ネットに接続するとテレビは本当に今より面白くなるのか、という話
2008.08.28
ここのところPhotoShareのことばかり書いている私だが、久しぶりに「UIEの創業者・取締役」としてのお仕事。「次世代IPTVソリューションセミナー」というUIEジャパン主催のセミナーで、「ネット接続がテレビにもたらすUI変革」というタイトルで講演をするのだ。日時は9月19日、参加費は無料なので、ぜひとも「ネットに接続したテレビ」の話に興味のあるかたはご参加いただきたい。
ここのところ「ネットに接続した○○」というテーマでの講演やら話をする機会があるが、そもそもネットがもたらす価値は何か、という話を突き詰めて行くと、「情報」と「人」という話になる。iPhoneのケースで言えば、Google Mapアプリで得られるものは「ネットに存在する情報」だが、PhotoShareで得られるものは「ネットの向こう側にいる人たちとのコミュニケーション」である。
今回の講演では、テレビをネットを利用して今よりも面白くしようとしたらどちらに、どんな風に重点を置いて商品開発をすべきか、という問題提起をしようと思う。
私から見てアクトビラがどうもうまく行くと思えないのは、「どうやったらテレビがもっと面白くなるか」という本質的なビジョンが欠如したままで技術仕様ばかりが先走りしているように見えるから。キャプテン・Lモード・文字情報付きテレビ放送が失敗して、iモードが成功したのにはそれなりの理由があるわけで、ただやみくもに『ブラウザーが乗ったテレビ」「オンデマンドで映画が見れるテレビ」「お天気や株価がチェックできるテレビ」を作っても成功するとは思えない。
iPhoneで圧倒的な力を見せつけたAppleですら、Apple TVではまだまだ「アーリー・アダプターのおもちゃ」の域を抜け出せていない。「IPTVの市場でiPhoneに相当するデバイス+サービスを作るのは誰だ?」という質問はビジネス的には面白い話だが、それよりも以前に、「そもそもテレビをネットに繋げることにより今より面白くできるのか?」「ネットがテレビに与える付加価値っていったい何?」という質問に答えを用意せずにテレビをネットに繋いでも仕方がないと思うんだがいかがだろう?