アウトプットにおいて「プロデューサー魂」を持つことの大切さ
2018.09.25
9月22日発売の「結局、人生はアウトプットで決まる 自分の価値を最大化する武器としての勉強術」からの引用です。
◉アウトプットが続く人、続かない人の違い(278ページ)
ここまで読んでみて「実際にアウトプットをしてみたくなった」という人は多いと思います(そう願っています)。しかし、いくら熱い意志を持っていても、時間が経つとアウトプットが続いている人、いつの間にか更新が止まっている人は、はっきり分かれていきます。
アウトプットが続かない理由として、さまざまな理由が考えられます。日々の業務や家の事情に追われ、アウトプットどころではないかもしれません。しかし、アウトプットが続かないのは、実はそもそも「テーマがあなたにとって魅力的ではないから」なのです。
これは、これからプログラミング言語を学ぼうとしている人にとっても同じです。
「最近流行っているし、プログラミング言語を学んでみよう」とか「なんか儲かりそうだし、学んでおくか」という発想では絶対に身につきません。そんな発想では、勉強していても集中力が続かないし、頭に入ってきません。
一方、「こんなアプリが作りたい!」といったはっきりとした目的がある人は飛躍的に成長します。目的に沿ったツールをマスターするために、必要に応じて「(ある意味)仕方なく勉強する」と、結果として効率の良い学習ができる、というのが私の経験則です。
なので、プログラミングを学んでみたいという人に私がすすめているのが、まずは仕事をしながらプログラミングを勉強すること(それも、できるかぎり、自分自身の役に立ちそうなものを作ってみるのがベストです)。その過程で、「プログラミングが楽しいと感じられるか」「自分に向いていると思うか」「夢中になれるか」などが見えてきます。
ですから、新しいサービスを立ち上げるにしても、副業するにしても、このプロセスを経てから決めてもは遅くないと思います。
私はよく転職の相談を受けますが、もしプログラミングがあなたにとっての「天職」であるならば、プログラミングを勉強しているうちに、その事実は自ずと見えてくるはずです。「こんなに楽しいことをして給料をもらえるなら、やるしかない!」という情熱が自然に湧き上がってきて、(私になど相談しなくても)転職すべきだということが明らかになるはずです。
逆に、勉強してもそんな情熱が自然に湧き上がってこないのだとしたら、もう一度考え直した方が良い、ということです。
これは、そっくりそのまま「アウトプット」にもあてはまります。
「なんか、これからのAI時代に役立ちそうだから」「同期のアイツも、ブログをやっているみたいだし……」こんなきっかけのままでは、長続きしないでしょう。また、習慣化したり、毎日同じ時間にアウトプットをしようとするなど、形から入ってみても、残念ながらうまくいかないでしょう。
第1章で、「目的意識があれば、多少の乱文でも読者に伝わる」とお伝えしました。これは、継続においても当てはまります。「なぜ自分がアウトプットをするのか」という部分がはっきりしていなかったり、テーマがつまらなかったり、自分に合っていないと、十中八九続きません。
前置きが長くなりました。アウトプットを少しやってみて、そのテーマがつまらないのであれば、今後続く可能性はきわめて低い。なので、一度決めたテーマでも、途中で変えてしまったほうが自分のためになります。何度も言っているように、好きで好きで仕方ないし、誰に頼まれたわけでもないのに、ついつい書いてしまうようなテーマがベスト。そういったテーマを設定すべきですし、「好きだな」と思えるテーマに出合えるまで、気になったものに片っぱしから首を突っ込んでみるべきなのです。
トップアスリートたちには、コーチという存在がいます。彼らは、選手の技術的なサポートだけをしているわけではありません。選手を鼓舞したり、大会期間中に高いモチベーションがキープできるように指導法を工夫したり、挫けそうになったときには自信を持たせたり……。テクニックやフィジカルのみならず、メンタル面での手厚いサポートも行っているわけです。
当然、各選手によって個性はバラバラですが、各選手の個性をきちんと把握して、「(選手は)どうすれば、モチベーションが上がるのか」「どんなサポートをすれば120%の力を発揮できるのか」といったことを常に考え、指導しています。
当然、これからアウトプットしてみようというあなたにコーチはいません。プレイヤーであると同時に、コーチも務めないといけません。誰もやってくれないので、自分を鼓舞したり、やる気を出させてあげる必要があります。
◉自分で自分のプロデューサーになる(282ページ)
ここで、私がブログを通じて「プロデュース能力」を得たという話を思い出してみてください。
NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」のプロデューサーは、コンテンツの作り方が非常に上手だとお伝えしました。それは、異常なほどのこだわりを持つ職人やクリエイター、トップアスリートたちを見つけ出し、そのこだわりのポイントを、映像とナレーションで巧みに視聴者に伝えているからです。
あなたがこれからアウトプットしていく中では、同時に「プロフェッショナル」のプロデューサーのような役割も務めないといけません。主人公はあなた。次に必要なのは、「(自分に)何を語らせたら面白いのか」を見抜くことです。
そして、番組のプロデューサーや現場のディレクターたちは、良い映像を撮ったり、名言を引き出すように日々奮闘しています。「どこをつついたらこの人は熱くなるのか」、そのポイントの見つけ方、そしてつつき方が絶妙なのです。
先述した、妻の父親のイースト菌へのこだわり。あれも同じで、彼との会話中に私は熱くなるポイントを押していたのですが、同じようなことをアウトプットしていく自分自身に対して、やってあげる必要があるでしょう。
続かない人に多く見られる理由として「テーマに魅力がない」とお伝えしました。逆に言えば、「自分が面白いと思うテーマを見つける」「自分にこれを語らせたら熱くなることを引き出す」リサーチャーとしての能力も求められているのです。自分自身のことだから、わかっているつもりでも、これが意外と難しい。それでも、各自で探し続けるしかありません。
アウトプットしてみたものの、3日坊主になってしまったとしましょう。当初のやる気は十分だったのに、次第に続かなくなることはよくあります。しかし、落胆する必要はありません。
それは、プレイヤーとしてのあなたが悪いわけではないからです。書けない、アウトプットが続かない自分が悪いのではなく、テーマ選びが間違っていただけ。つまり、リサーチャーとしての能力が足りなかったのです。好きなものでないと、続きません。さっさとそのテーマに別れを告げ、別のテーマに行きましょう。
私が、このプロデュース能力に気づくまでにはけっこう時間がかかりました。どんな記事なら多くの読者に読まれるのか、「中島聡という人間に何を語らせたら熱くなるのか」ということが、わかり始めたのはブログを始めて3~4年経った頃です。
これは、継続をしていれば自然と鍛えられていくもの。一夜にして得るものではないし、本を読んだからといってすぐにつかめるものではありません。「継続は力なり」とはよく言ったもので、続けてやっていくうちに、なんとなく見えてくるものです。
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