Inventory Turnover(在庫回転率)とは

 教科書を読んでいるだけではどうしても頭に残らないので、ここに書いてみる。

Inventory Turnover(INVT: 在庫回転率)とは、

 INVT = Cost of Goods Sold / Average Inventory
 在庫回転率 = 売り上げ原価 / 平均在庫高

で求められる指数で、ビジネスをする上で、在庫をどのくらい効率よく売り上げに結びつけられているかを示す。言い換えれば、「仕入れて、(加工して)売る」というサイクルをどのくらい効率良くやっているかを示す指標。この数字が高いほど効率が良く、低いほど悪い。書店で言えば、常に約1000冊の本を店頭+倉庫に抱えている書店が年間に4000冊売るとすれば、(一冊の値段の違いを無視すれば)INVT=4.0となる。

 ただし、当然だが間に加工や組み立てという作業が入る製造業と、単に仕入れて売るだけの小売業とではその数値が大きくことなるのは当然。その意味では、同業種間でINVTを比較したり、一つの企業に関してINVTが向上しているかどうか測定するのが正しい使い方。たとえば、3Mの場合、1999年に3.82だったINVTが2003年には4.95に上昇しており、これのおかげで会社全体の利益率も向上し、株価も大きく上昇している。

 ちなみに、私の読んでいる教科書には、異業種の比較も出ているが、カミソリ・髭剃りのGilletteのINVTが3.0なのに対し、Dell のINVTが46というのが興味深い(どちらも2003年度の数値)。DellはToyotaのカンバン方式をさらに改良したような仕組みを持っており、オンラインでユーザーからの注文を受けてから、組み立て・出荷をわずか2日ほどで実現しているうえに、的確な売り上げ予想により部品の調達をパイプライン化させてDell自身が持つ部品在庫を究極にまで小さくしているために、この驚異的なINVTが実現できるのである。

 なお、INVTの逆数に365(1年の日数)をかけると、仕入れた商品や部品が平均して何日ぐらい会社の中にとどまるかが分かる(Average Inventory Days Outstanding)。先のINVT=4の書店の場合だと、約90日(3ヶ月)となり、Dellの場合は約8日となる。つまり、書店が仕入れた本は平均して90日後にならないと販売されないが、Dellが仕入れた部品はわずか8日しかDell内部にとどまらないということである。