「泳ぎ続けなければ生きていけないサメ」と「波間にただようマンボウ」、あなたはどっち?
2007.06.28
シアトル近辺では、Microsoftは相変わらず人を採用しまくっているし、Googleからのヘッドハンティング攻勢も激しい。うちの会社でも、毎月のように優秀なエンジニアをGoogleが狙い撃ちしてくる。日本の会社の100%子会社という不利な状況なのにも関わらず、踏みとどまってくれている彼らにはひたすら感謝・感謝である。
日本の会社が米国の企業を買収したときに失敗する時の一番の原因が、インセンティブ設計の失敗。終身雇用制にあぐらをかいてきた日本企業の経営陣には、そもそも「インセンティブ」の意味・意義すら分からない連中が多く、「買収後のロックアップ期間が終わったとたんに主要なメンバーが一斉に敵会社に転職」なんてことは日常茶飯事である。これを「アメリカ人は拝金主義だ」と批判するのも一つの考え方だが、そんな考え方では海外進出はできない。
今日のウォール・ストリート・ジャーナルの注目記事は、そのGoogleですら、ベンチャー企業に人を奪われている、というもの。上場前の2003年に雇った人たちのストックオプションの現金化が可能になったため、Googleに残るインセンティブが薄れたエンジニアたちが、もう一花咲かそうと次々にベンチャー企業を興しているという。
これだけ目まぐるしく進歩しているこの業界では、4年間の間も彼らをとどめておけただけで十分なのかも知れないが、注目すべきは、あれほど自由にものが作れると言われているGoogleですら、本当にベンチャー精神にあふれたエンジニアたちにとっては窮屈で、刺激が十分ではないということ。彼らにとっては、Googleの中で安定した給料を受け取ることよりも、「次のGoogleを作る」ことの方が遥かに楽しいのだ。
こんな記事を読んでいると、「私も現状に甘んじてはいけない」とつくづく思う。サメと同じで、エンジニアは泳ぐのをやめてしまったら呼吸困難に陥る。波間にただようマンボウにだけはなりたくない。