エンジニアにも分かる「アベノミクス」

(理科系の友人が多い)Facebook の方で「アベノミクスの正体を誰か解説してくれ」という話題が盛り上がっていたので、私なりに「エンジニア向け」の解説をしてみる。まずは基礎知識から。

1. 経済学と数学・物理学との違い

経済学が相手にしているのは「人間の行動」であり、数学・物理学のように、基本的な「定理」を積み上げて現象を予測することが不可能だ。基本的には「経験則」に基づいて人々の行動を「予測」するしかない点が、学問として物理学とは大きく違う。

2. 景気にかかる「正のフィードバック」

経済学が対象とするものの一つに「景気」がある。景気の尺度には、GNP、物価、株価、失業率など色々とあるが、常に「正のフィードバック」がかかる性質を持っており、これが色々な問題を引き起こす。

「不動産価格」が一番分かりやすい例だが、不動産の価格は、より多くの人が「将来は不動産の価格が上がる」と思うとそれを先取りして値段が上昇する傾向がある。「今年3000万円で買ったマンションが、来年になれば4000万円で売れる」と分かっていれば、1年で1000万円の利益を上げることが出来るからだ。しかし、実際には、来年の不動産価格がどうなっているかを「知っている」人はいない。そこで多くの人が「最近の価格の動きから将来の価格を予想する」という行動を取る。「2月の不動産価格が平均2%も上昇した」という情報から、「不動産価格が上昇に転じた、今が買い時だ」と判断し、不動産の購入に走るのだ。多くの人が不動産を買えば、当然価格が上がり、それがさらに人々の購買意欲をそそって不動産価格が一気に上昇する。これが典型的な「不動産バブル」だ。

実際には、物価だけでなく、さまざまなものが相互作用しあって景気が作られるが、基本的には「景気が良くなったと人々が感じると、購買意欲・投資意欲が増大し、さらに景気が良くなる」「景気が悪くなったと人々が感じると、購買意欲・投資意欲が減退し、さらに景気が悪くなる」という正のフィードバックが働いている。

そのため、政府や中央銀行が何もしなければ、景気は何年〜何十年のサイクルで乱高下する。正のフィードバックが効いた電気回路が「発振」してしまうのと同じだ。「景気が良い」という感覚に踊らされた人々が借金をしてまで物や不動産や株を買い、物価も株価も上昇仕切ったところで、何らかのキッカケで人々が「この好景気は加熱し過ぎた」と気がついたところで、風船が一気に萎むように景気が後退する。これを繰り返すのだ。

3. 中央銀行の役割

各国の中央銀行(日本の場合は日銀)の役目は、この景気の乱高下を避けるために、人為的な負のフィードバックを与えることにある。景気が過熱してくると、市場から現金を引き上げる(保有している国債を売る)ことにより金融を引き締め、景気が後退してくると、市場に流れる現金を増やす(市場から国債を買う)ことにより金融を緩和する。かまどの火を調整するために、砂をかけたり空気を送り込んだりするのと同じだ。

4. デフレの罠(流動性の罠)

しかし、中央銀行の市場介入には限度がある。景気があまりにも冷え込んで、短期国債の金利がゼロになると、いくら市場に流れる現金を増やしても景気は良くならないのだ。「不動産価格がこれからも下がり続ける」と誰もが思っている時には、たとえ金利がゼロでも、借金してまで不動産を買う人がいないのは当然だ。

つまり、短期国債の金利がゼロになった状態とは、かまどの火が消えてしまった状態に等しく、いくら空気を送り込んでも景気は良くならないのだ。

一度はまってしまうと、中央銀行の金融政策だけでは決して脱却できないため、経済学者たちはこれを「流動性の罠」と呼んでいる。これがまさに日本がバブル崩壊後に陥った状況だ。

5. デフレの脱却に必要なもの

デフレを脱却するには、基本的に二つの方法がある。一つは、戦争や産業革命のように、実際の需要や生産性の向上をもたらす「何か」で、これはエンジニアにも分かりやすい。しかし、今の時代、景気回復のために戦争を始めることなど出来ないし、突然の生産性の向上にも期待できない。

もう一つは、「これから景気が良くなるに違いない、物価が上がるに違いない」という人々の期待である。ここがエンジニアには一番分かりにくい部分だが、上に書いた「経済学と数学・物理学の違い」を思い出して欲しい。経済学が相手にしているのは「人間の行動」であり「人々の気分」なのだ。

何らかのキッカケで、十分な数の人が「これから景気が良くなるに違いない」と思えば、最初に株価が上がり、次に不動産価格が上がる。するとその「景気指数」の上昇を見たより多くの人が「これは本当に景気が良くなるに違いない」と思い、さらに株価と不動産価格が上がる。すると、含み資産が増えた人々が安心してものを買う様になり、企業の業績も上がり、それが結果として賃金の上昇や失業率の低下につながる。上に書いた「正のフィードバック」が始まるのだ。

6. アベノミクスの正体

ここまで読んでいただければ、「安倍さんはまだ何もしていないのになぜ株価が上がり始めたのか」が理解していただけると思う。アベノミクスの正体は、「政府が毅然とした態度で景気回復を約束することにより人々に『これから景気は良くなる』と思ってもらい、それを起爆剤として正のフィードバックを作り出して実際に景気を良くする」ことにあるのだ。

その意味では、アベノミクスは既に始まっているのだ。安倍さんが「日銀法を改正してでもインフレ2%を達成する」と毅然とした態度で景気回復を約束したことが、「アベノミクス効果を先取りして儲けよう」という人達の「株の購入」「円売りドル買い」を呼び、それが株高・円安を招いているのだ。

そして、今回の株高・円安が、「アベノミクスに乗り遅れまい」とする人達のさらなる「株の購入」「円売りドル買い」そして「不動産購入」を呼べば、それが実質的な「含み資産の増大」に繋がり、輸出型企業の利益増大に繋がる。

つまりアベノミクスとは、「アベノミクスにより景気が良くなるかも知れないという気持ちを人々の心に与えることにより、実際に景気を良くしてしまう」という心理作戦なのである。

このエントリーを読んで「アベノミクスはまやかしだ、騙されてはいけない」と感じる人もいるとは思うが、「騙される人が十分にいれば実際に景気が良くなってしまう」点が重要だ。とりあえず、ここまでの結果を見れば、実際に株価は上がっているし、円安も進み、輸出型企業の利益は上昇している。まやかしであろうとなかろうと、より多くの人が「アベノミクスに乗り遅れてなるものか」とさらに株と不動産を買いあされば、日本はあっさりとデフレから脱却してしまうのだ(もちろん、その後にはバブルとバブルの崩壊が待ち受けているだろうが、その時には安倍さんは総理大臣はしていない)。

経済学は数学・物理学と大きく違うのである。

 

 


書評:Fortune Favors the BOLD(知識資本主義)

 少し前のエントリーでも引用したが、Lester Thurowの「Fortun Favors The BOLD (邦訳:知識資本主義←ちなみに、この邦題はすごくセンスが悪い)」は非常に面白い。世界中のさまさまな経済の動きが分かりやすく解説してある本だが、特に目を引くのは日本の「失われた10年」に関する部分。

 驚くべきなのは、日本がバブルの崩壊で経験したメルトダウンそのものではない。どの国であれバブルの後には遅かれ早かれメルトダウンを経験するものだ。特筆すべきは、日本にバブル崩壊が残したさまざまな問題をさっさときれいにする能力が欠如している点にある

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 バブル崩壊の結果、日本の不動産ローンを抱えている人の40%は借金の残高の方がその担保である持ち家の価格より高いという債務超過の状態に陥っている。...米国であれば、そんな人はさっさと持ち家の鍵を銀行に渡して新しい人生をやり直すことができるが、日本ではそうは行かない。...日本では、実質的にその人の生涯賃金が(場合によってはその人の子供の生涯賃金までが)担保になってしまっているのだ。

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 債務超過に陥っている企業を倒産させる代わりに、日本政府はそんな会社の株式を買い支えるという行動に出たが、それは何の役にも立たなかった。...結局のところ、政府による株の購入は、そういった企業の株を持っていた人の損失の補填に国民の税金を費やす、ということなっただけだ。

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 バブルを防止することは不可能だ。バブルの崩壊を防止することも不可能だ。ただ一つだけ出来ることは、バブル崩壊後の(不良債権などの)問題点をすばやくきれいにすることだけだ。政治家の能力が本当に問われるのはまさなそんな時。日本の政府はまさにそのテストに失敗してしまったのだ。その結果、国際社会における日本政府の信用は地に落ちた。

 外から見ていてなんとなく感じていたことだが、ここまで単刀直入に言ってくれる人は少ない。


ビル・ゲイツの引退と「ソフトウェア・ビジネスの興亡」と

 シアトルでの先週の一番の話題は、やはりビル・ゲイツの引退。すでに一年前から予告されてたと言え、シアトルの経済発展にこれだけ貢献したマイクロソフトを作った男だけに、メディアは大騒ぎだ。

 ビル・ゲイツが成し遂げたことの偉大さを最も顕著に表すのは、「Fortune Favors the Bold(邦題:知識資本主義←とても良いビジネス書なので一読をお薦めする)」の中の次の一文。

 Bill Gates stands as the symbol of this new era. For all of human history the richest person in the world has owned natural resources - land, gold, oil. Bill Gates owns no land, no gold, and no oil. Owning neither factories or equipment, he is not a capitalist in the old-fashioned sense. He has become the richest person in the world by controlling a knowledge process. As such he marks our fundamental shift to a knowledge-based economy. For the first time in human history it is possible to be fabulously rich by controlling knowledge (p.30-31).

 つまり、ビル・ゲイツは「人類の歴史始まって以来初めて、土地・金・石油などの天然資源ではなく、知的プロセスをコントロールすることより世界一の金持ちになった」という点で特異な存在だというのだ。

 確かに考えてみると、ビル・ゲイツの一番の功績はWindowsやOfficeを作ったことなんかではなく、それまではハードウェアのおまけ同然に配布されていたソフトウェアがビジネスになるということを身を持って証明したこと。それゆえに「帝国」とまで呼ばれるまでにマイクロソフトを大きくすることが出来たし、世界一の金持ちにもなれたのだ。

 しかし、そのビル・ゲイツの引退する2008年の状況を見ると、オープンソースの波は主流になりつつあるし、Googleは明らかに「パケージ・ソフトウェアの販売ビジネス」を破壊に来ている。純粋なソフトウェア・ビジネスの将来は必ずしも明るくない。

 90年代中頃のネットスケープの誕生から始まった「パッケージ・ソフトウェア・ビジネスの終焉」。それがとうとう最終章に入ろうという段階でのビル・ゲイツの引退はなんとも象徴的だ。


ジャパネットたかたは日本のスティーブ・ジョブズか?

 高田社長は、商品の性能を細かく説明するより、その商品を購入することで、一家にどんな幸せが訪れるかをイメージさせることに心を砕くのが常だ。【【12】ジャパネットたかたの本当のすごさ:NBonline(日経ビジネス オンライン)より引用】

 二人に共通するのは、「持つ喜び」「それによってもたらされるライフスタイルの変化」にちゃんと注意を払ってセールストークをすること。見習うべきところはたくさんある。次の本のタイトルは「おもてなしの販売術」にするか。ジャパネットたかたさん、スティーブ・ジョブズとの対談入りで。

 


「少年よ大志を抱け!」よりも「若者よどん欲になれ!」の方が良くないか?

 月刊アスキー向けに「仕事を楽しんでしている人に共通するもの」というテーマでコラムを書いているのだが、そこで引用した「Boys, be ambitious(少年よ大志を抱け)!」に含まれたメッセージがどうも気に入らない。

 「少年よ大志を抱け!」という言葉には、「楽して金儲けしたい」、「風呂屋の番台に座ってみたい」、「美人の嫁さんが欲しい」、「一度で良いから女優とデートしたい」、「プール付きの家に住みたい」、「有名になって女子アナと結婚したい」、「一発当てて、後はハワイでのんびり暮らしたい」などの、下世話な欲求を否定するメッセージが含まれている。特に日本語訳の「大志」という言葉には、「志はもっと大きくなければいけない」「金儲けなど考えてはいけない」「私利私欲に走ってはいけない」というメッセージが強くこめられている。

 「最近の若者は覇気がない」などと批判する大人がたくさんいる。そんな人たちに限ってホリエモンのように「金儲けをしたい」ことを包み隠さずに正直に認め、それに基づいて行動する若者が現れると「拝金主義だ」と頭から批判するが、彼らはそこに含まれた矛盾に気がついていない。そんな大人たちから「金儲けみたいな下世話なことは考えずに、志を高く持て」なんて言われ、「そうか、俺もがんばろう」と若い人たちが考えて日本が元気を取り戻す、という金八先生のようなシナリオは、どうもしっくりこない。

 私の知り合い(アメリカ人)が、今年の夏からドバイの会社に転職することになった。理由は「あっちにはオイルマネーがあふれているから。そこで一角千金を当てて、早めに悠々自適の引退をしたい」からだそうだ。下世話である。どん欲である。でも、彼の目はきらきらと輝いている。

 そもそも資本主義というのは、「企業や個人が自己の利益を最大にするためにする経済活動が社会全体に利益をもたらす」ように設計されている。社会主義の国ならいざ知らず、日本が資本主義の国である限り、人々の「利益を追求する」強い欲求があってこそ経済活動がさかんになり、それが国力につながる。「資本主義社会の原動力」である人々の富への欲求を「拝金主義」という言葉を使って頭から否定することは、資本主義そのものを否定することと同じである。

 こんな理由で、私は「少年よ大志を抱け!」という言葉があまり好きではない。現実離れしていて心に響いてこない。もっとストレートな「若ものよ、どん欲になれ!」の方がずっと元気がでると思うんだがどうだろうか?


「ウェブ時代の5つの定理」の読み方、その2

I've always been attracted to the more revolutionary changes.
I don't know why. Because they're harder.
They're much more stressful emotionally. And you usually go through a perio where everybody tells you that you've completely failed. -- Steve Jobs

 これも大好きな言葉の一つ。Appleの株主には一度引導をわたされ、誰もが見捨てていた金食い虫のPixerをあそこまでに育てたジョブズが言うと説得力がある。

 まあ最近は「そんなの作ってもうまく行かないよ」から「そんなのもうすでにGoogleが作っているよ」に変わって来たが、新しいものを作ろうという人がそういうネガティブコメントを浴びるのはいつの時代も同じ。そういうネガティブコメントに耐えてもの作りを続けられる図太い神経というか超楽観主義はけっこう大切かな、と。


ロックンローラーであれプログラマーであれ、自分の好きなことと仕事のベクトルを一致させることができたら誰でも矢沢永吉になれる

 この部分だけを抽出すると、矢沢永吉の「成りあがり」を読んでいるに近いものも感じられました。とにかく大事なのは、成功された今もずっと現役で走り続けているということ。本書を読んでいるとCANDYの成功の時点で、すでにかなりの資産を獲得されていたようだ。そこでの「あがり感」は微塵も見せずに新しい世界を切り開いている。【F‘s Garage: おもてなしの経営学〜ロックなオッサンの生き方。より引用】 

 自分が矢沢永吉に例えられるとは予想もしていなかったが、いい歳をしてiPhone SDKにはしゃぐ私の姿は若い人からみたら「ロックなオッサン」なのかな、と。

 インタビューを受けるたびに「走り続けなければ生きて行けない性格なんです」とその場の思いつきで「ええかっこしい」をしてしまっては後悔している私だが、とどのつまりは「プログラミングが好き」の一言につきる。「食うのに困らないのにプログラムを書いている」んじゃなくて「食うのに困らないからプログラムを書いている」わけで。そこんとこヨロシク(ここは矢沢永吉っぽく^^)。


「ウェブ時代5つの定理」の読み方

 日本出張+final Exam+iPhone SDKの三重苦(三重楽?)も終盤に差しかかり、ようやくブログを書く時間を見つけることができたので、さっそく梅田氏ご本人から献本いただいた「ウェブ時代5つの定理」の書評から。

 読み始めてすぐに気がついたのだが、この本は一気に読むにはもったいなさすぎる本。梅田氏が集めて来た言葉は一つ一つが人類にとっての宝。たった一つの言葉が人の人生も変えることもあることを意識して、噛み締めるように丁寧に読んで欲しい。

 そこで私なりの読み方を提案かつ実行。手順はこんな感じだ。

  1. 頭から読み始める。
  2. 気になる言葉が出て来たところでストップ。
  3. その言葉をネタにブログエントリーを一つ書く。
  4. アマゾンの広告を忘れずに貼付けておく。
  5. 2に戻る

ということで、早速最初の引用は、ゴードン・ベルの言葉。起業家精神をプログラム形式で表現したものだが、私流に今風の日本語プログラムに翻訳すると、こんな感じになる。

if (フラストレーション>報酬 && 野心>失敗の恐れ && 新しい技術や製品を作れる可能性){
 現在の職.exit();
 ビジネスプランを書くツール.get();
 ビジネスプラン.write();
 運営資金.get();
 新しい会社.start();
}

 今の職場に不満があって、野心があって、技術力があるなら会社を始めて当然、という典型的なシリコンバレー魂を表した言葉だ。

 私の経験から言っても、シリコンバレーに限らず、アメリカのエンジニアが「今の仕事が面白くない」「給料が安い」なんてグチを言う姿はほとんど見たことがない。決して「面白くない仕事」や「給料が安い仕事」が無いわけではないが、そんな状況に優秀なエンジニアを置いておいたらすぐに辞めてしまうだけ、の話である。

 これでしばらくはブログのネタには困らなそうだぞ、と。


おもてなしの経営学の表紙が決定

Omotenashi 表紙そのものは結構地味だけど、帯のデザインがなかなかイケテルと思う。後は本屋さんが「平積み(ひらづみ)」にしてくれかどうか。

 しかし、これで本屋に行って自分が書いた本が目立たないところに置かれていたら、「目立つところに動かしたい!」という衝動に駆られるだろうな、絶対。

 何気なく
  手に取ったフリで
   平積みだ


「おもてなし経営学/パラダイス鎖国」トーク&サイン会

 先日アナウンスした海部さんと私との公開対談、ようやく日時・場所が確定したのでここで告知させていただく。

日時:3月11日(火)18:30〜20:00(会場18:00)
場所:八重洲ブックセンター 本店8階ギャラリー

 詳しくは、こちらを参照願いたい。

 しかし、今回の二人のブロガーによる同時出版は実際にはいくつかの偶然が重なったからこそ実現できたのだが、こんな形での相互マーケティングは、お互いの読者層を広げるという意味でもアマゾンの「合わせて買う効果」という意味でも色々とプラスになっており、今後の「ブログマーケティング」のありかたに多少なりとも影響を与えることができたら、と密かに期待している。

 まあ、そうは言っても中身が無くては始まらない話。海部さんの本の草稿を読ませていただいているのだが、「これは私がいいたかったのに!」と悔しい思いをさせられる箇所が多々あり、「相手にとって不足なし」どころか「ちょっと負けてるかも」と思うぐらいすばらしい本なので、(もちろん、私の本と合わせてだが)ぜひとも一読をお薦めする。