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Google に対抗して、「VideoShader グラス」を作ってみた

先日リリースした、VideoShader だが、撮影した時の体感が面白いというユーザーの声を反映して、「VideoShader グラス」を試作してみた。自分の周りを「アニメの世界」として見ることができるというのはこれまでにない体感だ。

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「スマートフォンの次に来るもの」を考える上で「他では得られない体感」を提供することが大切と考える私としては、Kickstarter でも利用してハードウェア事業に乗り出すのも悪くないと考えている。


米国人にとっての捕鯨・イルカ漁

ケネディ大使のイルカ漁に体する発言を「内政干渉」と大騒ぎをしている人がいるが、彼女の発言を理解するには、イルカ漁やクジラ漁が米国人にとって、どんな意味があり、何を象徴するか、を理解する必要がある。

マウイの Whalers Villege ショッピング・センターには、捕鯨博物館があり、そこには捕鯨の歴史が淡々と綴られている。鯨油や鯨蝋(げいろう)が石油の代わりを果たし、鯨ひげがプラスチックの代わりを果たした時代に、その商業的価値のために、大量の鯨を虐殺して来たこと、ラハイナの待ちが捕鯨で発展して来たことなどを、歴史の一コマとして描いている。

捕鯨博物館の出口には小さな映画館があり、鯨がダイナミックに泳いだりジャンプしたりするさまを映し、鯨の生体や、ハワイの観光産業にとっての価値を説明している。

そこにあるのは、捕鯨という「過去」と、観光資源・人類の宝としての鯨の「現在」の対比だ。

つまり、米国人にとっては、捕鯨は「奴隷」「人身売買」「ネーティブ・アメリカン(=インディアン)の虐殺」「女性差別」などと同じく、すでに過去のもの、人類が野蛮だった時代に犯した過ち(もしくは必要悪)の一つでしかないのだ。

それは人身売買と同じく、現代では許されない「野蛮な行為」なのだ。

米国では、今でもごく一部だけネーティブ・アメリカンによる捕鯨が認められているが、これは米国政府が彼らから土地を取り上げた際の契約に基づくものであり、決して「ネーティブ・アメリカンの文化を守る」ためのものではない。

ここでもっとも重要なのは、米国人がどう考えるかではなく、日本人自身が捕鯨やイルカ漁をどう見ているかだ。

大半の日本人が、あれは野蛮な行為であり、私たちの子孫の時代になっても、世界中の海を鯨やイルカが自由に泳ぎ回る地球であって欲しいと望むのであれば、捕鯨もイルカ漁も禁止すべきだ。鯨やイルカが自分の食卓に並ぶことを望む日本人が沢山いるのであれば、話は違うが、すでにそんな時代は、日本にとってすら過去の話だと私は思う。外圧に屈するのではなく、日本人として「捕鯨とイルカ漁は野蛮なことだからもうやめる」という判断を自らする時が来ていると思う。

上の文章は、メルマガ「週刊 Life is Beautiful」の1月28日号からの抜粋である。

 


「早期退職の誘惑」と「逃げ切りメンタリティ」

日本の家電メーカーがグローバル市場で戦えなくなっている原因の一つが、バブル時代に大量に雇った人達の人件費だということは、メルマガでもしばしば取り上げる話題だ。彼らが働き盛り(=アウトプットのピーク)を過ぎた50才以上になり、「アウトプット<給料」な人達が増えて来たことにより、「コストパフォーマンスの悪い企業体」になってしまっているのだ。

「社会常識に照らして不当な解雇はしてはいけない」などという曖昧な法律に守られた彼らを一方的に解雇することも出来ない会社は、早期退職プログラムでなんとか人員整理をしようとしているが、この方法では「外に職が簡単に見つけられる優秀な人たち」が先に辞め、「何とか定年まで会社をしゃぶり尽くそうとする逃げ切りメンタリティ一杯の人たち」が残り、逆に会社のコストパフォーマンスは悪くなる。

日経オンラインに、早期退職の誘惑 50代でも早まってはいけないという記事が出ているが、これには「電動マッサージ機が女性に大人気な5つの理由」と同じ違和感を感じた。

本音を書くのであれば、こんな感じになるだろう。

勤務先が早期退職者を募集しています。すでに住宅ローンは完済し、子どもも独立しているので応募して早めにリタイアしようかと思っていますが、夫婦2人の老後の生活は大丈夫でしょうか。(東京都、男性、57歳)

こんな質問をするのですから、すでにあなたは「今の会社で働き続ける意義」は感じておらず、今の会社を辞めた後に別の会社で働く気もない、という前提でお話します。会社が早期退職者を募集しているという状況から想像するに、高度成長期とともに躍進し、バブル期には大量に人を雇った、典型的な日本型の大企業で働いていらっしゃるのでしょう。

ご存知の通り、多くの日本企業は、終身雇用を前提に「若いうちは安月給でモーレツに働かせ、歳をとってから待遇を良くして借りを返す」というビジネスモデルで成長して来ました。会社が成長を続け、年齢構成がピラミッド型だった時代には良かったのですが、バブル崩壊後の低成長期のために、ピラミッド構造は壊れ、多くの企業の平均年齢は40才を超え、今やこのバランスシートに書かれていない負債(=終身雇用を前提に若いうちにこき使った従業員に体する「借り」)が会社に大きな重荷になっているのです。

つまり、会社はあなたに対して大きな「借り」があるのです。早期退職プログラムとは、その「借り」を帳消しにしようという会社の策略です。決して乗ってはいけません。若い頃に、さんざん「サービス残業」をさせられたことを忘れてはいけません。あの「貸し」を返してもらうためにも、何としてでも定年まで今の職にしがみつくべきです。

会社はあなたをいわゆる「窓際」に押しやるかも知れませんが、この圧力に屈してはいけません。適当に暇つぶしをして、定時に帰れば良いのです。毎日会社に行くだけで、ろくに仕事をせずに給料をもらえるなんて、とても恵まれていると考えなければいけません。若いうちの貸しを返してもらうために、徹底的に会社をしゃぶり尽くせば良いのです。

「そんなことをしたら会社が潰れる」などとあなたが心配する必要はありません。あなたの同期で既に役員になっている人もいるでしょう。あいつらに任せておけば良いのです。

大会社は蓄えもあるし、たとえ赤字でも、既存のビジネスからのキャッシュフローは潤沢にあるので、そう簡単には倒産しません。株を持っている銀行は簡単には諦めないし、いざとなれば政府が救済してくれます。日本政府は、大企業の倒産を嫌うのです。あれだけの事故を起こした東電を政府が破綻処理したがらないのは、銀行や保険会社が大量の株や債権を持っているからです。

結局のところは、こんな「逃げ切りメンタリティ」が日本企業の競争力を奪い、日本全体に閉塞感を生み出しているのだ。企業の新陳代謝を促し、終身雇用制が生み出した莫大な「借り」を何らかの形でチャラにしない限りは、この閉塞感は消せない。

ちなみに、2月7日にUIEvolutionの新オフィスで「若手エンジニア向けリクルーティング・トークイベント」というイベントを行うので、こんな閉塞感など吹き飛ばすべく、「人々のライフスタイルを変える大きな仕事をしたい」と感じているエンジニアの方々にはぜひとも参加していただきたい。一番の目的はUIEvolutionという会社とそこでのエンジニアの仕事を知ってもらうことにあるが、エンジニアとしてのキャリアの話とか、ソフトウェア重視の経営のあるべき姿など、より大きな視点でのディスカッションをしたいと考えている。

 


国民の税金を活用して市長選の応援演説をする石破茂

山本太郎氏『カネでふるさとを売れるかよ』石破茂幹事長の名護振興基金500億円案に」という記事に、石破茂幹事長の応援演説の内容が紹介されている。

名護市民のみなさま、ただ今ご紹介を頂きました、自由民主党幹事長の石破茂であります。我々自由民主党は安倍総裁以下、みな同じ思いで全面的に末松文信さんを支援を致しております。

...(中略)...

残念ながらこの名護市の、市民一人あたりの所得は沖縄の中でも低い地位にあります。全体的にも18万円所得が少ない。企業の従業員の数も減っている。人口増加著しい沖縄の中にあって、人口増加も低い数字に留まっている。このやんばる、この名護が発展することによって、間違いなくこの沖縄も発展を遂げるのであり、我々安倍政権として、仲井真知事と協力をして全面的に支援をして参る。国、県、市が協力し、新たに500億円の名護振興基金を作る、その実現をはかります。
 
ビジョン実現のためには必ずその裏付けとなる財源が必要であります。夢をカタチにするためには、確たる財源がなければ、できない。500億円の新しい名護振興基金を作る。基幹病院を設立する、小中一貫の学校を作る、子育てを充実する、きちんと時間通りに走る、那覇空港に新しい第2滑走路を早急に建設いたします。

...

私には、「自民党が応援する末松文信さんを名護市長に選んでいただければ、国からは500億円の名護復興基金をプレゼントするのでよろしく」と言っているよう聞こえるが、これは選挙違反ではないのだろうか?

国の予算は国民の財産である。それを、地方で行われる選挙の際に、政権を握っている与党が「復興基金」のようなお金をちらつかせることによって「票を買う」権利などないし、そんなことが許されるのであれば、与党が勝つに決まっているし、民主主義は成り立たない。

野党だけでなく、有権者すべてが、この応援演説が意味すること(=国家権力の乱用)を理解した上で、徹底的に非難すべきだ。


VideoShader リリースのお知らせ

メルマガでも開発の経緯をリアルタイムで紹介して来た VideoShader だが、ようやく Apple の承認も通り、iTunes ストアに並んだので報告する(iTunes ストアへのリンク)。

今回リリースした VideoShader は、私が開発した Script言語(Video Shader Script) で記述された「映像処理パイプライン」を実行するランタイムで、スクリプトを追加するだけで、それこそ無限のバラエティのフィルターを実行出来るのだ(アプリのインストール時には4つのフィルターが付いて来る)。

今後、フィルターの追加・配布や、スクリプト言語のオープン化、スクリプトの開発環境の提供も予定しているので、まずはアプリケーションをインストールして、「リアルタイムでビデオフィルターを走らせること」の楽しさを味わっていただきたい。

ちなみに、VideoShader 向けに開発したスクリプト言語の背景などに関しては、codeIQ の記事に詳しく書かれているので、そちらも参照していただくと良いと思う。

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今週の週刊 Life is Beautiful:1月14日号

今週のメルマガ「週刊 Life is Beautiful」の配信準備が整ったので、内容を簡単に紹介する。特に意識したわけではなかったが、先週のCESを反映した記事が多い。

◇ ◇ ◇

今週のざっくばらん

Slow Death of Microsoft

先週紹介した、Facebook 上での元 Microsoft 幹部たちの会話はまだ続いています。なぜMicrosoftが「影響力のない会社」になってしまったかに関しては、意見が分かれていますが、「影響力のない会社」になってしまったことに関しては、誰もが全くの疑問も持っていない点が重要です...

ちなみに、私自身がこの件に関して Facebook に書いたのは、以下の文章です。

Who killed Windows?

7 years ago (7 years after I left Microsoft), Apple has introduced iPhone. As the result, I have switched my main machine from Windows to Mac. Since then, I have *completely* moved away from Microsoft platforms, and just use either open platforms or platforms provided by Apple or Google. 

The combination of two fasts, (1) Mac was *necessary* to develop iPhone applications, and (2) Mac was *better* machine to develop software on open platforms, turned Mac into the de facto standard for developers and made Windows irrelevant.

そしてこれに対するコメントは大半が...

風評被害という詭弁(きべん)

私の Facebook のタイムラインは、半分以上がシアトル近郊で暮らすアメリカ人の書込みで占められていますが、事故から3年近く経った今でも、福島原発に関する書込みがあり、事故の重大さを実感させられます。つい先週も、「As Fukushima radiation makes landfall on California beaches, Natural News announces lab to test foods for radioactive cesium-137」という記事を引用しながら「I guess we're done eating Pacific Ocean fish... (もう太平洋の魚は食べられないみたいだね...)」との書込みがあり、とても複雑な気持ちになります。

日本政府は、この手の消費者の行動を「風評被害」と呼びますが、「風評被害」という言葉を使う時点で、これを「科学的に全く根拠のない消費者のヒステリックな行動」と決めつけており、それがいっそう溝を深めていると...

私の目に止まった記事

Sony Goes All-In On Cloud Content With “PlayStation Now” And A Cloud-Based VOD TV Service

ソニーが、CESで"PlayStation Now" というストリーミング型のゲーム・サービスと家庭向けのストリーミング映像サービスをアナウンスしたことを評価する記事ですが、平井社長の基調講演も成功で、ソニーにとって、今回のCESは大成功だったと言えます。しかし、マーケティング面だけでなく、最近のソニー製品には復活の兆しが見えて来たと...

CES 2014: Toyota shows off fuel cell car that can also power a home

最近は「CESの主役は家電ではなく自動車だ」と言う人もいるCESですが、その傾向を象徴するようなのが、今回のトヨタによる燃料電池車(Fuel Cell Vehicle)の発表です。燃料電池車は、電気自動車と違って家庭で充電出来ない点が欠点ですが、燃料を充填する時間が短く(トヨタ車の場合3分)、航続距離が長い(310マイル)のが長所です...

Intel announces Edison: a 22nm dual-core PC the size of an SD card

Intel が SD カードサイズのコンピュータ(というかコンピュータの心臓部)、Edisonを発表しました。Intel のモバイル・デバイスへの進出は、StrongARM、XScale、Atom とことごとく失敗し、Qualcomm に大きく水を空けられています。Edison はスマートフォンやタブレットを飛び越してウェアラブル・デバイスをターゲットにしている点は評価出来ますが...

Xbox One sales top 3 million in ‘epic launch’ for Microsoft game console

Microsoft がクリスマス商戦で Xbox One を300万台売ったという報道です。一週間先駆けて発売した PlayStation 4 は 420万台売れたそうなので(参照)、どちらかが勝ったというよりは、「双方とも順調な滑り出し」というところでしょうか。しかし、両社がこの順調さを維持することは簡単ではないと私は見ています...

I Wore the New Oculus Rift and I Never Want to Look at Real Life Again

ゲーム開発者たちの間では Oculus への注目が集まっていますが、不思議で仕方が無いのは、なぜ Microsoft も Sony もこの方向への先行投資を今の段階からしないのか、ということです。据え置き型のゲーム端末をリリースしたばかりなのは分かりますが、数年後のことを考えれば、ゴーグルスタイルのゲーム端末(もしくはゲーム専用ディスプレイデバイス)は必須であり、今のうちに開発キットを開発者向けに...

Faraday’s Stylish New Bicycle Will Change How You Think About E-Bikes

米国では電動自転車がほとんど普及していないので、「これでようやく米国でも普及期にさしかかったか」と期待して読んだところ、まったくの期待外れでした。電池をフレームに入れたからと言って、それほどスタイリッシュになったとは思えないし、三千ドル(約30万円)という価格は高すぎます。日本であれば、10万円で十分に電動自転車を買えることを考えれば...

Apple's app sales topped $1B in December, $10B in 2013 - updated

iPhone/iPad 向けのアプリケーションの売り上げが、年間 $10 billion (約1兆円)を超えた、という報道です。特に2013年の後半からの伸びが大きく、12月には月間 $1 billion を超えたそうです。秋の新製品(iPhone 5c/5s)の需要が好調なのに加え、日本で NTT DoCoMo が iPhone を採用した影響も多く、国別の売り上げでは日本が米国を超えた...

Software - the new battleground for carmakers

家電ほどの急激な変化ではありませんが、自動車の世界においてもソフトウェアの重要性は増しており、ソフトウェアを通して自動車の機能すべてをコントロールする時代が来つつある、という話です。

これに関して象徴的な話は、Tesla の "creep mode" です。creeping とは...

New Gossip On How Apple Plans To Make The iPhone's Camera Better

Apple が iPhone6 にどんなカメラを搭載してくるか、という噂記事ですが、VideoShader を開発した経験から言えば、カメラの解像度だけをやたらと上げることは、CPU/GPUパワーや搭載しているメモリとのバランスを崩すことになりません。VideoShader の開発経験から言えば...

3D Systems Sweetens Its Offering with New ChefJet™ 3D Printer

CES ではやはり3Dプリンターが注目を集めましたが、私が最も「欲しい!」と感じたのは、3D Systems が発表した、食材向けの ChefJet です。これまでの3Dプリンターは、材料としてはプラスチックや金属を使った、アクセサリーや工業製品向けでしたが、ChefJet は材料として砂糖やチョコレートなどの食材を...

Finsix aims a shrink ray at laptop power adapters

ノートパソコン用のパワーアダプターは大きくて重いのが悩みですが、それを携帯電話向けのパワーアダプターに使われているスイッチング電源という技術を使って小さくしたのが、Finsix です。この製品そのものも魅力的だと思いましたが、この記事と同時に紹介してもらった、TDKの...

This Is What Happens When A Kid Leaves Traditional Education

米国では義務教育の形が日本とは異なり、親が責任を持って子供を教育する「Home School」という選択肢があります。私から見れば、米国の小中学校はかなり自由だと思うのですが、それでも「画一的すぎる」と感じる親が「Home School」を選択するのです...

7年前の今日、初代iPhoneが発表されました

この記事そのものに何か特別なことが書いてあるわけではありませんが、このタイトルを見た時に 初代 iPhone の発表の場にいることが出来たことを思い出しました。

当時、私はたまたま iPod 向けのソフトウェア・モジュールを提供している小さな会社の外部取締役をしていましたが、その前の年にその会社が Apple と結んだ契約書に...

ヒカキンのCMデビューは、放送と通信の融合の具体化かもしれない

多数の視聴者を持つ「Youtube スター」が世界中に誕生していますが、この境治氏の記事で紹介されている「ヒカキン」もその一人で、HikakinTV チャンネルへの登録者は現時点で94万人、日本語の Youtube チャンネルでありながらこの人数というのは驚異的な数字です...

2014年のはじまりはメディアの変化を思い知らされた

私は常々、テレビの進化は、テレビ自身のスマート化ではなく、視聴者がスマートフォンやタブレットを手元に持つことを前提としたマルチスクリーン化だと主張して来ましたが、この境治氏はコンテンツを作る側の立場から同じことを言っています...

今週のクラウドファンディング:Pocket Drone

Pocket Drone

最近、進歩が著しいのが、ソフトウェアで制御する無人飛行機(Drone)ですが、この Pocket Drone は、値段と性能のバランスがとても良く、GoPro カメラを搭載して空中撮影をするだけのために買っても良いと思える値段(500ドル弱)になってきました...

読者からのご質問・ご意見コーナー

今週は、こんな質問が来ていました。

先週(1/7)号のメルマガの "New Year Resolution"の中で、『UIEvolution を日
本の優秀なエンジニアの誰もが入りたがるような「すごい会社」にする』があり
ましたが、優秀な人材を集める手段の1つに会社の知名度を上げることがあると
思います。

改めてUIEのwebを拝見しましたが、ビジネスモデルとしてはB2Bであると感じま
した。B2BはB2Cに比較して、一般消費者が知る機会が少なく、なかなか知名度を
上げるのは難しいと感じるのですが、何かプランは考えておられるのでしょう
か?(例えばCPUという一般消費者から見て地味なプロダクトを"Intel
Inside"プログラムでインテルの名前を知らしめたようなものとか)
それともう1つ、UIEのプロダクトの中で「koukouTV」がUIEの名前をやや前面に
出した企画のように見受けられるのですが、今後、B2Cも手掛けていくというス
タンスにあるのでしょうか?

とても良い質問をありがとうございます。確かにご指摘の通り、B2B ビジネスの企業にとって、リクルーティングのために知名度を上げることは課題ですが、だからと言って必ずしも B2C ビジネスも手がけなければいけないとは思いません...


今週の週刊 Life is Beautiful:1月7日号

今年でメルマガ「週刊 Life is beutiful」を書き始めて足掛け4年目になるが、順調に読者も増えているし、毎週一回という執筆のリズムにも慣れて来た。2013年は、年末年始・休暇中・出張中も含めて一度も遅れることもなく、ゴーストライターも使わず、毎週火曜日にメルマガを発行することが出来たが、今年も同じペースで発行し続けたいと考えている。

ちなみに、今週号の内容はこんな感じだ。

 ◇ ◇ ◇ 

今週のざっくばらん、正月特番

New Year Resolution

私が使っているスポーツ・クラブは、毎年1月になると駐車場が込みますが、これはクラブに属していながらあまり利用していないメンバーが、「今年こそはもっと運動しよう」と決意を固めて来るからです(2月になると元に戻ります)。

この手の「新年の決意」を英語では New Year Resolution と呼び、一昔前なら、それを紙に箇条書きにして壁に張っておくのが一般的な方法でしたが、今ならブログやFacebookで外に向かって宣言してしまう方が効果的だと考える人もいます。

人はどうしても目の前の問題ばかりに心を奪われてしまい、「本当に大切なこと」「長い目で見て良いこと」を忘れてしまったり、先送りしてしまいがちなので、一年に一度ぐらいは自分の人生を見直すのも悪くないと思います。

私の場合、今年の New Year Resolution に相当するものは、五つあります。

一つ目は、ここでも何度か紹介してきた Video Shader という iPhone アプリで人々のライフスタイルを変えることです...

二番目は、UIEvolution を日本の優秀なエンジニアの誰もが入りたがるような「すごい会社」に...

三番目は、上のUIEvolution のビジネスとも関係する話ですが、2014年を「スマート・デジタル・サイネージ革命元年」にしたいと...

四番目は、教室に革命をもたらす「プロジェクト kaino」の実現です...

五番目は、仕事とは関係ありませんが、月曜日と水曜日の朝6時からの...

ソフトウェア・エンジニアという職

先週、初対面の人とゴルフをしている時に仕事の話になり、私がソフトウェア・エンジニアであることを伝えると、「君はプログラムが書けるのか、羨ましいな」と言われました。その人は弁護士の資格を持つシアトル市の検察官ですが、彼にとっては「プログラミング」は全く未知の世界のもので、「ソフトウェアを生み出すことが出来る」能力とはすごく特別なもの...

...もちろん、そのレベルに到達するのは決して簡単ではありませんが、プロ野球選手として「どの球団に入ってもベンチに入れる」レベルになるよりは遥かに敷居は低く、かつ、生涯賃金もストックオプションからのキャピタルゲインを加えれば、プロ野球選手に決して負けない点を考慮すれば...

伝えることの難しさ

東京新聞に「原発神話をぶっ壊せ」というタイトルで坂本龍一のインタビュー記事が掲載されていますが、重要なのは

深刻な問題をしかめっ面で言われると、大事な問題でも心を閉じてしまう。伝え方によって受け取る側はずいぶん変わる。同じ内容でも、昔ながらの市民運動型がたくさんある。事故前に原発の集会に行ったことがあるが、僕も引いてしまった。紙面もそうかもしれない。同じ内容を伝えるのでも、相手が心を開くような伝え方を、僕もいつも心がけている。

...中略...

「左翼紙」などというくくりで見られてしまって、真剣に読んでくれない人がいると損。書き方や見せ方、アプローチのやり方に気をつけないと。「正しいことを言っているんだから聞けよ」という態度だとダメですね。従来の市民運動にもそういう人が多く見られ、僕も嫌だなと思う。

という部分だと改めて認識しました...

ハードウェア革命

上に書いた kaino プロジェクトとも関連する話ですが、クラウドファンディングや3Dプリンタによって、ハードウェア・ビジネスへの参入障壁が下がると、ソフトウェア・ビジネスで起こったのと同じ様なビジネス革命がハードウェア・ビジネスでも起こる可能性は高いと私は見ています。同じ様な考えの人は他にもいるようで、Techcrunch の「SighES」というタイトルの記事は...

私の目に止まった記事

Should We Raise the Minimum Wage? 11 Questions and Answers

去年、米国では最低賃金(minimum wage)の引き上げがいくつかの州や市で起こり、論議を呼びました。私の住むシアトル近郊でも、空港を含む Sea-Tac という市で最低賃金が時給15ドルという極端に高い水準に引き上げられ、全米から注目を集めています。この記事はこの最低賃金問題をとても分かりやすく解説している記事なので、この件に興味のある方には、一読をお勧めします...

Amazon Decides to Stop Hiding Its Web Video Service

Amazon が Prime メンバーに対して Netflix に対抗するオンデマンド映像の見放題サービスを開始したことは業界内部では良く知られた話ですが、Amazon 自身はなぜかあまり積極的に宣伝して来ませんでした。それが最近になってコンテンツも充実して来たし、コマーシャルでも宣伝するようになった、というのがこの記事の主旨です...

The biggest threat to Windows: ‘People simply don’t care about it’

Microsoft が抱える問題(Windows というプラットフォームが開発者たちにとっては「どうでも良いプラットフォーム」になってしまった点)を端的に表した記事ですが、この記事、および、この記事が引用している Paul Thurott の記事「Facing the Biggest Problem with Windows in 2014」が、元Microsoftの幹部連中の間でさかんな議論を呼んでいます。

その中でも、David Sobeski (現在は Walt Disney の CTO) が Facebook に書いたメモ(非公開)がとても興味深いので、張り付けておきます...

Apple’s upcoming 12-inch iPad may hammer the notebook market

Apple が 12 インチの iPad Pro を出すという噂が巷には流れていますが、既に 9.7 インチのiPad や Android タブレットがパソコン市場からユーザーを奪いつつあることを考えれば、12 インチ iPad + 純正キーボードというパッケージをAppleが今のタイミングで出せば、さらに市場を奪うことは十分に可能に思えます...

読者からのご質問・ご意見コーナー

今週は、こんな質問が来ていました。

中島さんがPeteさんと設立して、iアプリを積極的にリリースされているneu.Pen LLCについて質問いたします。 neu.PenはLLC(Limited Liability Company)とされていますが、stock corporationとして起業されなかったのはなぜですか? また、(neu.Penの話ではなく一般論として)ベンチャーで起業する際に出資者 を募り、株式を発行するという手法を取らず、とりあえずLLCで起業し、業績が 上がり、出資者が出てきた時点でstock corporationに変更するという手法もあ りなのでしょうか。

鋭い質問、ありがとうございます。米国での法人の形は色々なものがありますが、ベンチャー企業を作るとすれば、基本的に LLC と C-Corp の二つの選択肢があると考えていただいて結構です。どちらも法人格を持ち、株主がおり、万が一のことがあっても株主は出資金以上の責任を追求されることがない、という点では非常に良く似ています...


米国でも注目されるソフトバンク

Chetan Consulting (シアトル)がモバイル業界関係者にしたアンケートによると、"Mobile Company of the Year 2013" として Samsung、Apple、Google に続く第4位にソフトバンクが、そして"Mobile Person of the Year 2013" として Samsumng の JK Shin 氏に続く第4位に孫正義氏が入っている。 NTT DoCoMo、Sony の名前は影も形もない。

何よりも素晴らしいのは、霞ヶ関を中核とした護送船団方式に便乗など全くしていないソフトバンクがこれだけの会社に成長した点だ。日本も捨てたものではない。

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