あなたの価値をAIより高めるたったひとつの方法
アウトプットに遠慮や忖度が必要ない理由

「好きなこと」をアウトプットすることが最強である理由

9月22日発売の「結局、人生はアウトプットで決まる 自分の価値を最大化する武器としての勉強術」からの引用です。

◉あなたにとっての「イースト菌」は何か(61ページ)

好きなことを話すと、そこには伝えることに欠かせない「熱」が加わります。

これは、私の義父、つまり妻のお父さんから聞いた話です。

お義父さんはパン職人です。パンづくりにはイースト菌が欠かせませんが、彼がイースト菌の話を始めたら、もう止まりません。

発酵には適した温度があり、温度によってパンの焼き上がりがまったく違ってくる。何度で発酵させるのが適していて、そのときのイースト菌のえさは何がいいかなどなど……。イースト菌は生き物ですから、発酵させるときの容器によっても、出来上がりに影響を与えるようなのです。

彼いわく「イースト菌は鉄を嫌う」とのこと。科学的な根拠もあるようで、たしかに鉄の容器で作ると味が悪くなるらしいのです。イースト菌は本当に鉄自体が嫌いなのかもしれないし、もしくは鉄の容器に付着するほかの雑菌が嫌いなのかもしれませんが、職人の肌感覚で「鉄の容器でイースト菌を発酵させてはいけない」ということを知っているのです。

こんな話を、目を輝かせながら、これまた嬉しそうに話してくれるのです。この話を聞いていて、私はとても興味を引かれました。私自身、パンは食べますが、イースト菌までは興味がおよびません。そんな私でも、イースト菌の話を聞いて「ああ、面白いな」と思ったのです。

 

彼とは普通に雑談していただけですし、彼はパン作りのプロであっても、しゃべりのプロではありません。ですが、好きなことに熱中している人の話は面白く、聞いている人をぐんぐん引き込む。実際に、私の心を動かしたのです。

 

「自分の好きなことをアウトプットすべきだ」と聞くと、ハードルが高いと感じるかもしれません。たとえば、先ほどの私の話を聞くと、高度な専門性があったり、お金を取れるレベルでないといけないと思うかもしれません。しかし、そんなことはないのです。お義父さんはパン職人ですが、趣味でパンづくりにハマっている人が同じ話をしても、同じ結果になったはずです。

そう。今の時代、パンづくりのなかでも「イースト菌」という特定の要素一つに興味を持ってくれる人がいるのです。そして、今は何より「読者に発掘されやすい時代」です。

独自のパンの作り方や、たとえば、「5分でできるパン作り」について書いたツイートが拡散されて、数万リツイートされることだって十分に考えられます。それを続けていれば「なんか、パン好きの面白い人がいるな」と読者もついてくる時代です。そのうち、パン情報をメルマガで発信したり、 リアルでパン焼き教室を開催したりすることも可能になってくるのです。

 

そもそも、ブログとは自分が好きなことを書くスペースであり、知見が求められる、いわゆるジャーナリズムとは目的が違います。自分が熱くなれるもの・ことについてを思いきり、自分をさらけ出して書いてしまって問題ありません。

 

似たようなコンテンツの作り方として非常にうまいと感じるのが、NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」です。

番組では、一般的には名の知られていない、いわゆる職人的な仕事に携わる人がフィーチャーされます。たとえば、チョコレート職人なら、多くの人が気にもしていないカカオの種類に対し、異常なまでの愛情を注いでいます。そんな姿を上手に映し出し、見る者を画面に釘づけにする。チャンネルをザッピングしていて、思わず手を止めてしまい、結局最後まで番組を観てしまったり、番組を通して、ふだんは興味もなかったはずの、ハチミツ作りや土壁の塗り方に興味を持ち、ネット検索から本まで買ってしまった、という経験はみなさんにもあると思います。

 

この番組作りはそれこそプロが行っていますが、ブログなどを書くときには意識してみるといいでしょう。

自分が「プロフェッショナル」で特集されると思って、自分の好きなことをこだわりを持ってアウトプットしていく。すると「自分の好きなものに価値なんてあるのか」と思っていた人でも、勇気が出てくるはずです。

 

この「好きなことを見つける」というのは、単純なテーマ選びではなく、アウトプットする本当の意義でもあります。

次項では、文章術やテーマ選びという次元ではなく、アウトプットの根幹、「あなたがなぜ書くか、なぜアウトプットするのか」の意義についてお話ししたいと思います。

 

◉あなたにも必ず「永遠」のキャッチコピーがある(69ページ)

私が気に入っていて、ブログにも使っているキャッチフレーズに「永遠のパソコン少年」があります。

当初は趣味で始めたプログラミングですが、マイクロソフトでウィンドウズOSの開発などの大きなプロジェクトに携わったり、今では自動運転に関わるソフトウェアを開発したりと、場所や規模は変わっても、心の中ではパソコンやプログラミングの素晴らしさに心底感動した少年時代と、何ら変わっていません。

仮に現在の仕事がすべてなくなっても、プログラミングは続けていくでしょう。頼まれなくても、アプリなどの開発を行っているはずです。

「永遠のパソコン少年」と名乗っている私ですが、以前、とあるインタビューを見て、強烈な共感を覚えました。それが元ザ・ブルーハーツのボーカル、甲本ヒロトさんのコメントです。彼はこのように話していました。

 

「バンドにゴールなんてないよ。ゴールはバンドを組んだときにもう達成してるんだ。中学生が音楽がやりたくて教室のすみっこでホウキをギターにして弾くでしょ。あれがロックの全部なんだよね。もうあそこで完成してんだよ。

もうこうなってくると、趣味だけやってる隠居なんだよな。……それがもう30代くらいから、我々はリタイア組なんだよ。もう、引退はないんですよ。死ぬまでやるしかない」

 

言わずと知れた日本のロックスターであり、数々の名曲を世に送り出してきた甲本さんですが、どれだけ有名になっても、「永遠のロック少年」のままなのです。

 

私も、高校生のときにプログラミングに出合って衝撃を受けましたが、プログラムを書くことで世界を変えよう、などという夢や野望めいたものは一切なく、ただ純粋にプログラムを書くことそのものが楽しくて、一生懸命に勉強して、プログラミングに夢中になっていただけです。

実際、私がマイクロソフトを辞めた大きな理由の一つも、「プログラミングを続けたいから」でした。マイクロソフトという会社が大きくなるうちに私にもマネジメント的な業務が増えていき、「このままだと、近いうちにプログラムを書かせてもらえなくなる」と思ったからです。

その後、いくつも会社を立ち上げたり、オープンソースのプロジェクトを立ち上げているのも、結局はプログラムを書くのが楽しいし、自分の思い通りのプログラムを組みたいし、何よりプログラムを書いている自分が好きだからなのだと思います。

私は今年58歳になりますが、初めてパソコンのプログラミングの楽しみを知った高校時代と、本質は40年以上変わっていません。プログラミングをすることで地位やお金を得るというのは、結果としてついてきたものの、別にそれがゴールではないからです。

 

ザ・ブルーハーツは、1995年に惜しまれながら解散しました。ところが、甲本ヒロトさんは同じくザ・ブルーハーツのギターを担当していた真島昌利さんとともに、ザ・ハイロウズを結成。2005年に活動休止してしまった後は、二人が中心となり、ザ・クロマニヨンズとして現在も精力的に活動を続けています。

相棒であり、これまた永遠のロック少年である真島さんとともに、今でもバンド活動を続けているのです。私は彼らの生きざまに心から共感しますし、とても好きです。「そうか、俺の人生はロックだったのか」と思いながら、ザ・ブルーハーツの曲を聞くとまた格別なのです。人生100年時代、好きなことをやらずに生きるには長すぎます。あなたもぜひ、子どものように夢中になれることを見つけてください。それはAIにはできないことです。 

 

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