「金メダリストは『練習が楽しくてしかたがない』からこそ強くなれた」説

 技術評論社の WEB+DB PRESS 向けに連載コラムを書きはじめたのだが、その最初のコラムがウェブで公開されたので、リンクを張っておく。

 第一回 一生の仕事を選ぶということ

 担当の人の「この業界で働く若手のエンジニア向けのメッセージ」を書いてほしいとのリクエストに答えるつもりで書いたのだが、「説教臭くなくて、ちゃんと伝わる」文章を書くのが難しくて結構苦労したので、ぜひとも読んでいただきたい。

 この話の核となる部分は、私の「マラソンで金メダルを取る人たちって『過酷な練習に耐える精神力がある』から頂点に立てるんじゃなくて、『他の人たちにとっては苦痛でしかない練習が実は楽しくて仕方が無い』から頂点に立てるんじゃないか」というセオリーにもとづいている。高橋尚子が現役のころの話を聞いていて、つくづく「本当にこの人は走ることが好きなんだなあ。だからこそ誰よりもたくさんの練習をすることができて、その結果、早く走れる様になったんだな」と感じて作ったセオリーである。

 プログラマー歴30年を超える私も、なかなか取れないバグに悩んだり、回避しようのないシステム側の不具合に苦しまされたり、納期に迫られて眠れない夜を過ごしたり、などという(普通に考えたら)過酷な状況に置かれることはしょっちゅうあるが、それで「プログラムを書くのを辞めよう」なんて思ったこともないし、今後もバリバリ書き続けようと思う。

 昨日も、iPad向けの二つ目のアプリをアップルに提出したばかりだし、日本に向かう飛行機の中でも次のアプリの準備を進めて時間を過ごした。iPhoneアプリの開発のために全く新しい開発環境を学ぶのも楽しくてしかたがなかったし、Google App Engineで遊ぶためのPythonの勉強も自分で喜んでした。

 はたから見れば、「あの人は夜も週末も働いているし、すごく努力している」ように見えるかも知れないが、私自身にとってみれば「新しい開発環境や言語を勉強する」ことは旅行やゲームをすることや映画を見たり本を読んだりすることなんかよりも何倍も楽しいわけで、それを「努力」とか「苦労」とか呼ぶことが適切とは思えない。

 どの業界にも「仕事が辛くて金曜日が待ち遠しくて仕方がない」みたいな働き方をしている人がたくさんいる。簡単に転職などできないことも分かるが、「仕事が楽しくて、週末休んでいても常に仕事のことを考えてしまう」職に就けた人と比べた人生の充実度の違いは大きい。

 そんな意味でも、「自分がどんな職に就くべきか」はもっともっと真剣に考えるべきテーマだと思うんだがいかがだろう。


理想のパワーナップ・チェアを求めて...

 ここの所、朝の4時半ぐらいから起きて朝ご飯前に2〜3時間集中してプログラミングをするのが日課のようになっているが、これを続けていると、昼過ぎぐらいから妙に眠くなって頭の回転が鈍くなる。それを解消するには、パワー・ナップが最高

 ちなみに、パワー・ナップとは「仕事中に堂々とする昼寝」のこと。ニューヨークの金融関係のエグゼクティブが、会議をしながら食べるランチをパワー・ランチと呼んでいるが、そこから「パワー(=仕事をバリバリしている人の)」の部分を取ってきて「ナップ=昼寝」とくっ付けただけだと私は理解している。

 寝すぎても寝足りなくても効果が薄いので、自分なりにベストの長さを探す必要がある。私の場合、30分以上寝ると深い眠りに入りすぎて、逆に「寝疲れ」してしまうので、いろいろと実際に試した結果、たどり着いたのが18分。これくらいだと、眠気だけが取れてすっきりとしてとても良い。

 家で仕事をしている時は、ソファーやベッドで寝てしまえば良いのだが、オフィスに出ている時が少々問題。駐車場の車の中で寝るというのを何度か試みたが、どうも寝心地が悪いので(新しい商品のアイデアですよ→自動車メーカーの人)、やはりオフィスに「パワー・ナップ・チェア」を置くしかないとググってみると出てきたのがこれ。

Powernap

 いかにもニューヨークの投資銀行のエグゼプティブのオフィスに似合うデザインだ。私のオフィスには、こんな大げさなものを置く場所もないし、8000ドル(80万円)は出したくないので、もう少し探してみることにする。本当はビーチ・チェアでも十分なんだが、「それだけは絶対に変よ。やめて!」と妻に却下されてしまった。波の音でもパソコンのスピーカーから流しながら、アイマスクの代わりに麦わら帽子を顔にかぶせて、というのも悪くないと思うんだが...。

Beachchair


「西海岸に住む日本人から見た日本」三部作

 月末になると「今月はどんな本が売れたのかな」とアマゾン・アソシエイトの集計を見るのを楽しみにしている私だが、今月は私自身が書いた本の注文も始まったため特に楽しみ。

 さっそく集計してみると、こんな結果だ。

  1. おもてなしの経営学 アップルがソニーを超えた理由
  2. パラダイス鎖国 忘れられた大国・日本
  3. イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき
  4. リッツ・カールトンで学んだ仕事でいちばん大事なこと
  5. 文章表現400字からのレッスン
  6. 理科系の作文技術
  7. 頭の良くなる「短い、短い」文章術―あなたの文章が「劇的に」変わる!
  8. 松下で呆れアップルで仰天したこと―エンジニアが内側から見た企業風土の真実
  9. ウェブ時代 5つの定理 この言葉が未来を切り開く!
  10. スティーブ・ジョブズ-偶像復活

 おかげさまで、堂々一位。あたりまえと言えばあたりまえだが、やはりうれしい。そして同時出版の海部さんの本が二位というのも予想通り。

 ちなみに、8位の「松下で呆れアップルで仰天したこと」は「絶対にテレビをあきらめないパナソニック」というエントリーを書いた時に、手持ちのパナソニック関係の本の広告を貼付けようとしているときにたまたま見つけた未読の本。あまりに面白そうなタイトルだったので、試しに貼付けてみたらこの結果である。やはりタイトルは重要だ。さっそく注文しておこう。

 興味深いのが、梅田さんの新しい本「ウェブ時代 5つの定理」がまだ紹介もしていないのに9位に入っていること。梅田さんの本に関しては、アスキーの対談でも話題になったので楽しみにしていたのだが、これは、このブログの読者に梅田さんのファンが多いという意味だろう。 

「ということは、ひょっとして...」とアマゾンの梅田さんの本のページに言ってみると、「この商品を買った人はこんな商品も買っています」コーナーに私の本がちゃっかりと入っている。海部さんの本もそこに入っていることを見る限り、この三冊をまとめて買う人が結構多いということかも知れない。

 しかし、西海岸に住む日本人ブロガー3人がほぼ同時に本を出し、それが同じような読者層に受けているというこの現象は一体何を意味しているのだろう...「西海岸に住む日本人から見た日本」の意見を参考にしてもう一度日本の世界経済におけるあり方を見直そう、という意思の現れだろうか。


アルファ・ブロガーはなぜ本を書くことになるのか?

 新しくなった月刊asciiには創刊号からコラムを書いて来たし対談もいくつかしてきたのだが、今回、それに大きく加筆した上で一冊の本として出版することになったのでここに報告させていただく(タイトルは「おもてなしの経営学 アップルがソニーを超えた理由」)。

 この本の内容に関しては別途紹介(=宣伝)するとして、今日のテーマは、なぜブログという最新のコミュニケーション・ツールを持つブロガーが、書籍という古い媒体でのコミュニケーションをはかるのか、という話である。

 ブロガー側の事情としては、副収入になる(それどころか、梅田さんのようにベストセラーを書けば充分に食っていける)、ブログだけでは到達できない読者に読んでもらえる(かも知れない)、「アルファブロガーに選ばれた」と報告しても全く理解してくれない親に「うちの子が本を出すほどに出世した!」と喜んでもらえる、などのメリットがあるわけだが、実はもっと大きなメリットを受けるのは出版社側である。

 たいていのビジネスと同じく、本の出版には固定費と変動費がある。編集・版組・装丁のデザイン・広告宣伝などは固定費で、紙・印刷・著者へのロイヤリティーなどは変動費である。固定費を無視して計算した一冊あたりの粗利を貢献利益(UCM=Unit Contribution Margin)というが、この貢献利益*部数が固定費を超えなければ赤字、超えたところからが出版社の儲けとなる。言い換えれば、固定費を一冊あたりの貢献利益で割った部数「N」が儲かるかどうかの境目、ということである。

 すると出版社としては、「この部数『N』を超える数が売れる本を書ける著者」の発掘に積極的なのは当然で、(1)人を引きつける文章を書く能力があることが証明されており、かつ、(2)そのまま著書の購入者になってくれそうなブログの読者を抱える、ブロガーたちは絶好の「潜在著者」なのである。

 それに加えて、出版と同時に著者自身が自分のブログで宣伝のしてくれるし、ブロガー同士の横の繋がりのバイラル・マーケティング効果まであるので(梅田望夫さんと渡辺千賀さんの本はたくさん販売させていただきました^^)、一石二鳥である。

 別の言い方をすれば、それなりの読者を抱えるブロガーの本を出版するということは、出版社にとっての「固定費を回収できない」リスクを大きく減らす、ということに繋がるのである。

 ちなみに、この「ブロガーが本を出版する」という流れはまだまだ始まったばかりだが、成功例が増えるにつれて、「ブログによって『人に読まれる文章』を書く力があることを証明」してからでないと、出版社から相手にしてもらえない、という時代すら来るかも知れないと思う私である。

 ということで、将来何か本を出したいと思っている人は、ひとまずはブログから始めてみることを強くお薦めする。「ブログで自分の持ちネタを全部書いてしまったから、本に書くことはなくなってしまった」なんて心配はすることはない。自分から情報を発信すればするほど、より多くの情報が集まってくるのがネットの特徴なのだから。


「リスク・テーカー遺伝子」の歴史

 これは人類が誕生するよりも何百万年も前の話。人類の祖先がサルやネズミに近かった時の話。ネズミのような姿・形・大きさをしながらサルのように木の上に住む原始的な哺乳類を想像していただければ良い。

 その種族にある時、突然変異のいたずらで、ちょっと変わった遺伝子を持った子供が生まれた。名前はなかったのだが、それだと不便なので「トム」と呼ぶことにする。

 トムが持っていた遺伝子は、トムの姿・体に変化を与えるものではなく、トムの行動に影響を与える遺伝子。種族の他の個体たちがすることに疑問を持ち、彼らがしないことをどうしても試したくなる、という遺伝子だ。「いたずら遺伝子」「反骨遺伝子」と呼んでも良いのだが、ここは「リスク・テーカー遺伝子」と呼ぶことにしよう。

 トムは母親に尋ねる。

 「ママ、どうしてあの木にある赤い実は食べちゃいけないの?」
 「毒があるからよ。食べるとおなかを壊しちゃうの?」
 「ママは食べたことがあるの?」
 「ないわよ」
 「じゃあ、どうして毒があるって分かるの?」
 「おばあちゃんから教わったのよ」
 「おばあちゃんは食べたことがあるのかな?」
 「ないと思うわ。おばあちゃんは、おばあちゃんのママから教わったんだと思う」
 「ふーん。不思議だね、誰も食べたことが無いのに毒だって決めつけてるみたいだね」
 「そんなことはないわよ。むかし誰かが食べておなかを壊して、それが伝わっているのよ」
 「本当かな?みんながそう思い込んでるだけじゃないのかな?」
 「トムったらまたそんなことを言って。絶対に食べちゃだめだからね!」

 トムがその赤い実を食べておなかを壊し、ママにものすごく心配をかけたのはその次の日のこと。

 こんなこともあった。

 「ママ、隣の木に行く時は枝から枝へ飛び移るけど、距離があるときは無理だよね」
 「そうよ。無理に飛び移ろうとすると落ちてけがをしちゃうし。地面はとってもあぶないの」
 「落ちたら危ないって言うのはわかるけど、どうして地面はあぶないの?」
 「とっても危険な動物たちがいるからよ。トムのことなんて一口で食べちゃうのよ」
 「ママはそんな動物に襲われたことがあるの?」
 「もちろんないわよ。地面には絶対に降りちゃいけないっていう規則を守っているから」
 「その規則もおばあちゃんから教わったの?」
 「そうよ。そしておばあちゃんはその規則をおばあちゃんのママから教わったの」
 「ふーん。赤い実と同じだね」
 「そうよ。あんなに痛い思いをしたんだから、あなたも覚えたでしょ。規則は守るものなの」

 トムがママに隠れて木から地面に降りてみたのはその日の午後のこと。その日はたまたま危険な動物には出会わなかったものの、そんなことを繰り返しているうちに大きな肉食動物に襲われて必死の思いで逃げるはめになるまでには数日もかからなかった。

 そんないたずら好きのトムはその行動故にさまざまな危険に合ったのだが、かろうじて大人になるまで生き延び、たくさんの子供たちを持つことができた。その子供たちの中にはトムの「リスク・テーカー遺伝子」を受け継いだ子供も受け継がなかった子供もいたが、受け継いだ子供たちはトムと同じくいたずら好き。その中には冒険をしすぎて命を落とす子供たちもいたが、そんな子供たちの中にもちゃんと大人になる個体もあり、そうやって「リスク・テーカー遺伝子」は少しづつ種族の間に広まって行く。

 「リスク・テーカー遺伝子」が種族を救うことになったのは、ミニ氷河期の到来でその地方の気候が大幅に変化した時。木は枯れ始め食べ物は大幅に減っているにも関わらず、ほとんどの個体たちは「じっとがまんをしていればいつかは昔のようにたくさんの食べ物が実るはず」と移住することを拒否し、森とともに死んで行った。唯一生き残ったのは、食べ物を求めて気候の変化とともに暖かい地方に移住して行った「リスクテーカー遺伝子」を持ったトムの子孫たち。元来が他の個体と違う行動をとることが大好きな彼らにとって、食べ物が少なくなった森から他の森へ移り住むのになんの抵抗もなかったのだ。

 そして現代。人類の進歩を支えるのはこの「リスク・テーカー遺伝子」だ。

 多くの人たちが「人間が空を飛ぶことなど絶対に不可能」と言っているにも関わらず、決してあきらめず、ついには月にまで人を送り込むことに成功させたのはこの「リスク・テーカー遺伝子」の力。メインフレーム・コンピューターの時代にパーソナル・コンピューターの魅力に取り付かれた人たちを生み出したのも「リスク・テーカー遺伝子」。Windows全盛の時代に「Rich Clientの時代は終わった、これからはウェブ・アプリケーションの時代」と言わせたのも「リスク・テーカー遺伝子」。J2EEのフレームワークがせっかく整ったにも関わらず、「Javaなんて時代遅れ、これからはRuby on Railsだぜ」と言わせるのも「リスク・テーカー遺伝子」。Google全盛の時代に、「Googleの鼻をあかすベンチャー企業を作ってやるぜ」と言わせるのも「リスク・テーカー遺伝子」。

 さて、明日はどんな冒険をしようかな、と。


Youtubeでグラミー賞候補の曲が聴けるのが2008年

 私の最近のお気に入りの曲は、Feistの「1234」(アルバム「The Reminder」の一曲)。iPod nanoの広告で使われているので知ったのだが何とも言えない平和な雰囲気がなんともいえずに良い。

 ちなみに、このYoutubeビデオはUniversal Music Groupが公式に出しているもので、著作権法やぶりではない。「そう言えば、Universal Music GroupはYoutubeを訴えていて和解したよな」と調べてみると確かに2006年の10月にパートナーシップを結んでいる。これがそのパートナーシップの成果だ。

 結局のところは、コンテンツを提供する企業にしろ、放送局にしろ、「インターネットと戦う」のではなく、こうやって「インターネットを利用する」ところが生き残るのだろう。着メロビジネスの立ち上げには役に立ったJASRACだが、Youtubeやらニコニコ動画の利用の話になると、広告効果によるメリットを一切得られないJASRACが逆に足を引っ張る形になっているのではないか。そろそろ日本でもJASRAC抜きでのメディアとネット企業の直の提携が必要(と言ってみるテスト)。

 ちなみに、Universal Music Groupによって、グラミー賞の候補43曲がYoutubeにアップロードされていることを発見。インターネットが広まり始めてわずか13年でここまで来るとは誰が予想しただろう。


2007年の人気エントリー

 今年のエントリーをどう締めくくろうか考えて思いついたのが、はてぶを利用した「life is beautiful、2007年の人気エントリー」。単純にブックマーク数トップ15を並べてみたのがこれ。

プレゼン初心者が覚えておくべき3つのポイント
531 users 2007年09月23日

 さらっとあたりまえのことを書いたつもりだったのだが、予想外にたくさんのブックマークがついたのがこのエントリー。やはり、「○○初心者が覚えておくべき○つのポイント」といういかにもブックマークしたくなるようなタイトルが効いたのか。

優秀なナースがいるとシステムがなかなか改善されないという話
484 users 2007年11月29日

 これはMBAのクラスの予習として読まされた論文を紹介したエントリー。ただ読んだだけではなかなか頭に残らないので、ブログエントリーとして書くこと、勉強にもなるしネタにもなる、という一石二鳥だ。病院と看護婦の話なのに、多くの人が自分の職場に照らし合わせて考察を加えたところが興味深い。

私のとっておきのプログラミングスタイル 
420 users 2007年09月16日

 私としては、このエントリーが今年一番の大サービス。プログラミング・スタイルというタイトルではあるが、実際には「仕事のスタイル」の話。

交渉の場にのぞむ前にしておくべき心の準備
369 users 2007年10月23日

 これは、MBAのクラスで課題図書として渡された本のキーポイントをまとめたもの。ちょうどその後に大きな交渉ごとに巻き込まれることになったので、色々と考えさせられた本でもある。

21世紀の錬金術:Web2.0バブルで一儲けする方法
336 users 2007年04月25日

 こんな形のエントリーで問題提起をするのはどうかと試しに書いてみたエントリー。この形のエントリーは、今後も色々と使えそうだ。

「半分空っぽのコップ」を「半分水が入ったコップ」に見せるテクニック
322 users 2007年03月21日

 これもMBAで仕入れたネタ。心理学の話は私自身も大好きなので、今後も色々と紹介して行きたい。

リーダーに必要とされる感情知性(Emotional Intelligence)
304 users 2007年08月30日

 またまたMBAで仕入れたネタ。自分自身の弱みを再認識させてくれた点でも印象に残る論文であった。

ネットの時代には「知識量・記憶力」よりは「適応力・応用力」の方がずっと大切
281 users 2007年05月28日

 この「知識より知恵」という考えはこれからも訴え続けたいテーマ。日本の受験制度と教育制度はあまりにも「知識」を重視しすぎ。

優秀なエンジニアは「入社時のスキルを問わない会社」には就職してはいけない
277 users 2007年11月06日

 米国に暮らしていると、日本のエンジニアの地位の低さは目を覆うばかり。その原因を作っているものの一つがエンジニア派遣会社のでたらめな採用。エンジニアとしてきちんと教育されていない人たちが派遣されてITゼネコンが霞ヶ関を接待付けにして受注したシステムを作る。そんなビジネスモデルの中でエンジニアの待遇が恵まれないのは当然。

会社のカルチャー作りの大切さ
242 users 2007年10月04日

 これもMBAネタ。ちょうど、いくつか会社作りに関わっているので私自身へのメッセージも込めたエントリー。

テレビ番組の低俗化に関する一考察
235 users 2007年08月22日

 「ネット時代にふさわしいテレビ視聴のありかた」に関しては私自身も色々と思うことがあるので、その一環として書いたエントリー。「携帯電話のありかた」に関してはここ数年で大きく変わったが、テレビに関してはまだまだである。まだまだ、ということはそこにビジネス・チャンスがあるということ。

ユーザーに尋ねても必ずしも正しい答えは返ってこない
229 users 2007年09月15日

 これは私の大好きなテーマでもあるし、読者も敏感に反応してくれる。学問としては「行動心理学」にカテゴリー分けされるのだろうが、ブログを利用してもっと色々な実験ができないかと考えている私である。今後もおつきあいのほどよろしく。

安倍総理への提案:「人生のやり直し」に寛容な社会作りをしませんか?
219 users 2007年09月08日

 このエントリーを書いたとたんに安倍さんが辞任してしまったので少しガックリ。安倍政権は長く続きそうな雰囲気を持っていたのだが大きく予想をはずしてしまった。ちなみに、今度の福田総理に関しては暫定政権と読む人も多いが、解説者の一人が「箸休め(はしやすめ)政権」と呼んでいたのには笑えた。

その「頭がいい人は成功して当然」という発想が甘すぎる
213 users 2007年02月26日

 私が匿名ブロガーに「侮辱するな!」と噛み付かれてしまい、その後コメント欄がみごとに炎上してしまったいわく付きのエントリー。そもそも匿名の人を侮辱することが可能なのかどうかは未だに不明だが、私自身も少し発言が軽率だったかと反省しているエントリー。

あるはずのない「カジノでの必勝法」が実はあったという話
208 users 2007年11月18日

 これはMBAのクラスで知り合った人から仕入れたネタ。昔から確立だとかギャンブル必勝法の話は大好きなので、この話には本当に感動してしまった。

 ◇ ◇ ◇

 こうやって見直してみると、今年も好き勝手に雑多なエントリーを書いたものだなと自分でも思う。それもこれも、たくさんの方たちに読んでいただけるからこそ続けることが出来るわけで、本当に感謝している。2004年の1月から書き続けているこのブログも来年で5年目に突入するが、これからもいっそう肩の力を抜いて、その場で思いついたことをつらつらと書き続けて行きたいと思う。

 来年が私にとっても皆さんにとっても、もっと刺激的で楽しい年であることを願って、

 Have a happy new year!


有川浩の本を読めば自衛隊に入隊したくなる?!

 有川浩の作品で最初に読んだのが「海の底」。私の最初の感想は「今時こんなの書くかよ。円谷全盛のころのパニック映画だぜ、これ。」しかし、パニック映画が大好きな妻は妙に気に入ったようで、次に買って来たのが「クジラの彼」。「これは恋愛ものだから、あなたも気に入ると思う」と妻に薦められて読み始めたのだが...自衛隊の隊員を主人公にした恋愛短編ものとは...。何ともことごとく予想外の本を書く作者である。

 ちなみに、この本の帯には

 「恋するふたりの間には、七つの海が横たわる。がんばれ女子、負けるな男子」

と書かれているが、これでは、いまいちこの本の面白さが伝わって来ない。それよりも、

 「ベッドの中で割れた腹筋を指摘されて怒ってしまった女自衛官の恋の行方は?」

の方が絶対に売れると思うんだが、どうだろう。

 ちなみに、「クジラの彼」のカバーには有川浩の写真が載っているのだが(これで作者が女性だと始めて知った私である)、自衛隊のヘリらしきものに乗ってピースをする著者って、どこから見ても「軍事オタク」。ここまで来て、ようやく彼女が「海の底」を書いた理由が見えて来たし、作者の伝えたいメッセージのようなものが伝わって来た。彼女は自衛隊がひたすら大好きなのだ。

 米国の軍人と違って、どうもあまり日本人の中では尊敬とか感謝とかされているとは言いがたい自衛隊員だが、こんな風に「自衛隊の中の人」にスポットライトを当ててくれる作者がいるってことだけで、日本の国防上、画期的なことなのかも知れない。トム・クルーズの「トップ・ガン」が実は米国海軍のキャンペーン映画だったことはよく知られたの事実だが、有川浩の小説のおかげで自衛隊に応募してくる人が増えたりするというのも絶対にない話でもないかも知れない。


書評:艶っぽさなら「吉原手引草」

 ここのところテクノロジーの話題ばかり続いたので、今日はひさしぶりの書評。いつものようなビジネス書や啓蒙書ではなく、小説。それも、江戸時代の吉原の花魁(おいらん)を主人公にした「吉原手引草」。

 この手の時代小説は、忠臣蔵から鬼平版課長鬼平犯科帳まで幅広くこなす時代小説ファンである私の妻の守備範囲。普段は彼女の本には手を出さない私だが、帯の「直木賞受賞!」に説得されて手に取り、一気読み。なかなかのエンターテイメントである。

 読んでみて納得できたのが、この本が直木賞を受賞した理由。吉原の花魁を主人公にしながら濡れ場はなく、その意味では決して「文学を気取ったエロ本」ではない。しかし、テーマがテーマだし、作者(松井今朝子)が使う微妙な言い回しで、全編に何とも言えない色っぽさが漂う小説なのだ。これが女流作家に書かれたものであり、エロとははっきりと一線を引いた色っぽさというか艶っぽさが直木賞を受賞させたのだろう。エロ本ではなく、艶(つや)本とでも呼ぶべき本である。