32歳でビル・ゲイツに直接プレゼンした話~「こんなきつい仕事いつまでも続けられない」と思っている全ての人へ
2016.06.01
先に紹介した『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である』(文響社)の「まえがき」を公開します。
◇ ◇ ◇
今日も残業だ
仕事が終わらない
また先送りしてしまった
やりたいことが全然できない
もっと効率的な方法があるんじゃないか
そんなことで、日々悩んでいるみなさんに朗報です。
この本は、「好きなことに思いっきり向き合う」ための時間術の本です。もし今、時間に縛られて、人生を楽しめていない、と感じている方はぜひ、この本を最後まで読んでみてください。明日の朝起きたら、今までのあなたとはまったく違う新しい人生が始まります。
みなさんはじめまして。この本の著者、中島聡と申します。私はプログラマーとして、米マイクロソフト本社でWindows95の開発に携わりました。パソコンに詳しくない方のためにわかりやすくお伝えしますと、「ドラッグ&ドロップ」を世界に普及させ、「右クリック」「ダブルクリック」の概念を現在の形にしたのが私です。
これを読んで「自分とは違う、遠い世界の話だ」と思われる方もいるかもしれません。しかし、こういった「世界を変える発明」は、時間を制することで誰でも生み出せる、と言っても過言ではないのです。
その理由をお話ししたいと思います。私が29歳で、マイクロソフトの日本法人から、本社勤務になった日のことです。私は、これまでにない脅威を感じました。なぜなら、アメリカのプログラマーたちが、絵に描いたように優秀そのものだったからです。朝早くからバリバリ仕事をこなし、夕方には颯爽と帰路につく。私よりはるかに腕のいいプログラマーがごろごろいて、到底太刀打ちできるようには思えなかったのです。おまけに私は、英語も全然しゃべれませんでした。
だから私は「時間との付き合い方」と徹底的に向き合うことにしました。まず、天から与えられている時間は皆平等である。ここに気がつきました。人の能力がいきなり向上するようなことはありません。ならば時間の使い方を徹底的に突き詰めるしかない。すなわち、時間を制する者が世界を制している。私はこれが、世界で成果を上げ続けている人たちの真実の姿だと思っています。私が身近に接した、元マイクロソフト社社長のビル・ゲイツこそ正にその中の一人でした。
その結果、32歳のときにビル・ゲイツの前でプレゼンをし、自分の提出した仕事が認められることになりました。それがWindows95です。
それらの実績が出せたこともあり、私は40歳のときに起業を決意しました。マイクロソフトを辞めると言うと、当時CEOだったスティーブ・バルマーは、私が退社する日の朝7時に、直接訪ねて引き留めてくれました。アメリカのベンチャー・キャピタル(投資家)は、起業の経験もない私に150万ドル(現在のレートで約1億7千万円)もの資金を出してくれました。どれも、身に余るほどありがたいことで、感謝してもしきれません。
もちろん、やりたいことがすべてできたわけではありませんし、関わったプロジェクトの成功率は3割くらいです。寝る間を惜しんでプログラムを書き続けなければいけないことはしばしばあるし、なかなかとれないバグ(不具合)で苦しむこともあります。新しい言語や開発環境を短期間で習得しなければならないときなど、肉体的にも精神的にも自分を酷使しなければいけません。
自分に鞭打って、眠い目をこすりながらパソコンに立ち向かわなければならないこともよくあります。つらいときがまったくないかと言えば嘘になります。
しかし、時間を自分の手の中に取り戻し、時間を最大限にまで効率的に運用し続ければ、もしかしたら2倍以上の能力差のある優秀な人たちをも出し抜けるのではないか、と思っていました。恐れるべきは失敗することではなく、自分の「やりたい」という思いに不誠実になることだったからです。
すると結果として、幸せな人生を手に入れることができたのです。「やりたいこと」を実
践するよう努力し続けていたら、結果を出すことができた、というわけです。
その結果を出すための自分のやり方を、今回私は「ロケットスタート時間術」と名付けました。本書では、みなさんにこの方法を最速で身に付け、一生定着させていけるように、次のような流れでお伝えしていきます。
- 「なぜあなたの仕事が終わらないのか?」を解き明かし、あなたのこれまでについて振り返っていただきます。敵を知り己を知れば百戦危うからず、だからです。
2章 「ロケットスタート時間術」を手に入れると、あなたにどんないいことがあるかを説明することで、時間を効率的に使うことの楽しさを実感していただきます。
3章 「ロケットスタート時間術」がいかにして生み出されてきたかをお伝えします。小・中学校時代、高校・大学時代、社会人になってから起業するまで、どう時間に向き合ってきたかの話が出てきます。
4章以降メインとなるノウハウのすべてを公開していきます。
本書は時間術の本です。ですが単純に、ノウハウをみなさんに教えるためだけに紙幅のすべてを割くことはしません。方法論の公開と同時に、たくさんの例とたくさんの比喩、たくさんの概念を織り交ぜて時間そのものの核心に迫っていきます。
そんな風なので、ノウハウの説明に至る以前の3章までをまどろっこしく感じる方もいるかもしれません。しかし全体を読み通していただいた後に、3章までの真の価値をきっとご理解いただけるはずです。なぜなら、ノウハウをあなたに伝えることは、私の本書での仕事のほんの一部にすぎないからです。
ドイツの文豪ゲーテは、「知ることだけでは十分ではない、それを使わないといけない。やる気だけでは十分ではない、実行しないといけない」と言いました。本書全体を通して私は、あなたにロケットスタート時間術を実践していただけるよう、丁寧に働きかけていくつもりです。
そのことをお伝えするために、これからあなたと一緒に私も、まるまる一冊をかけて「時間を探す旅」へと漕ぎ出していきたいと思います。時間そのものに対してそんな見方をしているのだ、こんな時間の使い方があるのだ、ということを発見しながら読んでいただければと思います。
一度立ち止まって、時間の使い方に徹底的に向き合う。
あなたが本当に効率的な仕事の仕方を身に付け、忙しさから解放されたいのであれば、一度立ち止まる勇気を「今」ここで持たなければなりません。
この本の「ロケットスタート時間術」は、あなたの苦しみを、今度こそ根本から治癒するために生まれたものです。あなたが「時間の手綱を自分の手に取り戻し」、自分の人生と世界を制する一助となれば、これほどうれしいことはありません。
世界を変えたのは「締め切りを守る男」だった
【世界を一変させたWindows95の設計思想を生み出した元マイクロソフト伝説のプログラマーが教える人生を制するスピード仕事術】
徹夜ナシ、残業ナシで、能力の高い人に勝てる。こんな一生ものの仕事術を、ぜひ身につけてみませんか?
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