原発一機を一年間動かすとどのくらいの残土・劣化ウラン・放射性廃棄物が生じるかを計算してみた
2011.09.14
iPad/iPhone向けに開発した計算アプリ neu.Calc。色々な使い方が可能だが、普通の電卓アプリにない機能の一つが、HTML Tableを生成する機能。計算をした後、アクション・メニューから "Mail" を選択すると、テーブルを生成してメーラーに渡す。
下のサンプルは、福島第一の2号機で一年間に燃やす核燃料(濃縮ウラン 78.4トン/年)を採掘・燃焼する過程で生じる、残土、劣化ウラン、高濃度放射性廃棄物などの量を計算したもの。neu.Calcに備わった "Solver" という機能を使って、総採掘量 66.3万トンを逆算してもとめている(差引というフォーミュラはこの"Solver"のために追加した)。
ちなみに、「地球にやさしい」はずの原子力発電が、実はちっともやさしくなんかないことがこの表を見ていただければ分かると思う。たった一基の原発を動かすために、66万トンもの土を掘り返さなければならない上に(含有率の高い良いウラン鉱脈は掘り尽くしてしまったために、今掘っている場所は含有率が低いためこんな量になってしまう)、製造過程で250トンもの劣化ウランを副産物として生み出すし(ちなみに、これは理想的な数字なので、実際にはより多い)、やっかいな高レベル放射性廃棄物が2.3トン、核爆弾の原料になるプルトニウムが0.78トン、劣化ウランと同じようにやっかいな使用済みウランが75トンも生じる。MOX燃料という形でプルトニウムを燃やすことも可能だが、単にプルトニウムを別の放射性元素に変えるだけの話で、絶対値での高レベル放射性廃棄物や使用済みウランの量を減らせる分けではない。
総採掘量(t) | 662561.22 | 662,561.22 |
ウラン含有率(%) | 0.05 | 0.05 |
天然ウラン(t) | 総採掘量 × ウラン含有率 % | 331.28 |
残土(t) | 総採掘量 − 天然ウラン | 662,229.94 |
U-235天然含有率(%) | 0.71 | 0.71 |
U-235必要濃度(%) | 3 | 3.00 |
濃縮率(倍) | U-235必要濃度 ÷ U-235含有率 | 4.23 |
濃縮ウラン(t) | 天然ウラン ÷ 濃縮率 | 78.40 |
劣化ウラン(t) | 天然ウラン − 濃縮ウラン | 252.88 |
年間消費量(t) | 78.4 | 78.40 |
差引(t) | 年間消費量 − 濃縮ウラン | -0.00 |
使用済み核燃料(t) | 濃縮ウラン | 78.40 |
プルトニウム(t) | 使用済み核燃料 × 1 % | 0.78 |
高レベル放射性廃棄物(t) | 使用済み核燃料 × 3 % | 2.35 |
使用済みウラン(t) | 使用済み核燃料 × 96 % | 75.27 |