アップルはテレビ業界の黒船になりうるか
2011.11.03
ファイナンシャル・タイムズの Japanese TV manufactures admint defeat という記事で取り上げられているが、ソニーとパナソニックがほぼ同時にテレビ事業の縮小をアナウンスした(これに関しては来週号のメルマガで少し解説する)。
それと同時に盛り上がってきたのが、アップルがテレビ市場に参入するという噂。普通に考えれば、「コモディティ化が進み、利益を出す事が難しくなっているこの市場に、何でいまさら?」となる。
特にアップルは価格競争を徹底的に避けて高付加価値商品に特化してきたからこそ、40%近い粗利を維持し続けてこれたわけで、この路線から外れてまでテレビ市場に乗り出す意味は全くない。
「アップルはソフトウェアで差別化できるから」という意見もあるが、それならばテレビ本体には手を出さずに Apple TV のみを進化させれば十分なはずである。
そこから類推するに、もしアップルがテレビ市場に参入するとすれば、そこには単に Apple TV を内蔵する意外の「何か」があるはずである。
そこで今日は、もし私がアップルで働いていて、その「何か」を提案しなければならないとしたらどうするか、を考えてみた。
1.カメラ
これは必須である。少し前から感じていたのだが、大画面でのFacetimeは人々のライフスタイルを根本から変える可能性すらあると私は思っている。すでに、パソコン場の skype をつけっぱなしで、料理をしながら日本の息子夫婦と話す、みたいなことをしている私から見れば、大画面テレビ上で走る Facetime で二つのリビングルームを繋ぐ、のはとても面白いと感じているのだ。また、複数のカメラや赤外線カメラを持つ事により Microsoft の Kinnect のようなことも可能になる。
2.裸眼3D
従来型の専用眼鏡を使った3Dテレビには価値を見いださない私だが、裸眼3Dにはそれなりの価値があると感じている。それも、左右の目に別の画像を見せる形の3Dだけではなく、テレビに取り付けられたカメラで見る人の顔の位置を認識して見せる形の3D(つまり、顔の位置を動かして覗き込むことが可能な形の3D)は、ゲームにはとても有効だと思う。特にアップルが本気で据え置きゲーム市場に参入する気であれば、アップル製のテレビに内蔵されたカメラを最大限に生かすアプリを開発者に作ってもらうというのは、ハードウェアの差別化という意味でも大きなプラスになると思う。
3.マルチスピーカーとDSP(サラウンドサウンド)
テクノロジーとして未だに十分に生かされていないのがマルチスピーカーとDSPを生かした特殊音響効果。テレビに複数(たとえば12個)のスピーカーを内蔵してサラウンド・サウンドを実現するのはもちろんのこと、それをアプリから自由にコントロールできるようにすることにより、いままでになかったような効果音を可能にする。
ということで、もし私が担当者であれば、Facetime用のカメラと、Kinnect的なことをするための補助カメラと(ひょっとすると赤外線カメラと赤外線照射機を含む)、サラウンドサウンドようのスピーカーを十数個と Apple TV を内蔵した(そして可能であれば裸眼3Dをサポートした)テレビをアップル・ブランドのテレビとして発売する。
製造はもちろん、すべて中国に外注し、部品の大量発注によりコストを徹底的に下げる。また、在庫を持つ事を避ける為に、アップル・ストアには在庫は置かず、オンラインのみでの注文を受け付ける。これにより、Costcoなどで販売されている廉価品の2〜3割増しぐらいの小売り価格で40%の粗利を確保する。
当然、iOSは大幅にアップデートし、カメラやサラウンドサウンドを最大限に生かしたアプリ(特にゲーム)を可能にし、それこそ映像とゲームを融合したマルチメディア・エンターテイメント・システムのハブとしてアップルのテレビを販売する。
「大画面Facetimeでつながるリビングルーム」と「内蔵カメラとサラウンドサウンドを最大限に生かしたゲーム」で市場に食い込むが、最終的に狙うのは放送革命。ESPNあたりを説得して、月額10〜20ドルでESPNの提供するスポーツ番組すべてをライブもしくはオンデマンドで見る事ができる様にすれば、一気にバランスが崩れる。
うん。「テレビでFaceTimeなんて...」と思ったけど、確かに離れている家族や友人知人と同じ番組を見ながらワイワイやるのは楽しいかもしれない(そのためには地デジなんかじゃなくYouTubeとかになるけど)。
サッカーの試合とかでも視聴を同時進行にして画面内にPinPで FaceTimeが映って音声も両方(放送と通話の)聞こえていれば、一緒に観戦できるし。
「テレビもソーシャルに繋がりながら見るもの」という新境地を開けるかもしれない。
Posted by: PowerYOGA | 2011.11.03 at 22:25
いかにも日本人的発想な気がする。アップルならテクノロジーを駆使したやり方ではないと思う。
Posted by: ikkei | 2011.11.04 at 19:17
40型以上の画面サイズ、3Dカメラ&裸眼3D表示、3Dサウンド、AppleTV機能、無線ルータ機能、数テラバイトのホームサーバー機能(iPhoneなどで撮影した写真や動画にiCloud経由でアクセス&ストック)などが付いて10万円前後なら、テレビの再定義と言えるぐらいにヒットするのでは?
Posted by: Dyun | 2011.11.05 at 04:54
「Back to the future」 なんて映画を見たことのある人はきっと
未来のテレビがどんな風になるかという既視感が沸いてくると
思います。観たいときに観たいモノを観るテレビ、それにも
まして FaceTime のようにコミュニケーションのできるテレビ
というのはデジャブですよね(^!^;)。
Posted by: yumeno_tocyu | 2011.11.05 at 06:06
要するにiMacからPC機能(MacOSX)を抜いて、iOS入れた後、AV機能を充実させたものということでOK?
個人的にはインターネット上の各種コンテンツが、チャンネルを切り替えるみたいに手軽に扱えるシステムが出てこないと買う気にならないです。
とはいえiTunes映画コンテンツのしょぼさを見るに、日本では大変難しいんでしょうな・・・。
※Wiiは、チャンネルと名乗ってコンテンツがよく増えていた登場当時、もしかして化けるか!と期待していたのに、ブラウザもろくに更新しないなど進歩が止まって残念。
Posted by: Kuje | 2011.11.05 at 23:08
今、ジョブズの伝記を読んでいるのですが、ハードから、ソフトまで、すべてをコントロールするジョブズの方針として、ハードのTVをリリースするという話も、まんざら、ありうる話なのかなと。
iOS developerに早めに、リファレンスを開放してほしいです。そうすれば、リリースと同時に、大量のアプリが、iPadのときと同じように供給されるので、テレビ業界と、ゲーム業界のパワーバランスが今以上に早期に崩れるのかなと。
Posted by: maito | 2011.11.06 at 18:17
it yourself personally in just about just about just about every single particular occasion.
Posted by: Pandora | 2011.11.13 at 18:20