「宿題をほったらかしにしない」と人生が変わる
MBAで学べることより大切な、たった一つの人生の掟

「いつまでも成績が上がらない人」に共通する残念なノートのとりかた

6月1日発売の拙著『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である』からの引用です。

◇ ◇ ◇

あなたの授業での仕事はノートを取ることではない

中学になって初めての定期試験で、私は試験の前日に慌てて勉強してしまいました。とはいえ、試験のために勉強するという行為自体が初めてだったので、たいした勉強はできなかったのですが。

結果は、あまりよくありませんでした。そんなにダメというわけではなかったのですが、小学校の時のように、すらすら解けなかった。これは1週間前からコツコツと勉強をしないと次からは失敗するぞ、と悟りました。

当時、クラスメイトのF君が「徹夜で勉強をしてきた」と、試験日に言っていました。彼は試験はまったくできず(ひょっとしたら私よりも点数が悪かったかもしれません)、私は詰込みの勉強法では試験に太刀打ちできない、ということを彼に学びました。

寝ないと頭が働かない。そうすると本来発揮できるはずのパフォーマンスさえも発揮できなくなる。だから試験前はなるべくたくさん寝ていく。これは中学の試験から現在まで貫き通している私のポリシーです。毎日勉強していれば、試験前に慌てて時間を取る必要もない。そのことに気づいたのです。

中学と小学校との違いといえば、やはり英語という新たな科目を勉強しなくてはならないところです。私はもともと国語はからっきしでしたが、英語は勉強しなくてはと思っていました。理系の研究者になるからには、英語は必須、と子どもながらに考えていたからです。

とはいえ、やはり最初から英語の才能があったというわけではありません。まったく理解できなかったし、わからないからますます勉強をしたくなくなる、という負の循環がありました。その循環を断ち切るために、私はある勉強の仕方を始めることにしました。それは授業の前に、その日の分の教科書の英文を、全部訳しておくという方法です。

言葉にしてみると何ということもないかもしれませんが、やろうとすると意外と大変です。今でこそ英語を読むのは簡単なことですが、当時はそもそも英語に触れること自体がほとんどなかったのですから。

しかし、自分が何もわかっていないことを、授業で初めて教わってその場で理解していくという勉強過程も、なかなかハードなことだと当時の私は感じていました。それよりも事前に予習をしておいて、授業でその答え合わせをしていく、といったやり方のほうが頭にすっきり入ってくるのです。

ここで、みなさんに一つ質問です。

・授業前に毎回頑張って予習をして、試験には余裕でのぞむ。

・予習をせずに、試験前に苦労して寝不足の頭で当日を迎える。

どちらがいいでしょうか?

私は前者のほうが時間も節約できるし、何より勉強内容が頭に入ってくると考えました。予習の段階ではとにかく、わからないところは飛ばして全部訳していく。そうして授業を受けると、わからなかったところが埋まっていきます。

授業でも理解できなかったら、先生に質問する。英語の勉強はそれで終わりです。試験前も勉強という勉強はせず、ノートを読み返す程度でした。

これは英語だけでなく、物理や数学の勉強にも有効でした。様々な資格試験の勉強にも役立つ方法と思います。事前に次の授業の範囲の教科書の問題を解いておき、授業ではわからなかったところを理解する時間に充てるのです。

予習そのものも勉強になりますが、もっと重要なのは、授業そのものです。予習は自分がわからないところを明確にするための準備にすぎません。本当の勉強は授業中にするのです。授業で自分がわからなかったところを解決すれば、それが勉強になります。

その意味で、板書をノートにとることに授業の大半を費やしている人ばかりだと思いますが、これほど膨大な無駄に私はいまだかつて出会ったことがないと言えるほど、無駄中の無駄です。

あなたの授業での仕事は、ノートを取ることではありません。わからないことを理解することです。

予習をするメリットは授業の内容を適切に理解できるという点だけではありません。授業を最大限に活用することで、復習や試験前の勉強の時間などを削ることができます。すなわち、時間の節約になるのです。

やりたいことをやるには、やりたくないことを速攻で終わらせるしかない

私は高校受験を控え、早稲田大学の付属高校を受験することに決めました。理由は単純で、東京大学に進むためには国語と社会科目を勉強しないといけなかったからです。いい大学には行きたい。けれども一番の大学である東大に入るには、自分の嫌いな科目を受けなくてはならない。さすがに国語と社会科目を捨てて受かるほど東大は甘くない。ならば東大にはもうこだわらなくていいけど、次くらいにレベルの高い大学に入りたい。私立なら早稲田だな、ということで早稲田を選びました。

そして早稲田大学に入ることが目標なら、もういっそ付属高校から入ってしまえというシンプルな考えでした。付属高校に入れば、普段の成績さえ良ければ、受験なしのエスカレーター式で早稲田大学に入ることができます。わざわざ高校受験を通過したのに、またそこから3年間大学受験のための勉強をしなければいけないというのが、なんとも時間の無駄のように感じたのです。

勉強がよっぽど好きな人なら、こんな目標を立てずにとにかく勉強をするでしょう。でも正直なところ、勉強はできるだけしたくないですよね。私もそうでした。勉強よりも、好きなこと、やりたいことがある。だからそのためにいかに効率よく、楽に試練を乗り越えるかということばかり考えていました。

中学で物理学の本を読んでから、物理学の世界にハマッていました。大学では物理学の勉強をして、タイムマシンを作りたいとも考えていました。でも、タイムマシンを作るために漢字は必要ありません。それよりもむしろ、英語の研究論文を読んだりする必要はあると思っていたので、英語の成績ばかり伸びていきました。とにかく自分で納得できないもの、自分に必要ないと思っていたものは、やらない方向で生きていたのです。

そうやって無事、受験に合格し、早稲田大学高等学院に入学した私は、相変わらず予習をして授業を受けていました。そうすることで授業の内容がすっきり頭に入るだけでなく、無駄な勉強の時間を削り、効率的な学習ができるからです。これは高校でも通用する勉強法でした。そうして遊ぶ時間を確保したものの、何をしたらいいかわからず時間を持て余していた私に転機が訪れました。

高校2年生の時。親からコンピューターを買ってもらったのです。私はコンピューターを使い、さっそくプログラミングを始めました。プログラミング言語に関しては、最初はまったく意味がわかりませんでした。けれども雑誌に載っているプログラムをただひたすら、幾度も幾度も書き写していると、ある日突然プログラムの意味がわかるようになったのです。不思議な感覚でした。

これは英語も似たようなものだと思います。わからなくてもいいから何回も書き続けたりしゃべり続けたりする。そうしているうちに、ある日突然「悟る」のです。私はプログラムを「悟った」あの瞬間の興奮を今でも忘れません。そしてその瞬間こそが、私がプログラムの世界に足を踏み入れた瞬間なのです。

付属高校だから受験勉強をしなくてもいいとはいえ、定期試験の成績が良くないと好きな学部に進学できないという制約もありました。私はプログラムを始めてから、大学でもコンピューターの勉強をしたいと思っていたので、早稲田の理工学部に入るために成績は上位をキープしておく必要がありました。

勉強もしなければいけないけれど、アルバイトも忙しい(その頃、アスキーでプログラマーのアルバイトをはじめました)。中学の時ももちろん勉強の効率化には尽力していましたが、アルバイトを始めてからは、さらにそれを先鋭化させました。国語と社会科目は捨てていたので、もはや国語と社会科目の時間に英語の勉強をするといったことまでしていました(もちろん先生には怒られましたが……)。すべては大好きなプログラミングの時間を取るため。やりたいことをやるためには、やりたくないことを速攻で終わらせるしかないのです。

試験前もアルバイトはやりたかったので、中学の時と同様に、普段から予習をまじめにすることで、試験前の重点的な勉強を省くようにしました。勉強量は少なく、成績は高く。嫌いな勉強を倒すために、とにかく効率化しました。

社会や国語の勉強は本当に嫌いでしたが、やらないと好きなこともできなくなるので、とにかく嫌いなことをする時間を減らそうと努力しました。でも嫌いなことには集中できない。集中できないなら効率を上げるしかない。それだけを信じて突き進んでいました。

やりたいことを思いっきりやるには、効率的に動くことで、やりたくないことをなるだけやらずに済むようにし、同時にやりたくないことをどんどん片づけていくしかないのです。

そうして作った、世界初のパーソナルコンピュータ上で動くCADのソフト「CANDY」は爆発的なヒットになり、私は学生ながらにして億を超えるロイヤリティを手にしたのです。すべては、やりたくないことをやらないですむよう徹底的に効率化を図り、空いた時間をフルに使って、やりたいこと、やるべきことと情熱的に向き合い続けた結果です。

私は今までそうやって生きてきました。

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