただけのものです。低価格なデジカメがカメラ付きのスマートフォンに駆逐される中、画質にこだわるカメラマンにとっては、DSLRは必須のアイテムとなっています。しかしそんな中で、進化に取り残されていたのが、ビューファインダーだったのです...
Electric car owner arrested for ‘stealing’ 5 cents of electricity
中学生の息子がテニスをしているのを待つ間、自分の電気自動車を充電するために学校の電気を無断で「盗んだ」という罪で逮捕された人の話です。逮捕された Kamooneh 氏は、スターバックスなどで携帯電話やノートパソコンを充電するという行動は誰でもしており、それと同じだと主張しているそうです。私自身、プラグイン・プリウスを運転していますが...
Oculus Rift is mind-blowing (if you don't barf)
Virtual Reality を実現するためのヘッドセット型ディスプレイ Oculus Rift に関しては、Kick Starter で資金集めをしている時に一度紹介をしたと思いますが、開発者たちのサポートも少しづつ増え、存在感を増しつつあります...
Why Apple's Topsy Buy May Be All About Its Social TV Future
Apple がソシアル・データのアナリティクス(解析)の会社 Topsy を買収したことが、巷ではさまざまな憶測を呼んでいます。その中でも、もっともありそうな話が、この記事にも書かれているテレビの視聴体験の拡張です。日本でもラピュタのテレビ放映時にTwitterで日本中の人が「パルス」とつぶやく「パルス祭り」...
Seattle Seahawks football fans 'caused minor earthquake'
今年は、私の地元のフットボール・チーム Seattle Seahawks がやたらと強いので、試合となると街全体がお祭り騒ぎになります。特にフットボール・スタジアムの声援が大きいことが有名で、今年は世界記録を更新したそうですが、この記事によると、そのエネルギーはマグニチュード1から2の小規模な地震と同じだそうです...
Misfit Raises $15.2M From Li Ka-shing’s Horizons Ventures For Its Activity Tracker, The Shine
アクティビティ・モニターとしては、Jawbone、FitBit、Nike Fuelband の三つが市場を分け合って来ましたが、この市場にはまだまだ進化の余地があり、1〜2年で市場が大きく変わってしまう可能性は十分にあります。この記事で紹介されている Misfit は、腕以外に付けられること、防水であること、充電が不要であることなど...
Google Puts Money on Robots, Using the Man Behind Android
Android を作った Andy Rubin が、Android の担当を外れて別のプロジェクトを担当することになった所までは少し前に報道されていましたが、今回、そのプロジェクトがロボットを作るプロジェクトであり、既にロボットや人口知能を開発していた会社を7つも買収していたことが分かり(そのうち一つは日本の Schaft という東大の情報システム工学研究室からスピンアウトした会社です)、大きな話題になっています...
Huawei CEO says company has exited U.S. network gear market
米国政府から「セキュリティ・リスクがある」と締出しを食らった中国の Huawei が米国における通信事業者向けの基地局機器ビジネスから撤退する、というニュースです。このセキュリティ・リスクの件が広く知られるようになったのは、ソフトバンクが米国の通信事業者 Sprint との買収交渉をアナウンスした時でした。米国内の通信事業者の海外企業による買収は、米国政府の許可が必要ですが、その条件の一つとして「Huawei の機器を基地局では使わないこと」を...
How Apple Blew It On Black Friday
通常は決して値引きをしない Apple ですが、感謝祭の次の日で、クリスマス・ショッピング・シーズンの最初の日となる Black Friday だけは値引きをするのが毎年の恒例になっています。去年までは、実際に「50ドル引き」「100ドル引き」という現金での値引きを行っていた Apple ですが、今年は値引きの代わりに、Appleストアで使える「50ドル分の商品券」を配布しました...
Amazon’s big surprise: Flying drones will deliver packages to customer doorsteps
CBSの対談番組「60 minutes」で、Jeff Bezos が無人飛行機を使った宅配サービスの研究開発をしていると発表し、大きなニュースになっています。Amazon の fullfilment center が近くにある都市であれば、注文して30分で無人飛行機が自宅まで商品を届けてくれる、というサービスで、4〜5年後の実用化を目指しているそうです。無人飛行機を使った宅配サービスのアイデアに関しては、このメルマガでも何回か紹介して来ましたが...
無理ゲーを勝ち抜いて、売上を1.5倍にした富士フィルム
富士フィルムが化粧品ビジネスに乗り出した話は、ここでも一度取り上げたと思いますが、時代の変化による荒波をどう乗り切るか、という意味で、この記事に書かれている富士フィルムはとても良いケース・スタディになると思います。主要なビジネスであったフィルム・ビジネスが消滅し、さらにそれを補うために育てたデジカメ・ビジネスが今度はスマートフォンによって淘汰されようとしている中で...
iOS 7 now on 74 percent of devices, up 10 percent from October
iPhone/iPad 向けのアプリケーションを作っている私としては、どの時点で新しいOSの機能を使うかを判断する上で、どのくらいのユーザーが新しいOSに移行したかを知ることはとても大切です。この記事にも書かれている通り、iOS7への移行は順調に進んでいるようで一安心です...
Apple Stores now using iBeacon tracking for app-enhanced personal shopping
iOS7 で導入されたテクノロジーのうち、私が注目しているものの一つが Bluetooth LE を利用した iBeacon ですが、まずは Apple 自身が、Apple Store で導入した、という記事です。iBeacon を利用すれば、GPSよりも遥かに高い精度で位置を特定することが出来る上に...
MIT Is Developing Technology That Will Allow You To Reach Into Your Computer Screen, Pull Something Out, And Move It With Your Hands
さまざまなテクノロジーの中でも、私がもっとも興味を持っている部分はやはりユーザー・インターフェイスであり、その意味では、この記事に紹介されているアイデアはとても良い刺激になります。特に超音波を使って、空中に押しボタンがあるような錯覚を作り出すという技術はとても新鮮で...
今週のクラウドファンディング
Pedal Power -- Human Scale Energy For Everyday Tasks
Kick Starter は、シリコンバレーの投資家たちが見向きもしないようなベンチャー企業の資金集めを可能にしましたが、この Pedal Power もそんなベンチャー企業の典型です。人力で電気を起こしたり、穀物を粉砕したりというアイデアは、技術的に見ればそれほど難しい話でもなく、特別に価値がある知的財産が作れるような分野ではありませんが、社会的にはやる意義があり、それをサポートしたいという人も沢山...
読者からのご質問・ご意見コーナー
今週は、こんな質問が来ていました。
メルマガ11月19日号の「Microsoftが "stack ranking" を破棄する」という記事を興味深く読みました。質問が 3つあります。
1つは、Microsoftに限らずAmazon, Facebook, 米Yahooなどの企業でもstack rankingを採用しているそうです が、Microsoftのstack rankingでは他の企業と比較して、特に大きな問題があったのでしょうか?社員に伝え られた内容は「カーブ(正規分布)評価の廃止」、「評価段階ごとにあらかじめ一定の人数枠を設ける方式の廃止」ということですが、運用が過激すぎるなどの問題があったのでしょうか?
2つめですが、日本の企業においても同様な制度は存在しますが、個々人の年次評価もしくは給与ランクは上司 から個別に本人に知らされるのみで、公表はされません。Microsoftでは他人のランクも知らされていたので しょうか(もし、そうなら結構イヤかもしれません)。
3つめですが、stack rankingの評価結果は、給与やストックオプションなどへの反映以外の用途にも使われて いたのでしょうか。例えば開発チームのメンバー編成といった業務面です。
この件は、地元のシアトルではとても大きいニュースで、メディアのみならず、日常の会話でもしばしば話題になります。Microsoftのstack rankingの仕組みは、私が在籍中からありましたが、成果主義を徹底する、という意味では大きなプラスになっていますが、どうしても相対評価になるため、自分のランクを上げるためには他人の足を引っ張っても良い、という弱肉強食の企業文化を...