発行部数の激減する新聞・雑誌。本当になくなってしまって良いのか?
「指示待ち人間」はなぜ生まれるのか?

10万部を超えるベストセラー書籍はどうやって生み出せば良いのか

先週、編集者の方から「なぜ、あなたの仕事は終わらないのか?」のさらなる増刷が決まり、ついに目標だった10万部を超えたという知らせを受けました(ちなみに、これは紙の書籍の数字で、Kindle などの電子書籍の読者数は含まれていません)。

私は、この本の前にも「エンジニアとしての生き方」「おもてなしの経済学」などの書物を幾つか書いてきましたが、労力の割には売れる数が少ないので(5000千部から1万部)、「もう書物は書かない」と一度は心に決めていました。

しかし、去年の末に「編集エージェント」という出版社から独立した形で書籍の企画・編集をしている方から声をかけられ、「必ずベストセラーにしてみせる」と説得されて書いたのが「なぜ、あなたの仕事は終わらないのか?」なのです。 最初は「彼に会うこと自体が時間の無駄かも知れない」と思っていたのですが、彼のロジックにとても説得力があったです。

そのロジックとは、

  • 出版社は再販制度のために、常に新しい書籍を市場に押し込まないと資金繰りが苦しくなるという悪循環に陥っている。
  • そのため、ほとんどの出版社は、丁寧にベストセラーを育てる余裕などなく、一人の編集者が複数の書籍を同時に担当し、1つ1つの書籍の質よりも、数で勝負をしている。
  • そのため、初版が3000千部〜5000千部で、ろくな宣伝もしてもらえないというケースが大半である(私の過去の書籍はこれに該当します)。

というものです。

そして、数万部を超えるようなベストセラーを作るのであれば、給料で働く出版社の編集者とではなく、著者と同じく印税で生活する独立系の編集者と企画の段階からタッグを組んで本を作る必要があるし、出版社選びも、ちゃんと広告費をかけて宣伝してくれるところを選ぶべきだと言うのです。

結局、彼にその場で説得され、「やるのであれば、必ず10万部は売れる本を作ろう」と心に決めたのです。実際に実現可能かどうかは、その時には半信半疑でしたが、そのぐらいの高いゴールを設定しない限りは、執筆をする気にならなかったのです。 なので、目標通りに10万部を突破できたのは、私にとってはとても喜ばしいことなのです。 そこで、備忘録も兼ねて、今回私が心がけたことを箇条書きにしてみます。

  1. 優秀な編集者とタッグを組まなければならない。出版社の中にいる編集者はあてにならないので、独立系の編集者が良いが、印税をシェアしてくれる形で働いてくれる人を見つけるべき。
  2. 出版社は丁寧に選ばなければならない。最初から1万部を超える数をコミットし、宣伝費もかけてくれるところを選ぶ。
  3. 本の構成やタイトルや装丁は可能な限り編集者に任せる。
  4. 読んだ人が誰でも理解できるように、できるだけ解りやすい言葉で書く
  5. 自分が「これだけは誰にも負けない」と思っているテーマを選ぶ。
  6. 「この本の内容ならば売れる」と意気投合してくれる編集者/出版社と組む。

この中で、最も重要で、かつ同時に、最も難しいのが、最後の「意気投合してくれる仲間を見つける」部分です。どんなビジネスでもそうですが、ビジョンを共有してくれて、一緒の同じゴールに向けて努力してくれる仲間を探すことが何よりも大切です。

私の場合は、私のブログの記事を見た編集者が、「それをネタに是非とも書籍を作りたい」と向こうから近づいてきてくれたので、この部分ではとてもラッキーでした。

そんな人を自分から見つけるには、労力も時間もかかるとは思いますが、ここで妥協しては絶対にいけないと思います。「この本なら売れる」と信じてくれる編集者と出版社を見つけることができれば(別の言い方をすれば、そんな人たちを見つけるだけの魅力のある本を書けるのであれば)、その時点で成功に必要不可欠な材料は揃ったとも言えるのです。

もし、書籍として書きたいテーマがあるのであれば、知り合いに話したり、ブログの記事として公開することを強くお勧めします。どのネタが良いのか決められないのであれば、それぞれを別の記事として公開して、人々の反応を見れば良いのです。

「ブログの記事に書いてしまったら本が売れなくなるのでは」と心配になるかも知れませんが、決してそんなことはありません。ブログはブログ、書籍には書籍の役割があるので、大丈夫です。私の書籍も、エッセンスの部分はブログで公開していますが、それでも書籍を読んでくれる人が沢山います。

ブログの記事をきっかけに、ベストセラーが生まれる、今はそんな時代なのです。

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