こんな商品が欲しい:風呂に浮かべてビデオを鑑賞できるiPod希望

 ワイアレスやコンシューマー・エレクトロニクスのカンファレンスに行くと、毎回のように話題になるのが、デバイスのコンバージェンス。いわゆる「多機能携帯電話があれば、デジカメもiPodも、ひょっとしたらパソコンすら不必要なんじゃないの?」という「統合デバイス神話」。

 「デバイスは統合されるどころか、TPOに応じたさまざなデバイスが作られることにより分化が進み、そのうち窓ガラス埋め込みデバイスとか、使い捨てデバイスとかができる」と信じている私のようなアンチ・コンバージェンス派は少数派。

 今日も、風呂に入りながらiPhoneでYoutubeを見ていたのだが(知り合いがそれに最適なアプリを作ってくれたのでそのテストも含めて...まだアルファテスト中なので公開できないが、ベータ版がリリースされしだいここで報告するのでお楽しみに)、湯船に落とさないようにするのに結構気を使うし、湯気も気になる。可能であれば、「風呂でYoutubeを見るための水に浮かぶ専用端末」が欲しいところだ。

 冗談のような話だと思う人もいるだろうが、私が言うところの「TPOに応じたさまざまなデバイス」というのはまさにそういう話。これだけカメラ付きケイタイが普及したのに、デジカメが淘汰されないのも全く同じ理由。でなければ、富士通は防水ケータイを作って来ない。

 ちなみに、風呂でiPhoneを使い始めたのは、風呂でパソコンを使うことで有名な増井雄一郎氏の影響。MacBookが耐えられるのなら、iPhoneだって大丈夫なはず、という発想。今のところ、何の不具合も見られない。難点と言えば、「腕が少し疲れる」ぐらいか。


アップルは「音楽制空権」を取りにくるのか?

 少し前に「スタバとアップルの提携が見せてくれるメディアビジネスの提携」というエントリーを書いてから、「私がアップル内部にいたとしたら、次はどんな戦略を採るか」を色々と考えて来たのだが、私の答えは「音楽制空権」の制覇。

 スタバに限らず、今はホテル・レストラン・小売店・ショッピングセンターなどさまざまな場所で音楽がどこからともなく聞こえて来るが、その時にiPhone/iPod touchを取り出せばそこで流れている曲が何かを知ることが出来、購入も出来たとしたら、どんなに便利だろう。映画を見た後に、その場でテーマ・ミュージックを購入できるとしたら、どんなに便利だろう。これを文字通り「あらゆる場所」で実現してしまうことが、「音楽制空権」の制覇だ。

 数年前ならSFの世界のような話だが、ブロードバンドがコモディティ化して来た今の時代ならば十分に可能な話である。日本でこれをやるのであれば、組む相手は昔ながらの「有線放送」でマーケットシェアを持つUSEN。USENとパートナーシップを結び、有線放送用の受信機をIP化した上でWifiステーションにし、サーバーと連動させて「今流れている曲」をiTune Storeから買えるようにするのだ。

 そんなことを考えながら、来週のMac Worldでのアナウンスメントを楽しみに待っていたら、なんとメッセージは「2008 There is something in the air」だという(Apple Insider参照)。アップルが本気で「音楽制空権」を取りに来るタイミングが来たのかもしれない。


超薄型USBメモリってすごくない?

 WSJ(Wall Street Journal)のCESレポートの一つに写真が出ていたのでちょっと調べてみたのが、Choice Onlyという会社のアクセサリ型USBメモリ。わずか1.4mmという厚さゆえにこのようにUSBメモリの携帯ストラップ化が可能になるのだが、これでアダプターなしでUSB2.0と接続可能らしい(USBに関してはあまり詳しい方ではないので、少し調査が必要)。

 USBメモリもここまで薄くできるのであれば、メモリスティックだSDだmicro-SDだと仕様が乱立するメモリーカードをやめてUSBメモリに統一した方がみんなが幸せになると思うのだがいかがだろうか?デジカメとかも含めての話だ。

 USBメモリをこれだけ薄くできるのであれば、VMのホストのみが入ったパソコンを各所に用意しておき、自分なりのWindows XPやOS-Xの環境は仮想マシンとして携帯ストラップ型USBメモリに格納して持ち歩く、という「仮想マシン・ライフスタイル」も十分に現実的になってくる。


ユーザーに尋ねても必ずしも正しい答えは返ってこない

 今日はたまたま「ユーザーからのフィードバックを集めることの難しさ」が話題になったので、それに関連するエントリー。

 もの作りにおいて、「ユーザーが何を必要としているか」を知ることは大切だが、だからと言ってユーザーに尋ねれば正しい答えが返ってくる訳ではないところが難しいところ。具体的な例としては、こんなものがある。

1. サイレント・マジョリティの声は聞こえてこない

 これはMicrosoftで実際にあったことだが、Outlookのチームではユーザーから寄せられる機能追加のリクエストに従って色々な機能を足していた時期があったが、その結果不必要な機能ばかり増えて、単純な作業が逆にやりにくくなってしまった(たとえばカスタム・フォームが良い例)。このケースでは、ごく一部のヘビー・ユーザーばかりが声がでかく、「今の機能で十分、これ以上複雑にしないで欲しい」というユーザーは何も言ってこない(こういう人たちのことをサイレント・マジョリティ)という状況にあったからこんなことになってしまったのだ。「使い方が分からないのは自分が勉強不足だからだ」と勝手に思い込んでしまって文句も言わないというユーザーも結構いる。

2. ユーザーは既存の考えに捕われているだけかも知れない

 以前このブログでも取り上げた話だが、ユーザーは必ずしも本当に必要とするそのものをリクエストせずに、それを得るために必要だとユーザーが思い込んでいるものをリクエストしてくるケースがしばしばある。「もっと早く走る馬が欲しい」と言っているユーザーは、実は単に「より早い移動手段が欲しい」だけなのかも知れないし、「電気ドリルが欲しい」言っているユーザーは、単に「穴が欲しい」だけなのかも知れない。

3. ユーザーは理想に浸っているだけかも知れない

 「こんな機能が欲しい」と言ってくるユーザーは、本当はそんな機能が欲しいのではなく、そんな機能を使いこなしている自分を想像して満足に浸っているだけかも知れない。心理学の実験で有名な話が、黄色い帽子と白い帽子の実験。被験者の女性に、黄色と白の二色のつばの広い帽子を見せ、「どちらかの帽子がもらえるとしたらどちらが欲しいですか?」と尋ねると「黄色の帽子」を選んだ人が多かった。しかし、そのインタビューの最後に「どちらの帽子でも良いので持って帰ってください」と言うと白い帽子を持って帰った人の方が多かったという。最初の質問に黄色と答える人が多いのは「はでな色の帽子を着こなしている自分」に憧れているからであり、持って帰るとなると白い帽子を選ぶのは、実際に自分が持つとなると、どの服にも合いやすく無難な白の方が扱いやすいからだという。

 私が尊敬するIDEO(「発想する会社」参照)では、こんな勘違いをしないように、とにかく「ユーザーを徹底的に観察すること」に重点を置いているという。ユーザーを丁寧に観察して、彼らが本当に必要としているものを見つけ出す。それがIDEOなりのもの作りの仕方だ。


現実的になってきた Apple iPhone

Iphone_1  このブログでも2004年のエイプリル・フールに取り上げたApple のiPodケイタイ「iPhone」。その後もなんども「うわさ」にはなるがそのたびに市場の期待を裏切ってきたAppleだが、今回の台湾の製造元からリークされたとされる情報(Forbesの記事参照)にはかなり信憑性があるし、市場環境から見ても「期は熟した」とも言えるので、今度こそは本当かもしれない。

 私が「期は熟した」と思う理由は、日本を中心とした「ケイタイ文化圏」での市場環境にある。「携帯型音楽プレーヤー市場」のマーケットシェアだけに注目すると、米国と同じく日本でもiPodの圧倒的な有利さはゆるぎないが、「携帯電話も含めた携帯型のデバイスで音楽を聴いている人口全部の中でのiPodのシェア」を見ると、世界の中で日本(たぶん韓国も)の数値だけが際立って低い(具体的な数字は入手できなかったが、50%を切っていることは確かだと思う)。これは、Appleとしては許しがたい状況である。

 その状況を打破するために、「ケイタイ世代」を狙い撃ちにしたiPhoneをまずは日本市場に投入する、という戦略はとても理にかなっているように私には思える。

 その場合、「まずはどこのキャリア(通信事業者)と組むのか」が見ものである。北米のデバイスとの親和性を考えると、技術的にはauと組むのが一番理にかなっているが(ドコモとソフトバンクが採用しているWCDMAは米国ではまだまだ普及していない)、ビジネス面から見ればソフトバンクがもっとも適切なパートナーだ。

 NTTによる独占状態にあった「有線通信ビジネス」に風穴を開けてブロードバンドの価格破壊を起こした孫さんにとって、先行するNTT DoCoMo、auに向けて放つ戦略兵器として、iPhoneに勝るものはない。例の「新スーパーボーナス」と組み合わせて格安でiPhoneが手に入るとなれば、二年ぐらいソフトバンクから離れなくなってもかまわない、と思う若年層がたくさんいても不思議はない。

 そう考えてみると、今年の5月に一部報道機関で報道され、後にソフトバンク広報に否定された「アップルとソフトバンクが提携」というニュース(参照)も、実は本当の話で、単にAppleとのNDAがどのくらい重要なのかを理解していなかったソフトバンク側がAppleの了解をとらずにリークしてしまい、あわてて公式に否定せざるをえなくなった、と見るのが正しいのかも知れない。

*1.この画像は「AppleStyle新種林檎研究所」から拝借したもの。画像をクリックすると、フルサイズの画像が表示される。


使い捨て携帯音楽プレーヤーの時代がやってくる!?

Hichimi 「ホットエントリーライブ!」でニュースを読んでいて知ったのが、この八幡屋礒五郎の音楽缶

 これを見て思ったのだが、ある特定の曲だけをあらかじめ搭載した、使い捨ての携帯音楽プレーヤーが色々な商品の「おまけ」として付いてくる時代も近いような気がする。

 歌手の写真集を買うと、新曲のシングル一曲分が付いてくるとか、ドラえもんフリカケセットを買うとドラえもんの主題歌が付いてくる、などだ。

 もちろん、かなり値段を抑えなければ実現できない話だが、一曲分しかメモリを積まず、USBインターフェイスを排除して(つまり書き込み機能がない)、単5もしくはボタン電池を使用して充電機能を排除すれば、今でもかなり安く作ることができるのではないだろうか。アナログアウト(ヘッドホン用のミニジャック)しか持っていなければ、DRMの機能も排除できるし。

 ウェブサイトで自分の好きな曲とケースの組み合わせを選んで、オリジナルの携帯音楽プレーヤーを作るサービスなども考えられるし、結婚式の引き出物とかも当然ありだ(もらった人は一回しか聞かないだろうが)。


YouTubeが違法なら、ソシアル・ハードディスク・レコーダではどうだろう

 昨日の「YouTubeを使ったテレビ番組の『引用』の合法性に関する一考察」には予想通り賛否両論が寄せられたが、今日は視点を変えて、「YouTubeにアップロードしたテレビ番組の一部を皆で見るのがこんなに楽しいのならば、そんな遊びを合法的にさせてくれる商品やサービスがあっても良いじゃないか」という観点からのプロダクトデザインをしてみよう。

 「もの作りは常にユーザーの視点から」をモットーとする私としては、まずは「ユーザーから見てどんな商品なのか」を明確にするために、スクリーンショット付きプレス・リリースのプロトタイプを作ってみた。

米UIE、ソシアル・ビデオ・クリッピング機能付きハード・ディスク・レコーダを発表

Social_video_clipping

 米UIE(正式名称 UIEvolution Inc.、 米国ワシントン州シアトル本社)は、200○年○○月、世界初のソシアル・ビデオ・クリッピング機能付きハード・ディスク・レコーダのリファレンス・デザインを発表。家電メーカーに対するOEM提供を開始した。

 ソシアル・ビデオ・クリッピングは、テレビの視聴者が、テレビ番組中の自分が気に入ったシーンを切り出して、YouTubeに代表される映像共有サービスやブログを使って、批評したり、個人的体験の共有をする行為。2006年の前半にYouTubeとともに急激にインターネットユーザーに普及したが、当初から著作権法上の問題点が指摘されており、それを解決するサービスの必要性が叫ばれていた。

 今回、UIEが発表したのは、実際のビデオはユーザーの持つハードディスク・レコーダーに蓄積し、クリッピング情報のみをネット上のサーバーを介して共有することにより、現行の著作権法に触れずに、自分が面白いと思ったシーンを公開したり、他の人がクリップしたシーンのみを見ることを可能にするものである。

 ユーザーは、テレビの番組を見ているときに(タイムシフト中も含む)、面白いシーンに出会ったら、リモコンの「クリップ」ボタンを押すだけで、その前後のシーンを自分のビデオクリップとしてアーカイブできる。EPG(テレビ番組表)を開けば、それぞれの番組が他のユーザーにどのくらいビデオ・クリップがされたかが一目で分かるので、「たくさんの人がビデオ・クリップした番組のみを見る」、「最新の人気ビデオ・クリップを順番に見る」などが可能になる。

 ただし、今回UIEから発表されたものは、ユーザー向けの小売商品ではなく、家電メーカー向けのリファレンス・デザイン。一般ユーザーは手に入れることが出来るのは、それを採用した家電製品が市場に出てからのことになる。ちなみに、このリファレンス・デザインは、UIEの組み込み機器用ミドルウェアUIEngineの上に作られており、OSやCPUは家電メーカーが自由に選べるところが特徴である(UIEngineは既に、μiTron、embedded-Linux、vxWorks、Symbian、BREW、WinCEなどの各種OSに移植済み)。

 うーん、自分で書いていても欲しくなって来た。UIEngine上のEPGは既に作ってあるし(上の画像はそれを少し加工しただけのもの)、ハードディスク付きのembedded Linuxの開発環境は整ったし、ちょっくらプロトタイプでも作ってみるかァ…(ちなみに、こんな物を一緒に作ってみたいエンジニアの方々を募集中。詳しくはこちら)。


こんな商品が欲しい! ソシアル・ブックマーク付きDVDレコーダ

051220_082525  昨日、日経エレの副編集長のインタビューを受けたのだが、そのテーマが「Web2.0時代の家電とは?」。まさに私のスイート・スポットを突く、最高に楽しいテーマ。時間一杯、好き勝手なうんちくを展開してしまった。

 そこで話したアイデアの一つが「ソシアル・ブックマーク付きDVDレコーダ」。

 アイデアはすごくシンプルである。はてなやdel.icio.usの提供しているソシアル・ブックマーク・サービスのコンセプトをDVDレコーダに適用するだけのことである。ただし、わざわざユーザーにブックマークをしてもらうのも難しいので、「録画予約」そのものをブックマークとしてカウントして集計して、はてなの「人気エントリー」ならぬ「人気番組一覧」を公開するのである。

 人がテレビを見るのには色々な理由があるが、その一つに、「共通の番組を見ることにより人との繋がりを作る」というものがある。そんな人たちをターゲットにしたDVDレコーダである。今日はどの番組を見ようか(録画しようか)を決める段階で、「他の人たちは何を見るのかな?」「どんな番組が人気があるのかな?」という意味で、「人気番組一覧」を見るのである。

 「おお、巨人戦を予約録画している人が50000人もいるのか?」、「やはり『月9(ゲック)』は人気があるな」、「なんでこんな夜中の1時にやる歌番組を予約録画する人が8000人もいるんだろう?」という感じで楽しむのである。

 もちろん、出荷時の初期設定は「人気番組の自動録画」である。そのままの設定にしておけば、人気番組を自動的にすべて録画してくれるのだ。

 アイデア料を請求したりしないので、メーカーの方たちにはぜひとも実際の商品に適用していただきたい。もちろん、「人気番組一覧」をサーバーから取り出して表示する部分のGUIの表示にUIEngineを採用していただければ、私としては喜ばしいのだが…。


全てのノートパソコンにGPSが載ったらあなたはどんなサービスを作りますか?

Gps   少し古いニュースになってしまうが、先月のCTIAで発表されたさまざまな技術の中で一番私が感動したのがこのGPSモジュール。従来のGPSモジュールと違い、ソフトウェアでほとんどの処理をするために、ハードウェアの原価が外付けでモジュールで約5ドル、内蔵した場合だとたった2~3ドルになるそうだ(ちなみに、IOデータのGPSモジュールはアマゾンで21800円)。

 写真は、CTIAの開催期間中に、Phillipsの知り合いと朝食を一緒に食べた時に見せてもらった試作品だが(既に公開されているものなので、写真をこのブログに載せても良いと許可をもらった)、彼によるとIntel共同でGPS内臓のノートパソコンのリファレンスデザインを作り、パソコンメーカーに売り込みをかけるらしい(参照)。彼らのもくろみが成功すれば、近いうちに「ノートパソコンには全てGPSが内臓されている」時代が来ることになる。

 このモジュールをテーブルの真ん中において、「世界中の全てのノートパソコンにGPSが載ればこんなことができる、あんなことが出来る」と、妙に盛り上がってしまった。新しいハードウェアが作られたり、ハードウェアの値段が極端に下がった時こそが、ソフトウェア・エンジニアがクリエイティビティを発揮する大チャンスである。

 考えてみたら、「全てのノートパソコンにGPSが載ったらあなたはどんなサービスを作りますか?」という質問は、Google とか Microsoft の採用面接には格好の題材である(参照)。今度、うちの会社の面接でも使ってみよう。

 せっかくなので、ここで「全てのノートパソコンにGPSが載ったらあなたはどんなサービスを作りますか?」というお題で皆さんからアイデアを募集することにする。コメント、トラックバック、ブックマーク、手段はなんでも良いので、思いついたことを色々と書いて欲しい。頭の体操にもなるだろうし、ひょっとしたら、そこから何か新しいサービスが出来てしまうかも知れない。「ミュージック・バトン」ならぬ、「アイデア・バトン」である。


プレゼン専用、平置き液晶モニター

Flat_lcd  背面電子ペーパー付きノートパソコンをこのブログで提案してからずいぶん経つが、まだ実用化してもらえない。まだ電子ペーパーのコストが高すぎるのだろうか?アイデア料など請求しないので、心配せずに作って欲しい。このアイデアはクリエイティブコモンズだ。

 懲りずに今回提案するのは、プレゼン専用の液晶モニター。少人数の会議でプレゼンをするときに、プロジェクターの代わりに机の上に斜めに置いて使うのだ。視野角の広いタイプの液晶を使い、机に置く角度は自由に調節できる。

 なぜこんなものが欲しいかというと、私はプロジェクターが大嫌いだからだ。冷却ファンがうるさい、部屋を暗くしなければならない、皆で壁の方向を見て話さなければならない、と欠点だらけだ。

 多くの人が勘違いをしているのだが、プレゼンの主役はパワポのスライドではなく、プレゼンをしている本人である。社内の企画会議であれ、顧客に対するセールスであれ、一番強く印象付けるべきは、提案する企画や商品ではなく、プレゼンをする自分自身なのだ。もちろんプレゼンの中身も重要なのだが、本当に重要な情報はどのみち文書で別途提出することになるので、プレゼンの段階で重要となるのは、とにかく自分を印象付け、「こいつの提案する企画に社運を賭けてみよう」、「こいつを見込んでこのテクノロジーを導入してみよう」などと思わせることである。やたらと文字ばかり並べたスライドを読み上げるだけの人がいるが、それでは、貴重な時間を使ってプレゼンをしている意味がない。スライドにはわずかなキーワードと画像データ(商品の写真、グラフ、ブロックダイアグラムなど)だけを置いておき、大切なことは自分の口でしゃべる、というのが正しいプレゼンの方法だ。それも、話す内容をあらかじめ丸暗記などしてはだめで、相手の理解度や興味に応じて、適切に言葉を選んだり重要なポイントを繰り返したりしながら進めなければいけない。

 そんなプレゼンをする際には、相手には出来るだけ私の顔を見て欲しいし、私の話に集中して欲しい。そんな私にとってはプロジェクターは敵以外の何者でもない。プロジェクターのファンのノイズはじゃまだし、薄暗い部屋では相手の表情が読み取れないし、皆で壁の方向を向いていては目と目のコミュニケーションが取れない。

 そこで提案するのが、このテーブルに少し角度をつけて平置きする液晶モニター。これを私のノートパソコンと背中合わせになるように相手との間に置いてプレゼンすれば、相手はこちらを見てくれるし、部屋を暗くする必要もない。ぜひとも商品化していただきたい。