ビルゲイツ向けのプレゼン会議が常に「質疑応答」しかなかった驚きの理由
2016.06.03
6月1日に発売したばかりの『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である』ですが、こうやって編集者の指示通りに書籍の内容を少しづつ紹介するブログの記事を書いているだけですが、順調にアマゾンでの順位が上がっています。初日はベストセラーランキングで20位、2日目は7位、現在(3日目の朝)は3位です。
今は広告の時代ではなく、ソーシャルマーケティングの時代だということは理解していたつもりですが、これほどまでに効果的というのは少し驚きです。ちなみに、今日から新聞広告も始まるそうですが、そちらは効果測定が難しいのが難点です。
以下は、本日の抜粋です。
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「出勤前の服選び」で疲れてどうする
効率化といえば、「世界の偉人はいつも同じ服を着ている」ということが一部で知られています。たとえばフェイスブックのマーク・ザッカーバーグはいつもグレーのTシャツにジーンズをはいています。アップルのスティーブ・ジョブズは黒のタートルネックにジーンズをはいていました。オバマ大統領はグレーかブルーのスーツを着ています。
彼らはなぜそういうことをしているのでしょうか。それは彼らが日常のささいな決断の数を減らそうとしているからだそうです。日々たくさんの人と会い、様々な意思決定を行う彼らは、普段から大きな決断を迫られています。そのため会社の経営や政治に関わる重大な決断をするときに脳が疲れないよう、無駄な決断をしないようにしているのだそうです。無駄な決断とは、ここでは服選びのことを指します。
心理学では、決断や意思決定をする際に減少する気力のようなものを「認知資源」という名前で呼んでいます。この言葉を使うと、つまり世界の偉人は、認知資源を経営や政治のために温存しているということになります。服選びなどのつまらない決断で疲れるのを避けようというわけです。
私は認知資源という言葉は最近まで知らなかったのですが、「決断疲れ」を避けようとする偉人たちの気持ちはとてもよくわかりました。私は毎日服を着る際、いつも箪笥(たんす)を3センチだけ開けて、一番手前にある服を着ることにしています。服で何か仕事に影響があるとは思っていないからです。服装が仕事のパフォーマンスに影響するならともかく、そうでないことがはっきりしているのに、服にいちいち気を遣う必要はあまりないのではないでしょうか。
服選びならともかく、もっと時間を取るものがあります。それは表敬訪問です。とくに用事はないけれども、ご挨拶という触れ込みで訪ねる不思議な文化です。あれは無礼の表明になりこそすれ、敬意の表明にはなりません。
ビル・ゲイツは私よりももっと先鋭化させた考えを持っています。最初に私が驚いたのは、彼が何らかの説明を社員から聞くときに、直接その社員からは話を聞かないことです。彼は情報をかみくだき、彼にわかりやすく説明してくれる専門の社員を雇っていたのです。私たち社員は、ビル・ゲイツに何か説明をするとき、その専門の社員に説明をします。するとその専門の社員がビル・ゲイツにわかりやすく説明をするのです。
一般のスタッフの中には、説明がうまい人もいれば下手な人もいます。そんな中でビル・ゲイツがいちいち顔を合わせて聞いていたら、膨大な時間がかかります。だから彼は、コストをかけてでも、説明を聞く時間を効率化するために専門のスタッフを雇っていたのです。当時ビルは、常時二人の説明専門家を雇っていました。
さらに、彼が参加するプレゼン会議では、発表者が発表をする時間は設けられません。彼のいうプレゼン会議とは、発表者との質疑応答の時間のことを指します。したがってスライドを動かしながら説明をするといったことはしません。資料は前もって送り、当日、質問を受けるだけです。これは究極の効率化です。
そこまで効率化を図りつつも、しっかりと会議をする目的は果たします。会議室に入っていきなり「3ページ目の開発は、ほかのグループがやってるけど、君は知らないのか」など鋭い突っ込みが入ります。そして会議は最長で 30 分という時間が決められています。ですのでちゃんと受け答えの準備ができていないと、うなだれて帰るのがオチになります。
ビル・ゲイツはとにかく仕事の効率化を図っている人です。私も彼ほどまでに厳しくはできませんが、ビル・ゲイツが世界一の大金持ちになった理由の一端は、彼の時間の使い方にあったのだと確信しています。
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